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ユーカリと殺し屋の万年筆  作者: 趙雲
龍勢淳編
88/130

「16話-希求-(終編)<後・演>」

ライブ当日を迎え、リハーサルをする5人だったが……?


※約6,900字です。

※2つのお話をくっつけました。

2018年5月12日 8時頃(復活ライブ当日)

武堂館 ステージ上

あことし



 ただいまって言っても返事が無かった。

兄達――元兄達が言うと、笑顔でおかえりって返ってきた。


 だからその言葉達って、正直あんまり好きじゃなかった。

だけどすそのんのんに言われた時、普段出さない感情が見えてすっごく嬉しかった。


 その感情のまま今、復活ライブのステージに居る俺は皆からどう見えてるんだろう?

すそのんのんの衣装合わせも終わって、曲も皆に聴かせられるようになった万全な俺達を。


 皆は「おかえり」って、言ってくれるかな?


「あことし。先程から天井を見上げてどうしたんです?」

しげちゃんが俺の左側に立って言うと、ゆーひょんもギョッとした顔で俺を見ていた。


「う~ん……おかえりって言ってもらえるかな~って考えてたんだ」

俺がすそのんのんの背中を見つめながら言うと、しげちゃんはわざとらしく溜息を吐いた。


「そんなことでしたか。貴方らしくないですね」

呆れた顔で言ったしげちゃんは、何かを言いかけては恥ずかしそうに顔を背けている。


「どうしたの?」

俺が首を傾げると、しげちゃんはぎこちなく俺の右手を指差して、

「――は?」

って、何かを訊いてくれたんだけど、すそのんのんと佐藤がギター弾いててよく聞こえなかった。


 だからまた首を傾げると、ちょうど2人の音が止んだタイミングで、

「手の具合はどうなんですか!?」

なんて顔を真っ赤にしながら大声で叫んでくれたんだ。


 まぁ……意図したタイミングじゃないのは、しげちゃんが口元を覆った事で分かったけどね。


「大丈夫。やっぱ佐藤の衣装は世界一だね! 残心の衣装も格好良いし!」

俺が佐藤に聞こえるように言うと、佐藤は一瞬だけ嬉しそうな顔をした。

すぐ真顔に戻しちゃったけど。


 それが佐藤にとっての美しい、なのかなぁ。

俺はずっと笑顔のままでいてくれた方がいいけどなぁ。



 それから皆で合わせようとしげちゃんが声を掛けてくれた時、会場の扉が思い切り開いた。

関係者以外は入らないようにと言ったすそのんのんは、3人の姿をはっきり確認した後すぐ頭を下げた。


 俺からはちょうど佐藤が死角になって見えてないから、足音でしか分からないんだ。


「待て!! 菅野!!」

颯雅さんがステージ上まで聞こえるくらいの声量で叫ぶと、誰かがこっちに向かって走ってきた。


 そして、その人は何かを呟きながら額を床に思い切り落とした。

その数秒後に、2人が走って来る音が聞こえてきた。


 今まで聞いた事もない音に、俺とゆーひょんもステージの手前まで駆け寄った。

さっき、颯雅さんは菅野くんの名前を呼んでいたけど本当なの!?


「帰るぞ」

追いついた龍也さんが腕を掴んで言うと、

「皆今リハ中だから邪魔しねぇ方がいいだろ」

颯雅さんも追いついて声を掛け、帰らせようと促した。


「――っ!!」

その人はそれに対して何かをずっと呟いているだけで、距離のせいか何も聞き取れない。


「何て言ってるの……?」

俺は彼の姿に急に怖くなってきて皆を見回すと、すそのんのんの表情が曇っていた。


「謝っているように聞こえる。2人はよく見えなかったと思うが、あれは……菅野だ」

すそのんのんは申し訳無さそうに目を伏せると、最後は会場にすら響かないくらい小さな声になっていた。


 その声を聞いた俺は、菅野くんに矛先を向けられた時の事を思い出していた。

虎の鋭い眼光を前に何も出来なかった自分を。


「え……菅野くん?」

俺が一歩引いて言うと、珍しく佐藤が舌打ちをした。


 佐藤はどんな状況でも溜息を吐くこともしないし、舌打ちなんて絶対しないのに。

急にどうしたんだろう?


