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「3話-奇なる動き-」

短めのお話です。

連日報告される影の正体に気付くのは、一体いつになるのか。

現在の騅にも動きがあったようです。


※約2,600字です。


2018年4月某日 昼後

藍竜組 裾野、菅野と騅の部屋



 食器の片付けも終わったし、水回りの掃除をしてから書こうかな。

それにしてもラップで掃除すると、驚く程綺麗になるなぁ……。僕の疲れた顔もハッキリ映っている。

……それはあまり嬉しくないけど。

よし、今日も閲覧人数を確認してっと……あれ?

マイページに見覚えのある名前からが感想が来ている。

「石河風音さん……から?」

僕は偽物という可能性を頭の隅に置き感想ページを開くと、そこには彼女の口調そっくりにこう書かれていた。


『風音です!

 何でもさん、初めまして!!

 文章御上手ですね~、好きかもしれないです♪

 今、縦読みだと思ったでしょ?

 残念でした~、もっと違う読み方をして;;』


 ……ん~、僕には伝わらない。

ただ、やたら記号は多いような。そう言えば、石河さんは怪盗だ。

もしかしたら、記号に何か意味を込めているのかもしれない。

書き終えるまでには調べておこう。

僕の頭で……理解できるといいけど。




2018年3月某日(事件5日前)午後14時

藍竜組 総長室前



 同世代の名家の情報はここにある。

ただ、その情報が本当なら……僕が如何に"BLACK"を軽く考えているかが露呈する気がする。

何故そこまで勘付くのか、殺し屋であったことが無い僕には分からないのだ。

それに鳩村さんに情報を貰うときに、さらっと昨日の発言の真意を訊いたのだが、驚くことに覚えていないと言ったのだ。

何でだろう?

 とりあえず、それは置いておこう。


 僕はふぅと息をついてから、総長室の扉をノックした。

いつもノックする前に物凄く緊張してしまうからなぁ……って、隣にいる菅野さんは平然としていらっしゃるけど。

「……」

だがいつもは聞こえる筈の藍竜総長の返事がない。

「あれ?」

と、不審に思った僕がもう一度ノックしようとすると、その手を菅野さんが止めた。

「待って。桜色のオーラを扉の奥から感じるってことは、副総長は居るんとちゃうかな?」

菅野さんはくっきり二重の丸い目で僕を見上げると、改めてノックもせずにドアノブを捻ってしまった。

 そうそう、副総長は隊員に名前を明かしていないが、桜をこよなく愛する忍者なのだ。

部屋に入ってすぐ適当にとはいえ、上座に背もたれまでどっぷりと座る菅野さんに溜息をつき、下座はこちらですよ、と座り直させた。

「へぇ、そうなんや。いつもは裾野が先に座って、俺を座らせてたからな~……覚えられへんわけやわ」

菅野さんは副総長が目の前に居るというのに、僕に満面の笑みを寄越す。でもそれでいいのだ。

副総長はむしろ元気な隊員の姿を見たい、という桜の大木のような方だから。

「そうですね。副総長、まずはこちらに目を通していただけますでしょうか?」

僕は一礼してから椅子の手前側に座ると、机に資料を並べた。

最近は電子媒体も増えてきたが、副総長は紙媒体がお好みだ。

「……」

副総長はページ番号通りに目線を右へ左へ動かすと、忍者装束の腰帯あたりを擦った。

すると煙と桜の花びらがふわっと舞い、そこから昨日もお会いした冷泉湊さんが姿を現し、副総長の隣にそのままストンと座った。

「……」

副総長は冷泉さんにマーカーを引いたところを指差すと、冷泉さんは何回か頷きながら顎に手をやって考え込んだ。

たしかあれは10ページ目だから、後鳥羽竜馬(ごとば りょうま)の資料だろう。

彼は"憤怒"の力で怒りの鉄槌を食らわす傘使いさんで、その技の種類は最多とも言えると裾野さんが言っていた。

竜馬さんはつっけんどんな雰囲気で気難しいところもあるが、とても人は良いと聞いたことがある。

あと、ヨーグルトが好きで豚肉が嫌いだ。

「名家が"BLACK"の真の目的に気付いている可能性が高いようだな」

冷泉さんは顎を擦ってそう言うと、昨日の影の写真と今日撮られたものであろう写真を机の上に置いた。

「そうなんですか……。やたら皆さん警戒していたり、商人の出入りが頻繁になっていたりするのもそうですかね?」

と、僕は後醍醐家で過ごした日々が頭を過り、思わず身を乗り出して言うと、冷泉さんはそれを軽く手で制し、

「そうとも言うかな。それより昨日の影のことだが、脚が奇跡的に写り込んだ」

と、写真を僕たちに向け、火星のような色のパンツで覆われた片脚を指差した。


 うん、体格的に男性だ。

間違いないだろう。

僕は大きく頷きながら自分の考えを固めていたのだが、隣で覗き込んでいた菅野さんは首をかしげると、

「嘘のオーラ? みたいなんが出てるんやけど、こいつとんでもない能力持ってそうやなぁ……せやけど、そう見せないように何かを創りあげているようにも見えるで!」

と、最後には語気を強め、人差し指をピンと立てて目を輝かせた。

「なるほどね。俺もそう思っていたところだ」

冷泉さんは安らぎを与えるような低音の声でそう言うと、

「この人は、あくまでも俺の憶測だが……嘘を付く系統のそれではないと思う」

と、小声で付け足した。

 すると副総長は顔をしかめつつも唇は僅かに微笑んだまま、冷泉さんの方を見遣った。

その視線を感じ取った冷泉さんは静かに頷き、

「情報ありがとう。総長も含めてこちらで話をまとめるから、数時間くれないか」

と、何も表情に出さないまま言い、続けて「総長があんなことをするとはな……」と、頭を抱えて呟いた。

僕はそれを不思議に思いながら、部屋を後にした。いや、正確に言えばされた、なのだが。



 部屋に戻ってから菅野さんは、副総長から出ていたオーラが不思議だと言い出した。

「なんやろ、副総長はあまり喋らへんけど……すっごい大事な事を隠している気がすんねん!」

菅野さんはパステルカラーの春物ジャケットを翻しながら、ぐるぐると部屋の中を回った。

「う~ん……」

それでも僕は、まだ確信が持てなかった。

菅野さんのオーラを見聞きする能力を疑っている訳じゃないけど、本人の口から聞かないと納得できないこともあるから。

……もしかして僕は、相当頭が固い人間なのかな?



 そこまで書き終え投稿すると、ほっと一息つく為にケトルを収納棚から取り出してお湯を注いでから電源を入れた。

パッとササッとすぐに沸く、というキャッチフレーズがついた有名な商品なだけに、本当に数分で沸いてしまう。

「……感情もすぐに沸く、からなぁ」

僕はそう呟きながら、急須にお茶葉を入れてゆっくりと円を描くように注いだ。

今日はどのくらいの人が見てくれるかな。

パーテーション越しに春めいた空を見上げながら、僕は心の中に沸いた温かい感情に浸ったのだった。

……結局暗号の意図は不明だったが。

作者です。


投稿が遅れてしまい、大変申し訳ございません。

いつも謝っていますね。

方向性は決まっているものの、お話の構成がガラリと変わるかもしれず……若干練り直しつつの投稿でございます。

これからもお待たせすることがあるかもしれませんが、何卒応援のほどよろしくお願いいたします。


それでは……メリークリスマス。

家族との素晴らしい時間を。


作者 趙雲

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