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ユーカリと殺し屋の万年筆  作者: 趙雲
龍勢淳編
100/130

「17話-燈籠-(終編)<肆>」

残り3回。

記憶は戻るのか?


※約1,000字です。

2018年5月6日 13時頃(療養期間終了まで 後4日)

自宅 自室

如月龍也(きさらぎ たつや)



 残り4日。

だが最終日の朝にからすと会う約束をしてるから、治療出来るのは後3回。


 今日は昨日より長く、そして惑星に視界を邪魔されませんように。

そう祈りながら颯雅に身を委ね、記憶の世界へと旅立つ。



・・・



 独特な獣の臭いと、脚に感じる体温、そして心地良く響く翼の音。

見下すと、昨日と同じように烏の背に乗ってる事が分かる。


 昨日とは違い、記憶の世界でも自分の感覚が生きてる事に僅かながら喜びを覚える。

これなら烏と――からすと一緒に記憶を探してるイメージが持てる。


「…………」

昨日同様整然と並んだ記憶の映像から、6月19日のものを探す。


 無い?


 どこだ?

昨日と違う場所はどこなんだ?


 全ての映像の左上に付箋が付いてる?

一体なぜ? 何の為に?


 そう思いながら青色の付箋に目を遣ると、そこには【あ】と書かれている。

それでは赤は何かと順番に見ていくと、五十音順に並んでいる事が分かった。


 なるほど。

昨日は時系列順だったが、今日は五十音順。

なぜ変わったかは分からないが、6月19日が【ろ】だとすればかなり下の方か。


 どうやら意識は烏と共有出来ているようで、目的の場所を目指して下降してくれてる。

「ありがとう」

返事は無いが礼を述べると、大きな瞳が僅かに細められた。

喜んでくれたのだろうか。


 そうして6月19日の記憶に辿り着くと、同じように朝俺が起きる所から映像が始まる。

昨日は妨害のあった朝御飯の場面を無事に見終え、どこかへと出かけていく。


 そう言えば、この時は湊の代わりに買い物に行ったんじゃなかったか。

曖昧だが、スーパーでレタスを手に取った記憶がぼんやりと蘇る。


 それでその後は――


「――!!」

前から来るのは、また惑星か。


 これも、五十音順になってるのか?

ということは、地球の次に来るのは――



――ドンッ!!



 どれだけ時間が経ったのか。

痛みの感覚も烏から落ちた感覚も無く、いつの間にかまた河川敷の映像が流れてる。


 そして諦めた笑顔を浮かべるからすでスローモーションになり、ブラックアウトしてしまう。

どうしてここから進まないんだ。


 だが自分に苛立ったのはほんの一瞬で、そこからは気持ち悪いくらいに落ち着いてしまった。

また明日思い出そうとすれば良いだろう。


 まだ2回残ってるのだから。からすと烏に会えるのだから。


・・・


 そう思いながらゆっくり目を開けると、颯雅と淳は昨日との様子の違いに首を傾げていたのだった。

ここまでの読了、ありがとうございます。

作者の趙雲です。


次回投稿日は、8月7日(土) or 8月8日(日)です。

それでは良い1週間を!


作者 趙雲

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