 見上げてみると、佐藤はネックから手を離して握り拳をつくっていた。

それから歯ぎしりもしていて、必死に我慢しているようにも見えた。


 だけど我慢の限界だったのか唾を辛そうに飲み込んで、歌う時より大きく息を吸って、

「自己満!? それとも俺達に謝ってる!?」

唾が飛ぶのも構わずに言った。


 自分が美しい事が大事だから、唾を飛ばして話すのを凄く嫌がるのに。

それだけ今日という日を、Coloursを大切に思ってくれているんだ。


 佐藤の覇気に菅野くんはガクガク震えながら顔を上げ、

「ごめんなさい。赦してなんて言いません。皆さんを傷つけ、相棒の愛にも気付けなかった……俺の事赦してなんて言いません……!!」

と、ステージ上でも聞こえるくらい芯のある声で言った。


 目の色はあの時みたいに迷ってなくて、自分を見失ってもいなかった。

すそのんのんが楽しそうに話してくれるあの菅野くんだった。


「帰るぞ」

でも龍也さんは柔らかい空気が流れる前に、威圧的に言ったんだ。


 菅野くんは龍也さんの意外な言葉にガバッと顔をあげると、無言で目を潤ませていた。

それでも菅野くんは、その場を動こうとしなかった。


「……」

その様子を見たすそのんのんは息を吐いて佐藤の肩を叩くと、ギターを手渡した。


「マイスウィート――」

佐藤が止めようとすると、すそのんのんは目を閉じてゆっくり首を横に振った。


 そしてステージから飛び降りたすそのんのんを、誰も追いかけなかった。

だって俺達に出来ることなんてもう無いから。


 それはいくら頭の良くない俺でも分かる。

相棒にしか出来ない事って、たっくさんあるから。


 一歩ずつ探るように近づいていくすそのんのんに、菅野くんはまた土下座をしようとする。

でもその手を優しく握り、立膝をついたすそのんのんは何か声を掛けている。


 その言葉に龍也さんは心配そうだけど無表情で、颯雅さんは優しく見守っていた。

あまりに対照的な反応に、俺達は顔を見合わせる。

一体何を言ったんだろう?


 一緒にステージ上がろうとか?

だったらいくらなんでも俺は嫌だけどね。


「邪魔したな」

龍也さんがさっきの表情のまま言うと、菅野くんもすぐに立ち上がって付いて行った。



 しばらくしてすそのんのんがこっちに帰って来ると、

「よかったね」

俺は何も会話を聞いてないのに、無意識にそんな言葉が出ていた。


 すそのんのんは目を細めて小さく頷くと、

「ライブも見るそうだ」

と、頬を緩めて言ってて、俺達も自然と笑顔になっていた。


・・・



 そうして迎えた開場時間。

天気もいいし、キャンセルのお客さんも居なかったんだよ!


 しかもグッズ売り場はリゾゼラに負けず大盛況!!

1番人気はやっぱりすそのんのんだけど、途中経過でも知らせが入ってくると佐藤がすっごく嬉しそうなんだよね!


 いつしか俺達は楽屋挨拶に誰が最初に来るのか予想し始めていたんだけど、ちょうどそのタイミングで扉をノックされたんだ。


「どうぞ」

すそのんのんが声を掛けると、遠慮がちに扉が開いた。


 それから後ろを気にしながらゆっくり扉を閉めたのは、菅野くんだった。

額には大きな絆創膏が貼ってあって、少し前髪が揺れるとチラッと見える。


 佐藤は菅野くんだと分かった瞬間に苛立った表情になって、ゆーひょんとしげちゃんは難しい顔をしていた。

そしてすそのんのんは、何かを期待している顔をしていたんだ。


「廊下に龍也さんと颯雅さんが待ってくれてて――」

と、全く笑みを見せないで話す菅野くんは、俺達を見回して、

「この度はご迷惑をお掛け致しまして、大変申し訳ございませんでした」

指先までピッチリ揃えて頭を下げて謝罪したんだ。


「分かった」

佐藤は手鏡を見ながら返事をすると、すそのんのんに目配せをした。


 それを合図に俺としげちゃん、ゆーひょんは顔を見合わせて頷いた。


「菅野、よくやった」

すそのんのんが手を広げて言うと、菅野くんは俺達全員に深々と頭を下げてから駆け寄った。


 だけどその途中で光るものが見えると、しげちゃんは菅野くんの手を掴んで引き止め、

「衣装が汚れますから」

って、淡々と言った。


 菅野くんはしげちゃんの冷たい制止に怒ったり嫌がったりしないで、

「そうですよね。失礼致します」

って、涙を拭きながら言うと、最後に会釈して出て行ったんだ。


 その姿にすそのんのんは、目を伏せて安心したように息を吐いてたんだ。

もしかして期待していたのって、菅野くんの謝罪?


