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「4話-記号-」

大晦日ですね。

それとは関係ないのですが、騅の現在にも影響が出始めたようです。

過去では4日前まで迫りました。

いよいよ、何かが動きそうな予感がいたします。


※約3,200字です。

2018年4月某日 昼後

藍竜組 裾野、菅野と騅の部屋



 昨日送られてきた暗号の意味は、僕にはさっぱり分からなかった。

だから異母兄弟の月道に連絡を取ってみることにしたんだ。

……結構久しぶりだから、出てくれるかも怪しいけどね。

そう思いながら、呼び出し音が途切れるのを待っていると、プツッと電話に出た音が耳に響いた。

『何?』

それから月道の冷たい声が耳を冷やす。

いつ聞いても……話すのを躊躇う声だなぁ。

『忙しいところごめん……どうしても訊きたいことがあって、メールで送ったんだけど今いいかな』

僕は電話口から聞こえる溜息を無視しながら言うと、月道はカタカタとキーボードを滑らかに打った。

『いいけど』

『えっと……今送ったメールの記号の意味分かる?』

僕が送ったメールの画面を開いて確認しながら言うと、月道は短く返事した。

『これ、怪盗の記号でしょ。まずエクスクラメーションマークは人間を指す。2つあるから2人。音符マークは音楽を武器にしている、音楽好き、または声に特徴がある人。最後のセミコロンは、血を流した人間。つまり、音に関係している犯人2人組は騅ともう1人を狙っている。分かった?』

月道はつっかえることなくスラスラ答えると、僕の知識の無さに呆れたのかまた溜息をついた。

『ありがとう……でも何で石河さんが?』

僕がメモ帳に言われたことを書き写しながら言うと、

『知らない。からすさんに繋ぐから、訊けばいいでしょ』

と、ブツという受話器を置く音と共に冷気も消えてしまった。

 しばらくすると、すぐに欠伸が聞こえてきた。

『はい、からす~。あ~石河の行動ね。あいつは偶然会話を聞いちゃったみたいだよ。映像送っといたから、観といてね~。は~大丈夫、俺も俺で探しとくから、じゃあね~』

藤堂さんは畳みかけるように言うと、一方的に通話を切ってしまった。


「え、え~……」

僕は質問する隙も与えられないまま、スマフォを机の上に置くしかなかった。

ただ、石河さんが僕に忠告してくれたことに心から感謝した。

「さてと、映像を観る前に書いてしまわないと……」

僕は動画にクリックポイントを乗せながらも、すぐにウィンドウを閉じた。

「感想も後で見ようっと……」

盛大な独り言を言いながら、僕はweb小説のマイページにログインしたのだった。



2018年3月某日 午後3時(事件4日前)

