次の街へ
戦争の次の日。
なんかめんどくさくなる予感がしたので、朝早くから準備をしてレイジスから出た。
「アルヴァじゃないか。どうしたこんな朝早くから」
「いえ、今日この国を出ようと思って」
「は? またいきなりだな。ブラッドフィールド騎士団長は知ってるのか?」
「いや、言ってません」
「なら一度挨拶してくるといい」
「あー……挨拶はいいです。その代わりにこれ渡しておいてください」
今王城に行ったらめんどくさそうだし、取り合ってくれんだろ。
「…お前がそれでいいならいいさ。気をつけて行って来いよ。旅に疲れたら戻ってこい。レイジス王国はお前達をいつでも歓迎するぞ」
「ありがとうございます。では」
「ありがとうございました」
俺達は一礼してその場を去る。
「ノワールもまたな」
「ウォン」
ノワールも一鳴きして付いてきた。
さて、次はどこへ向かおうか。
「隣の国に行きましょう」
「帝国?」
「いえ、海沿いにある国、マーレ王国です」
「海か。行こうか」
「はい」
『なるほど、次は海産物か。素晴らしい』
犬が食べられる海産系ってなんかあったっけな……。
『雑食だからなんでも食えるぞ』
眉間にしわを寄せて考えていたらノワールがそういった。
「腹壊しても知らんぞ」
『生まれてこの方腹を壊したことはあんまりない』
あるんだな。
◇◆◇◆◇◆◇
のんびり歩きながら時折襲ってくる盗賊やら山賊やらを殲滅しながら移動し、半日かけて王都から一番近い町へと到着した。
確か、ここからそう遠くない場所にフィサリスさんたちが住んでたエルフの里があるって聞いたな。
後で行ってみよ。
今日はここで寝て次の町へは明日移動するつもりだ。
「きゃあああああああああああっ!!!?」
そして着いて早々これである。
一体なんだってんだ。
「マスターの巻き込まれ体質はこの世界でも健在ですね」
そんな体質捨てたいぜ。
急いで悲鳴が上がったほうへ向かうとそこには血だらけで倒れている青年と、その青年に寄り添う少女がいた。
すぐさま近寄り治療。
結構ひどい傷だったが俺にかかればこんなもの軽傷だ。
傷は大きな爪で抉られたようなものだったので、恐らく獣型の、しかも大型の魔物とみていいだろう。
「お兄ちゃんは…?」
「もう安心していいぞ」
泣きながら聞いてくる少女にやさしく伝える。
「よがった…よがったよぉぉ……」
更に泣く少女。
こういう場合の対処は未だにわからんな。
しばらくすると、青年が起きた。
すると少女が青年に抱き着き感動の場面であるが、早くしてほしいところである。
やっと青年は俺に気づき、治療したことにお礼を言ってきた。
「二、三日は安静にしとくといい。それより何があったんだ?」
「実は――」
要約するとこうだ。
この町では最近狼男が出現しては人を切り裂いては逃げていく事件が多発しているとのこと。
さっきも少女が襲われそうになったところを青年が身を挺して守ったとのこと。
「なるほど、ありがとう。君たちは早く家に帰りな。まだそいつがウロウロしてるかもしれない」
「はい」
「うん、ありがとうお兄さん」
手を振って帰る二人を見送り、サーシャを見る。
「暴走ですかね」
「だろうな」
たまにいるんだよ。狼男、狼女と人間の間に生まれたハーフが。
ハーフはある一定の時期に来ると変身できるようになるんだが、上手くいかずに我を忘れて暴走する。
今回はそれが原因で間違いないだろうな。
めんどくさ。