「すそのんのん、あのさ――」

俺が肩を叩いて言うと、またノックの音が聞こえてきたんだ。


 すそのんのんは構わず話すよう促してくれたけど、俺は入って来た人を見て首を横に振ったんだ。

「5人の絆は本物だった!! フレンドシップバンドColoursも復活ライブ開催決定! か」

歌っている時はすっごく高音なのに、話している時は渋い声の藍竜総長だったから。


 どうやらグッズを買ってくれたみたいで、左腕にはいくつか袋を掛けている。


「記事のタイトルはあことしが考えてくれました。私と違い、クリエイティブの才がありますから」

しげちゃんは、眉間に皺を寄せてネット記事を読む藍竜総長にも淡々と言う。


「そうだな、これは面白い。そう言えば、全員分のサイリウムを買ったんだった」

藍竜総長はスマフォを見ながら袋を軽く持ち上げると、ちょっとだけ頬を緩めてくれた。


「ありがとうございます」

すそのんのんが立ち上がって礼を言うと、藍竜総長は一瞬顔を上げて、

「リゾゼラはそっちと違って一緒に行動しないから、合流できたら渡そうと思っている」

と、苦笑いをしながら言い、続けて「全員来ることは分かってるんだけどな」って、心配そうに呟いたんだ。


 てことは黒河も来てるんだ。

ちょっと嫌だな。会わないようにしなきゃ。


「それで先程からスマフォを見てるんですね」

すそのんのんが眉を下げて言うと、藍竜総長は乾いた笑い声を立てた。


「誰も既読つけないとは上等だな。じゃあ、ライブ頑張って」

藍竜総長は更に眉を潜めて言うと、俺達1人ずつと目を合わせて笑顔を見せてくれた。


 そうして藍竜総長が出て行くと、すそのんのんはパッと申し訳無さそうな表情になって、

「菅野に謝罪を促したのは俺だ。気分を害してしまったのなら、すまなかった」

ゆっくり頭を下げたから、俺達は全員ですそのんのんの肩や背中を叩いた。


 だって皆予想出来てたんだもん。

菅野くんだけだったら、龍也さんや颯雅さんに言われただけだったら、あんな堂々と出来ないよ。

相棒ってそれだけ人生において、すっごく存在が大きいから。


「ありがとう」

すそのんのんも俺達の気持ちを察してくれて、震える声でお礼を言ってくれたんだ。


 俺達に少しほっこりした空気が流れ始めた頃、またコンコンとノックの音がした。

今度は誰だろう? あと10分くらいでステージに行かなきゃだから、黒河じゃなきゃいいな。


 しげちゃんが代表して返事すると、入って来てくれたのは暁さんと湊さんだった。

藍竜総長と合流は出来てないみたいで、2人とも高そうなお店の袋しか持っていなかった。


「差し入れだ。ギリギリでごめんね」

湊さんが腕時計をチラッと見て言うと、

「いえいえ。御二人で選ばれたんですか?」

って、すそのんのんが差し入れを受け取りながらも話題を広げてくれたんだ。


「うん。兄さん、面倒って……あ、俺がだよ?」

暁さんが言いにくそうに目を逸らしながら言うと、

「専門店が好きだから、半日くらい一緒に悩んでいて……分かってくれるか? 藍竜の性格」

微笑みを浮かべながら助け舟を出したのは、湊さんだった。


 藍竜総長と暁さんの部下になったばかりの俺達にも分かるように、性格の事まで言ってくれたんだ。

多分、この場にすそのんのんだけだったら性格まで言わなくても良さそうだもん。


「そうですね。藍竜さんはかなり判断するのが早いという情報がございます」

しげちゃんがスマフォを見ながら言うと、湊さんと暁さんが優しく頷いた。


「じゃ、頑張って」

暁さんが軽く手を振ると、しげちゃんは頬をゆるゆるにして振り返した。


 あ~、たしかにLunaさんっぽいかも。

Lunaさんってからすさんの元相棒で、しげちゃんの初恋の人なんだよ!

内緒ね!