藍竜組総長室



 総長室に連日呼び出されているのは、おそらく"影"のことを僕と菅野さんにしか話していないからだろう。

かといって全員に共有させてしまうと、情報漏洩の危険性があるからだろうし……それに裾野さんと相棒だったことも関係はあると思うけど。

そんなことを考えながら、僕は菅野さんを連れて総長室を訪れていた。


 総長室に入ると、少々疲れた様子の総長が煙草を吹かしていた。

「総長……」

僕が菅野さんと共に向かい側の席に座ると、総長は机の上にあった灰皿に押し当てた。

「連日呼び出して悪いな。影は……やはり裾野とも関係があるようだ」

総長は椅子の手前に座り、今まで撮った影の写真を並べた。

その中でも初めて見た3,4枚目の写真には、裾野さんと影が片桐組のグラウンドで話し込んでいる様子が映っているものと、片桐組に入る瞬間を捉えたものがあった。

前者は話し込んでいる筈なのに、姿が影としか呼べない程黒い人影でしかなかった。

 だけど菅野さんは影が云々ではなく、裾野さん事を悪く言われたと思ったのか、立ち上がって拳をキツく握った。

「やはりって何ですか!? 裾野はわざと写真に撮られたんとちゃいますか!?」

菅野さんは総長を睨みつけ早口で捲し立てると、歯を食いしばった。

すると総長は唇を固く閉ざす菅野さんを包み込むような目線で見上げ、

「そうだ。ただ、裾野は菅野を甘く見ている。……それとも、お前を信じているのかもしれないな」

と、ゆったりとした口調で言うと、腕を組んで背もたれに寄り掛かった。

藍竜総長は時折宙に浮いてしまいそうになるくらい、つかみどころのない発言をされる。

それは菅野さんに理解してもらいたいのではなくて、きっと……。

「そんなん知りません! 裾野が"BLACK"を終わらそうとして、自分を犠牲にしようとしているんやったら……止めるまでです!」

菅野さんは覚悟を決めた表情で僕と総長を交互に見ると、ふぅと長い息をついて座った。

「……若いな」

総長は僕にだけ聞こえるような声量で言うと、左側の口角だけを上げた。

僕はそれを見て、ただただ頷くしかなかった。


 それからしばらくして、珍しく扉から湊さんが入ってきた。

「佐藤組だけが狙われているのは、裾野が関係しているかもしれない」

湊さんはノートパソコンを片手に総長の隣に座り、何回かキーボードを叩いた。

「そうか……。これは?」

総長がノートパソコンの画面を指差して言うと、

「佐藤総長に話を聞いたところ、ポルターガイストのような現象が起きている事が分かった」

と、湊さんは僕たちにも画面を見せた。

総長室と思われる豪華絢爛な室内が映された映像には、誰も映っていない。

それなのに、独りでに物が動いている……。

しかもトロフィーや壺といった高価な物だけが、前後左右に揺らすように動いているのだ。

そのうえ、これを影がやったとしても……カメラの連射スピードより早く動ける人物でない限り不可能なのだ。

 そこで総長は背もたれから身体を起こし、

「片桐と影はグルだな。もしくは、藤堂からすと繋がっているか……どう思う?」

と、湊さんを横目で見遣って言うと、湊さんは笑い皺を深く刻んではいるものの表情は硬かった。

「断言はすべきではないが、監視カメラの映像が弄られているのは確かだと鳩村が言っていた」

湊さんは少し疲れた様子で言うと、背もたれに寄り掛かった。

「それと藍竜。昨日の名家の件だが、それも関係があると思う」

そう付け足した湊さんの言葉にいち早く反応したのは、菅野さんだった。


「何で名家って、殺し屋やないのに"BLACK"の目的? 存在に気付いているんです?」

菅野さんは身を乗り出し、目を輝かせた。

ただ、湊さんは徐に目を閉じ、

「裾野が根回しを……いや、その手はずを整えたんだろ?」

と、総長の方を見た。ただ、総長は表情を変えないまま、

「裾野が名家を救う為に動いたのだろう。片桐組でも自由がきくものだな」

と、総長は席を立ち、2本目の煙草を吸い始めようとしたが、湊さんがひょいと取り上げてしまった。

「はぁ……」

総長が苛立った様子で左手に持っていたライターをスーツジャケットの内ポケットにしまうと、

「吸い過ぎだぞ、止めとけ」

と、湊さんは灰皿に煙草を置いて言った。

 その様子を見た菅野さんは、

「よう分から、分かりませんけど、裾野は……元気なんです?」

と、眉を下げて手もみをしている。

菅野さんは連絡もしていなければ、顔も合わせていないから、余程気になったのだろう。

「空くんも一緒だから、心配しないでやってくれ」

総長は煙を吐きながら、菅野さんに愛想笑いを返す。

それに対し菅野さんは、自分では力不足なのかな、と太腿を擦りながら呟いた。

だけど僕はそのときはその様子を見て、首を傾げるだけでその場では訊かなかった。


 だから部屋に帰ってから脚が悪いのかどうか訊くと、菅野さんは口を濁してしまい、それを見た僕は、自分が入ってはいけない問題だと悟り口を噤んだ。

すると菅野さんはそのことに感謝してきたけど、何故感謝されたのかは訊けなかった。



 何でだろう?

僕はあの場で言えなかった質問を頭の中に咲かせては、除草剤を振りまいた。

「今更……終わった後で」

何年経とうと、僕の根本的な部分は変わっていなかった。

だけど……今は石河さんがくれたヒント、月道と藤堂さんが教えてくれた情報がある。

映像を……見てみよう。


 メール画面を開き、再生を待つ添付動画をクリックした。

すると音量こそ小さいが、裏路地で話し込む2人の影を見つけた。

それから、路地の角で身を隠す石河さんが見えた、

そして"ある言葉"が男の声で紡がれたとき、僕も映像の石河さんも耳を疑った。



「"BLACK"を暴こうとしている素人が居るから消せ」

この声……聞いたことないな。

いったい誰が?

僕は……見えない敵に向かい画面越しに万年筆で刺し、

「絶対負けない!」

と、言い聞かせるように叫んだ。

今年は大変お世話になりました。

投稿日が遅れることも多く、迷惑をかなりお掛けしたと思います。

来年はまた心を新たにして邁進してまいりますので、ご指導・応援の程よろしくお願いいたします。

それでは皆様、良いお年を!


……次回投稿日ですが、1月6日(土)か7日(日)になります。

趙雲の気まぐれ短編集は、大晦日更新を取りやめてですね……明日1月1日(月)に更新いたします。

お話の内容は、独断と偏見で書いてみたいキャラのお正月を覗き見するような形になります。

今のところ、血液型別に4人選ぼうかな……なんて考えております!

お楽しみに!!


趙雲

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