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死人(sibito)  作者: 山田健一郎
10/10

呪い

なぁ あんた知ってるか?

呪いや祟りが実在するって事を。

俺は身をもって知ったよ。俺は呪われた。俺は屍人になった。どういうことかって?

ベッドの上でこの原稿を書いているが、ノートパソコンのキーボードを打つのが大変になってきた。

なんでかって?生きながら身体が腐ってきたのさ。あの島の神の怒りを買ったらしい。

左手の指は全部腐って落ちた。右手は親指と人差し指が辛うじて残っている。

頭もぼんやりとしている。霞がかかっているみたいだ。両脚はもうない。腐って落ちた。膝のあたりの腐ったブヨブヨの肉に蛆がわいている。布団は俺の血と膿ででぐしょぐしょに湿っている。

俺はもうすぐ完全にこの世から消えていなくなるだろう。

もうすぐだ。やっと終わる。やっとあっち側に行ける。

え?あっちって?  あんたにもすぐわかるさ。なぜなら次はあんたの番だからな。

あんたはこの話を読んだ。だから  の  ろ  わ  れ  た  の  さ

不条理だって?神はいつも不条理さ。もうすぐ奴らがあんたの所に行く。

奴らって?もちろん死霊さ。奴らが来たらすぐ分かるさ。急に寒気を感じたら奴らが近づいて来たって事だ。

手足が急に冷たくなったら奴らが触ってきたって事だ。

身体が急に震えだしたら奴らが身体に入ってきたって事だ。


俺はそろそろ行くよ。

涅槃で待っている




じゃあな

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