「しげちゃんのタイプだもんね~」

俺が肘で小突いてからかうと、しげちゃんは耳まで真っ赤にしてるのに首を横に振った。


「何言ってるんですか! もう時間ですからね!」

しげちゃんが早歩きで言い終えて、扉を思い切り開けようとしたら腕をぶつけ、

「何なんですか!」

って、恥ずかしそうに叫ぶから、俺はくすくす笑ってたんだ。


 でもすそのんのんは違ってさ、

「演奏に支障は無いか?」

って、すっごく真剣な顔をして言うから、しげちゃんは逆にどうして良いか分からないって顔をしてたんだ。



 そうして笑い話をしながらステージの裏まで来ると、お客様の待ち望んでいる声がたっくさん聞こえてきたんだ。

それだけで俺はもう胸がいっぱいで、油断したら泣いちゃいそうだった。


 だってきっと皆は「おかえり」って言ってくれると思うから。


 こんなに待たせちゃったのに、5色のサイリウムを振ってくれて今も待ってくれている。

本当に色々あったけど、お客様には一切言えない。


 まぁ……俺達が殺し屋って誰も知らないし。

ましてや名家出身者が4人居て、佐藤がデザイナーで活躍しているのも知らない。


 だからこそ、自分達が表現したい音楽を先入観無しで聴いてもらえるんだ。

その為にずっと続けてきたんだから。


「行きますよ」

しげちゃんが暗くても分かるくらい自信に満ちた表情で言うと、俺達は円陣を組んだ。


 号令も何も無い円陣だけど、不思議と気合が入るんだよね。

リゾゼラは円陣すらしないって聞いたけど、皆で肩を組むと空気を一緒に吸えるから好き。



・・・


 会場の視線も照明も俺達のものに出来る時間が始まった。

一歩一歩がいつもより重い。

だけど進みたい。階段を上るのも辛いくらい重いのに、不思議とまた一歩を踏み出したい俺が居る。


 そんな高揚感満々のまま椅子に座って微調整をしてると、練習の時より遠い皆の姿に安心感が沸いてくる。

これがライブなんだもん。


 しげちゃんはいつも通りライブのMCを始めてくれたけど、1曲目に移る前に一瞬俺を振り返って、

「ただいま」

マイクが拾えるかどうか怪しいくらいの声量だったけど、向き直った瞬間その一言を言ってもらえてすっごく嬉しかった。


 しかも前列のお客様が、「おかえり!!」って喉がはち切れそうなくらい叫んでくれたんだ。

え……なにこれ。俺、今死んでもいいくらい幸せ!! 縁起悪いけどね。


 それにわっと会場が盛り上がった後、しげちゃんがまた振り返って微笑んでくれたんだ。

何て言葉にしたらいいか分からない嬉しさを表現したくって、スティックを回していると菅野くんが目に入ってきた。


 やっぱすそのんのんカラーのサイリウムだ。

それにライブのノリが分からないのか、颯雅さんと龍也さんを交互に見て溶け込もうとしている。


 ちょっとしたイタズラ心かもしれないけど、目が合ったら手振るか、スティック回してみよっかな。



・・・


 なんでだろう? ライブの時間があっという間すぎて、1曲が5秒に感じるくらいだった。

あんなに練習して、あんなに皆で大変な思いもしたのに、お客様もあんなに楽しんでくれているのに。

全然ライブの様子覚えてないくらい、一生懸命演奏したのに。


 どうしてすぐ終わっちゃうんだろう?


 だってもう4曲目の颯雅さんが作詞作曲して応募してくれた曲も、5曲目の佐藤の弟くんが作詞してくれた曲も終わっちゃったから。

ということは、次はリゾゼラと一緒に曲を作って、すそのんのんの為に俺達で作詞した曲だ。


 それも終わっちゃったら、すそのんのんのアンサーソング。

それが最後。アンコールも用意しているけど、してくれるかな。


 一瞬不安に思った事はたしかに覚えてるのに、俺が作詞作曲した曲でアンコールを飾った様子も全く記憶になかった。

でもね、1つだけ思い出した事があるんだ。


 それはすそのんのんのギターソロの時だったんだけど、格好良く最後決めた後に誰かを指差して手を大きく振ってたんだ。

俺、てっきり興奮しちゃったままにやったんだと思ってたんだけどね!

お客様もめちゃくちゃ盛り上がってたから。


 でもステージから捌ける時に、龍也さんと颯雅さんと談笑している菅野くんがすっごくキラキラしてて察したんだ。

すそのんのんは、菅野くんに手を振ってたんだって。


・・・


 こうして俺達の復活ライブが幕を閉じ、SNSの評判が良いのも見て安心してたんだけどね。

しげちゃんがスマフォを持ってる手をだらんと垂らして、浮かない顔をしてたんだ。

ここまでの読了、ありがとうございます!

作者の趙雲です。


次回投稿日は、12月26日(土) or 12月27日(日)です。

なんと次回は年内最後の更新でございます!


それでは良い1週間を!


作者 趙雲

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