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ユーカリと殺し屋の万年筆  作者: 趙雲
龍勢淳編
77/130

「16話-希求-(序章)」

透理さんが聞きたいColoursの本当の活動休止の理由を聞きだす事は出来るのか。



※約1,000字です。

2018年5月16日 17時前

後鳥羽家 龍の部屋

後鳥羽透理(ごとば とうり)



 Coloursの活動休止の理由を訊きそびれてしまったボクは、勢いそのままに龍の部屋に突入していた。

失礼は承知の上だけど、幸いにも龍は机に向かって日記のようなものを書いている最中だったみたいだ。



「どうかなされましたか?」

龍は突然の来訪に眉1つ動かさず、むしろどっしりと構えている。


「あのさ、ずっと訊きたかった事があるんだよね」


「はい」

龍柄の万年筆を置き、こちらに体を向けている龍は背筋が伸びており、脚も綺麗に揃っている。


「Coloursが活動休止していた理由って、会見の時に蒼谷茂が言ってたのが真実なの?」

ボクが腕を組んで小首を傾げると、龍は窓の外を見遣り溜息を吐いた。


 それから目を伏せ、瞳を何往復かさせると、

「……透理兄さんにも立ち会って頂く必要がありそうですので、お手数をお掛け致しますが、明日またこちらに来て頂いてもよろしいでしょうか」

ぽつりぽつりと言葉を零したのだ。


 なるほどね、恐らく他にも話す相手が居るんだろうね。

そう思ったボクは小さく頷き、

「分かった。むしろ、立ち会えて嬉しいよ」

と、何度も躊躇っちゃったけど龍の頭に手を置いて言った。


 ボクの行動の変化に驚いた龍はハッとした表情でボクを見上げたが、すぐに顔を伏せ、

「申し訳ございません。今は少々――」

と、日記に視線を向けたので、ボクは手を退けて空笑いをし、

「ごめんごめんって。じゃあね」

手汗を掻いてないか確認しつつ、そそくさと部屋を後にした。



・・・


――翌日



 龍に指定された時刻は15時過ぎ。

いつもならスタジオ練か仕事をしている時間の筈だし、自分1人が休みを取るにしても立ち会うのはボクだけじゃない。


 さて、誰が立ち会うのか。

目を伏せ、躊躇いがちに後日にするように言った龍の表情からして、蒼谷茂が世間向けに発信した情報は表向きのもの。


 なぜ隠さなきゃいけなかった?

メンバーの中に隠された何かがあるのか?


 それとも家に何かあった?

まぁそれならボクが知らない訳ないんだけどね。


 とにかく、裏に何かあった上で今語ろうとするのも他に理由がある筈。

今はただその時を待つのみ。


 しばらくして部屋の扉を控えめにノックする音が聞こえ、振り向くと同時に開いた扉の先に見えた姿は――



「え……」

ボクが言葉を失う程の人物だった。

だってさ、まさかこの一件にも関わっているなんて思いもしなかったから。


 キミは一体何人救ってきたのさ?

それで今後も何人救うつもりなのさ?


 それとも誰かが望み欲し、得たいと願って求める限り、救い続けるのだろうか?

ここまでの読了、ありがとうございます。

作者の趙雲です。


念の為記載しておきますが、タイトルの希求は「ききゅう」と読みます。


次回投稿日は、4月4日(土) or 4月5日(日)です。

それでは良い1週間を!


作者 趙雲

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