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体温

 教会にはノワールを連れていけないので、従魔用のスペースで待っていてもらうことにした。

 ノワールは単体でも相当強いので万が一の事があっても対処は出来るだろうしな。




 教会は割と目立つので直ぐに見つかった。

 中に入り、空いている所に座って祈る。

 別に神に対して何も思っちゃいないが、これが一番手っ取り早くアイツの所へ行けるのだ。

 俺が教会へ行って祈りのポーズをとり、サーシャが天界へゲートを繋げて意識だけを向こうに飛ばす。これだけ。

 つまりサーシャが凄いってことだな。


【褒めても何も出ませんよ。繋げます】


 うぇい。

 一瞬意識が遠くなったが、次の瞬間には意識がはっきりする。


【飛びました】


 いつもありがとうな。


【これも私の務めですから】


 ホント、サーシャなしでは生きて行けくなりそうだ。

 さて、アイツを探そうか。


 俺は祈りのポーズをやめて立ち上がる。

 周りを見渡すと、そこは白が広がる世界。

 ここのどっかにアイツはいる。


【見つけました。五時の方向一キロ先です】

「サンキュー」


 サーシャが言った方向にダッシュっ!

 ちょっと走ると人影が見えたので、跳躍してドロップキックをかます。

 だが、俺のドロップキックは人影――白い服を着た金髪碧眼の優男イケメンの前で、見えない壁みたいな物で止められてしまった。


「やあ、幹也君。いきなり来るからびっくりしたよ」


 幹也(みきや)とは俺が地球に居た頃の名前だ。


「サプライズ成功だな」

「ふふ。1000回目の転生おめでとう。何か記念にあげようと思うんだけど、何か欲しいものはあるかい?」

「そうだな、サーシャに肉体を作ってくれ」

【いいのですか? 新たな力を手に入れてもいいんですよ?】


 新たな力ねぇ…。


「正直、今の力で満足だ。身体能力だけでも既にチートに域だしな。だからゼオン。サーシャに肉体を作ってくれ」


 ゼオンとはこの金髪碧眼優男のこと。

 地球で気付いたら死んでいた俺を異世界に変な力(無限転生)を付けて、生きかえらせてきたくれた神様。

 それ以来の付き合いってわけだ。


「お安い御用さ。サーシャ、どんな身体がいい? 決まっているなら僕に描いた物を送って」

【はい】

「ありがと。君の身体は幹也君のボックスの中に入れておいたから、戻ったら確認するといいよ。肉体へ移るには念じるだけでいいからね」


 この一瞬で作成したのか。さすが神様ゼオン様。


【ありがとうございますゼオン様。マスター】


 声が少し震えてるような気がする。

 ここは何も言わないでおこう。


「他になんかいる? せっかくの1000回目記念だし、もう一個位あげてもいいよ?」


 って言われてもな。


「満足してるのも事実だし……。うん、やっぱいらん」

「ふふ。普通の人ならもっと強い力を望んだりするんだけどね。まあいいや、なんか欲しくなったら呼んでね。すぐにパス繋ぐから」

「あいよ、欲しくなる時がくればな」

「うん。そろそろ時間だ。またお話に来てね。こう見えて僕、かなり暇なんだよね」

「どう見ても暇だよな」

「あはは。だからまた来てね」

「了解」


 返事したところで俺の意識は遠くなった。

 目が覚めると、俺は祈りのポーズをしていたので帰って来たのだろう。

 ポーズをやめて顔を上げて周りを見る。

 来た時と人の数は変わらないため、時間はそんなに経っていない事を確認し、椅子から立ち上がって教会を後にした。


 ノワールを向かいに行き、人目のつかない場所に移動してボックスを開く。

 中を探すと銀糸の様な綺麗な銀髪を持つ美少女が横たわっているのが確認できたので、ボックスから出す。

 白いワンピースを着ている彼女は、身長は160にも満たない位で顔は整っており、まさに美少女と言う言葉がぴったりだった。

 胸は大きくもなく小さくもない。と言ったところだろうか?


【見過ぎです】

「すまん。さっそく移るか?」

【はい】


 サーシャが返事をしてすぐ、目の前で壁にもたれ掛かっている少女が目を開けた。

 その目はルビーの様な綺麗な赤色をしていた。

 彼女は自分の手を確かめるように動かした後立ち上がる。

 だが、まだちゃんと定着していないのか、ふらっと倒れそうになったので支えてあげた。

 彼女は支えている俺の方へその綺麗な顔を向けると、目じりに涙を溜めて微笑み、こう言った。


「やっと……やっと会えましたね…! マスター…っ!」


 彼女は俺を抱きしめてきた。

 俺はそれを受け入れ、抱き返す。

 ずっと側にいてくれた彼女の体温を、やっと感じ取れた。

 彼女は、温かかった。


本作のヒロイン登場!

彼女は強いです(絆が)

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