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「序章-現在-」


現在の騅は幸せそうに見えますか?

5年経って変わりましたか?

不変なもの、変動していくものと記憶をテーマにし、再始動する彼らの物語。


※約2,650字です。


――殺し屋が裏の世界を取り仕切り、殺し屋組織の上層部が政府や警察に口利きが出来る世界のお話。

だが一方で、その見返りとして政府の要望には応えねばならず、度々要人警護の依頼を受けることもある。


彼らは一般社会にはほんの一部にか知られておらず、影の立役者として世の中をどこか上手く回している存在。

したがって、殺し屋が街を歩いていても一般人や警察が警戒することは無く、依頼人が顔を見たとしても連絡は勿論話しかけてはならない為、ごく普通の生活を送ることが出来ている。


 ただ、一般社会にも裏の世界にも知られている唯一の存在が居る。

それは後鳥羽家、後醍醐家といった名家と呼ばれる大富豪の一家や、新田家といった貴族で、彼らは金に物を言わせる場合もあるが、ほとんどは殺し屋組織に所属するなり単独で動くなりし、自分の身を守っている。

"本作の荒筋より"――


 そんな世界の主人公である(すい)が5年前に命を狙う刺客より救出されてから報道が過熱し、

アニメやドラマが多数放送されたことで殺し屋に憧れる一般人が急速に増加した2018年春の都心。


今までは社会の裏方に潜んでいた筈の殺し屋業界に無理矢理スポットを当て表舞台に出したことで、憧憬だけでなく受験者も急増したものの辞める方が多く、殺し屋組織は予算に頭を抱えるようになっていた。


 そこで、5年前までは騅を殺した人物に対し警察に手配されず、ライバル組織を気にせず依頼を受けられた"BLACK"を数日前に改案し、新人も含めた殺し屋全員だけでなく組織にとって都合の悪い人物すら対象に入れ、殺し屋の自由と各々の価値観を追求させた。


所謂”新BLACK”の発表の為に1箇所に集められた全殺し屋、名家の身に起きたたった1日の出来事を、その場に居合わせた騅を含めた当事者と入口から静観していた龍勢淳(たつせ じゅん)の口から語られる。


 あなたの耳にも彼らの声が聞こえてきたか?

さぁ、記録と記憶を再生する時が来た。

 


2018年4月初旬



 朝日を受けて朱鷺(とき)色に反射する桜の花びらが、僕の長くなった金髪を撫でていく。

ここの通りは通学路の為、ピカピカのランドセルを背負った子どもたちが保護者に手を引かれていたり、制服を着た中高生が友人と談笑していたり、数日前のことなど知らぬ顔で歩き去っていく。


 そんな殺し屋という単語も舞台から退きつつある平和な日常を取り戻したこの街だが、一度でもたった1日で廃墟と化し、現在は売りにも出されていない平地になってしまったある建物があった場所なのだ。

その建物は片桐組という大手殺し屋組織の4つの寮と中世のお城みたいな本部で、信じられないと思うが数万人の名家出身の殺し屋が寝食を共にしていたのだ。

そうそう、僕の……2つ下で新社会人の歳の異母兄弟もスナイパーとして所属し、人殺しの指導もしてもらったことがある。


 元はといえば、殺し屋組織はこうやって一般社会とは一線を画す存在であるべきなんだ。

それを……僕の報道のせいで、アニメ化やドラマ放送、殺し屋の事をろくに知らない人間が――あのときは野次馬が多かったのもあるが――婉曲して誰でも出来るように描かれてしまっては、折角受かっても除隊する人が後を絶たなくなるのも当然だ。

でも今は1つも作られていないのは、それだけ事件の衝撃が大きかったのか、それとも――


 長い溜息をつきながら目線を下に移すと、うっすら雑草も顔を出し始めているが元から桜の木が植えてあった為、花びらが帽子のように覆い被さっている。

僕は春一番はとうに過ぎているのに暖かくなった風に目を細めながら白桃色のカーテンを見上げた。

「……僕が伝えなきゃ」

遅くなったけど僕の名前は、(すい)。6年前に名家の中でもトップクラスの後醍醐家に勘当されたから、元・後醍醐騅(ごだいご すい)でもある。

自分で言うのもなんだけど……5年前に死ぬ筈だった人間で、数日前の”あの事件”で消えてもおかしくなかった人間だ。

あーあ、あれから自慢の金髪は尻の上程まで伸びて、元からウェーブがかっていたから少し縮れちゃったな。

もうそんなに経つのかな。


 僕が何故ここに居るのかは、これからWeb小説サイトに連載形式で”あの事件”の真相を伝えようとするためだけど……違う。

まだ心の奥に臆病風が吹いていたから、春風で飛ばしてしまおうと思っていたんだった。

だけど執筆するのは僕だけじゃない。

あの日一緒に居なかったけど後日取材に協力してくださる方々や、自ら筆を執ってくださる方もいらっしゃる。


 その方の名前は、龍勢淳(たつせ じゅん)さん。

僕の…………相棒の菅野さんの奥さんだ。菅野さんの話はまたするとしよう。

龍勢さんは小さいお子さんが居るから戦火の外で見守っていたみたいだけど、僕と同じように御兄弟の記憶や、話を聞けた人たちを頼りに執筆してくださるそうだ。

 あとありがたいことに、その他にも事件前夜までの大きな流れも書いてくださるから、僕も出来るだけ分かる範囲と記憶の許す限り執筆しようと思う。

だからこそこの御話を書き終える頃には多少話題になれれば幸いだが、殺し屋という存在がまた裏方に戻り、二度と平和な一般社会の舞台に上がらないように、また興味本位で一般人が入り込まないように……何1つ嘘や虚偽記憶の無い、あるがままを伝え終えることが僕たち生き残った人間の役目だ。


 さて、早速僕が身を置いている藍竜組に帰って、窓の側に移動させたユーカリの鉢植えに水をあげないと。

そう思いながら春物のパステルカラーのジャケットの裾を翻すと、

――コトン。

と、小さな物が落ちた音がして、慌てて後ろを振り返った。

「危ない、危ない……」

筆を執るとは言ってもパソコンのキーボードを叩く訳だけど、プロットは紙に書きたいからって金糸風の白猫と龍が刻まれた万年筆を買ったんだった。

僕としたことが、そんな大事なものを落とすなんて……うっかりしているなぁ。

「……ふぅ」

また丸々と太った柔らかい風が僕の髪と頬を撫でていく。

今度は僕がこの筆で真実を伝えないと。

そう思い、門があった場所から一歩踏み出すと、193cmの長身が目を引くせいか、女子高生たちが一斉に目を輝かせながら振り向いた。

……普通の生活とはいったい何だろうか?

作者です。


プロローグはいかがでしょうか?

前作を読んでいない方々向けに荒筋におおよその世界観の説明、プロローグにも説明を加えさせていただきました。

ここで初めて私の作品に出会った方々も、以前より応援していただいている方々もどうぞ有意義な時間をお過ごしくださいませ。


次回投稿日は、12月2日(土)か3日(日)です。

投稿ペースは週1がほとんどです。

それでは、良い一週間を。


作者 趙雲

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