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「18話-裾野聖か後鳥羽龍か?-」

今回は短く、この先どうなるのか匂わせたままになりました。

裾野さんと対峙する菅野さんの決意に、騅はどう思うのか!?


※約2,100字です。短くいたしました。

2018年4月某日 15時過ぎ

裾野さん、騅と菅野さんの部屋



 季節外れの桜が咲く。

聞こえは良いが、副総長にとっては自分の攻撃で人が亡くなった何よりもの証拠だと言う。

自分がそこを通るときは、桜の花びらがはらはらと舞い落ち、側を通れば花びらが生き返る。

僕なりに例えてみると、昔イジメられていた小学校の前を通るとイジメっ子たちが無言で付いてくる……だろうか。

胸糞悪いので、僕の例えはここら辺でシメておこう。

 それで副総長は日を改めて僕の部屋にいらっしゃって、マフィアを潰したときの違和感を話してくださるとのことだった。

早速パーテーションを潜っていただき、ダイニングにご案内すると会釈をしてくださった。

僕は台所で水出しのお茶を淹れ、そっとお茶を右側に音を立てないように置くと、

「侵入して1人ずつ気づかれずに片づけていたら、裾野聖が来た、と叫ばれた。何故気付かれたか、さっぱりだ」

と、首を捻りながら言うと、お茶を一気の飲み干した。

「たしかにおかしいですよね。副総長に気付く方なんて限られますし……」

僕はグラスを持っていき、お茶を淹れながら言うと、副総長は何か思いついたのか膝を打ち、

「裾野の英国襲撃があったからだ! きっとそうだ!」

と、かなり納得されたのか微笑む声が僅かに聞こえてきた。

余程ご自身の腕に自信が無ければ、ここまで理由が分かっただけで安心はしない。

「は、はぁ……。それにしても副総長。おそらくですけど、副総長には気づいてないと思うんです。ただ、敵襲があったから、かと……」

僕がお茶を置きながら言うと、またしても一気に飲み干してしまい、バツが悪そうに目を伏せた。

「喉が渇いたんだ、すまない……ありがとう」

副総長は微笑んでいるのか目元を僅かに細め、忍者装束で隠れた口元を手で覆いながら会釈をした。

「はい……あの、副総長。そのときの裾野さんって、きっと……仕事の時の目をされていたんですよね」

と、言いながら3回目ともなると手際よく出来るようになってきたお茶くみを済ますと、今度はグラスに手を掛けなかったので席に座った。

だが副総長は怪訝そうにこちらの様子を伺っていらっしゃったので、

「いえ、その、えっと……裾野さんって色んな顔と目の色がありすぎて、どれが本物なのか、さっぱりなんです。何年も一緒に寝食を共にしている筈なんですけど……。菅野さんは分かっていらっしゃるんでしょうか?」

と、疑問に思ったことを訊いてみると、副総長は何回か顎を擦ったり考えこんでいるのか俯いておられたりしたが、

「俺にも分からない。だけど菅野は分かっている。オーラを読み取る必要が無いぐらいに……言葉が合っているか分からないが、深い仲だ」

と、言葉を選びながら仰ったので、僕は胸がザワつくというか落ち着かない気持ちになった。

深い仲……それでは互いの伴侶を悲しませる。

だけど親友、心友は伴侶にとっても助けになるから……いいのだろうか。

「……そうですよね。あのときも、絶対に2人にしか分からない空気感がありましたもの……」

僕は言葉尻を窄めながら言うと、自分の分のお茶を一気飲みしシンクにグラスを慎重に置いた。

そうでもしないと、今は勢いで叩き割ってしまいそうだったからだ。


――女性を大事にしなさい、と言ってくれた詠飛さんの気持ちを踏みにじる事になるから。



2018年4月1日 18時前(事件当日)

片桐組 総長室への近道途中の迷路



 剣を構えた裾野さんは迷いの無い……暗く淀んだ紅い眼をしていて、菅野さんへの殺意とトラウマを魅せたい願望が渦巻いていた。

「……裾野、ちょっとは頭冷やしたらどうや?」

菅野さんは対照的に紅い眼に驚いているのか、慄いているのか、それとも受け入れられないのか、声色が若干上ずっているように感じた。

「クフフ……能力を使わないのか?」

裾野さんは普段とは似ても似つかない、獣のような得体の知れない語り口で言葉を発すると、更に目を爛々とさせた。

流石にこうなると、関係の無い僕までトラウマを見てしまうかもしれないので、石河さんと共に壁から覗く形に場所を変えた。

「そんなもん、必要ない筈やん……な?」

菅野さんは槍を構えようとせず、むしろ心臓を護るように引き寄せて抱きしめている。

「そうだ」

裾野さんは剣を構えたまま、睨み合うように間合いを見極めている。

「……一緒に帰ろうや。ほんで、また一緒に暮らそう? なぁ……龍」

菅野さんは説得を試みることにしたのか、詰められないように気を付けながら探るように言葉を選んでいる。

だが裾野さんは紅い眼に支配されているのか、剣を納める気はないようだ。

「そうか。そう出来たらいいな」

それどころか、唸り声のようなものを喉の奥で鳴らし、僅かに間合いを詰めてきたのだ。

「……さよか。そっちがその気なら……。騅!! 飛んでくるモン全部避けてええんやけど、9時の方向から来る半透明なモンだけは避けたらアカンで!」

それを合図に菅野さんが叫ぶときに振り返ったのだが、そのときの菅野さんを見た僕は…………。

「9時の方向の半透明ですね! は、はい!! 菅野さんなら絶対出来ます!」

と、思わず目を輝かせて叫んでいた。

何が飛んでくるのか、どんな速度で飛んでくるのか、何も考えずに。

ただただ、この人なら大丈夫だと思ったのは――目を閉じていたからだった。

作者です。

ギリギリ遅刻しませんでした。

新年度も段々慣れてきましたが、あと1週間もすればGWですね!!

今から楽しみなので、頑張れそうです。


次回投稿日は、4月28日(土)、29日(日)です。

それでは良い一週間を!!


作者 趙雲

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