表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ユーカリと殺し屋の万年筆  作者: 趙雲
龍勢淳編
71/130

「15話-偏倚-(序章)」

15話はとある人物の身体的精神的変化や記憶に注目。


※約980字です。

※「11話-再起-(後編)」も一緒に読む事をオススメします。

2018年5月1日 0時(事件当日より1ヶ月後)

後鳥羽家 とある当主の部屋

??? ??



 雲間から覗く月光が紅いステンドグラスから注ぎ、ある人物の深紅の眼とミルクティー色の髪を照らす。

本当は月など見えないのかもしれない。

だがこの人物には、雲の先に待つ運命すらも見通せていたのだろう。


 月を眺めたまま口の端を僅かに上げ、執事に放った言葉は耳を疑うものだった。


「ユーカリが育つ日の晩、藍竜組に今から書く手紙を渡してくれる? 俺を怒らせた人が居るんだよねぇ……だからさ、消さなきゃ」



 一言一言に恨みを込めて言う人物の言葉に、執事は片膝をついた姿勢のまま顔を伏せた。

「承知致しました。貴方様が筆を下ろすその時まで、私は室外にてお待ちしております」

主人には決して見せないように空を睨んで言うと、執事は胸の前で小さく拳を作った。


「これでやっとあいつに復讐できる」

扉を開ける直前に呟いた執事の言葉が聞こえたのか、ある人物は首だけで振り返り笑みを漏らした。


「俺と滝本は同じだもんね。心底恨んでいる人物も、"嫉妬"を向け続けている人物も、殺したい人間も」

執事改め滝本が扉を閉める直前に置いた言葉は、儚くもステンドグラスに跳ね返って消えていった。



 やがて扉が閉まる音が響くと同時にその人物は左腕を見下し、憎悪を噛み締めるように口角を上げたのだ。



・・・



――数日後


2018年5月6日 0時

藍竜組 総長室兼副総長室



 人工の血液の匂いが鼻を衝く封筒が届いたのは、午前0時頃だった。

総務担当の隊員が申し訳なさそうに藍竜総長に手渡すと、総長は疲れたような笑みを浮かべて受け取る。


「こんな夜中に総務を叩き起こすとは」

藍竜総長は自室に戻って封を開けると、そこには――



<この手紙を藍竜司総長、貴方が直接龍勢淳に渡す事。これ以降の文章は龍勢のみ読む事が許されている>

丁度その文章のみが見えるよう折られた便箋が入っており、その先は透けない素材の紙に書かれているようだ。


 宛名も差出人も無い手紙だが、誰が書いたかも届けたかも察しがつく。

1か月程前、龍勢淳により左腕を負傷したのではないか、と噂になっていたあの人物に違いない。


「折角裾野の事が片付いたと思ったら――だが面白い」

奥の部屋で眠る副総長に気付かれぬよう机の奥底に手紙を差し入れると、テーブルランプのスイッチを捻った。



 藍竜組及び龍勢淳に不穏な足音がすぐそこまで近づいてきていた。

あけましておめでとうございます。

作者の趙雲です。

新年早々遅れてしまい申し訳ありません。

今年もよろしくお願いします。


次回投稿日は、1月11日(土) or 1月12日(日)です。

それでは良い1週間を。


作者 趙雲


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