勇者との邂逅 その2
ノワールが勇者に絡まれて早一週間。
俺達は依頼で山に来ていた。
依頼内容はワイバーンの群れの殲滅。
少し前に冒険者が襲われたとかなんとか。
んで、丁度手が空いていた俺達が依頼を受けることになりこうしてここに来ている。
「頂上付近にいますね」
「っけー」
『ワイバーンの肉はドラゴン程じゃないが美味かったのを覚えている。焼肉だな』
「お前の脳内は肉だけか」
『イエス肉ッ!』
「……はぁ」
とりま無視して頂上へ。
◇◆◇◆◇◆◇
さて、やって来ましたは頂上。
「確かに群れだな」
「ですねー」
「多いな」
「ですねー」
『肉が大量』
「ですねー」
俺達の視界に映るのは地表を覆い尽くす程のワイバーン。
「爆破」
そう言って火魔法の中でかなりの威力をほこる爆破魔法を行使する。
よくあるエクスプロージョンってやつ。
俺の目の前でワイバーンを全て巻き込んだ大爆発が起こる。
耳痛ぇ……。
『ヌゥゥゥ……』
狼であるノワールは耳もいいので大ダメージだったらしい。
「悪ぃ」
『肉で許してやる』
「火加減は調整してあるから焼肉パーティできるぞ」
『俺、肉、食う』
「お、そうだな」
全滅させたので、取る物取って肉食わせるか。
◇◆◇◆◇◆◇
取る物取って焼肉パーティーを開いている。
楽しいパーティーの途中だが、ふと視線を感じたのでそちらに視線を向ける。
そこには木の陰に隠れてこちらの様子を窺う少年が一人。
この世界では珍しい黒髪黒目なのでこの少年がもう一人の勇者なのだろう。
「……」
彼は腹を押さえてこちらをじっと見ている。
「腹減ってるならこっちへ来い。食っていいぞ」
手招きをしてこちらへ呼ぶ。
彼は警戒しながらも腹の減りには勝てないのかゆっくりこちらへやってくる。
「ほれ」
「……」
黙って受け取りがっつく少年。
最近のガキはお礼も言えねぇのか?
満腹になった所で彼に話しかける。
「お前勇者の一人として召喚されたんだろ?」
そう聞くとビクッと身体を震わせる。
「……何故それを?」
「この世界では珍しい黒髪黒目のセットだからなぁ。それに俺も元日本人だ」
「転生……ってやつですか?」
1000回目のな。
「まあそんな感じだな」
「……大変…でしたね」
「勇者よりは大変じゃないな」
「……僕は…勇者じゃないので」
勇者じゃない?
サーシャ。
【彼は正真正銘の勇者ですよ】
どういうこっちゃ。
「どういうことだ?」
「……僕は聖剣に選ばれなかったので」
そう言う事か。
【あの聖剣は聖剣の中でも最弱の部類なので、選ばれなかったとしてももーまんたいです】
そーなのかー。
「ふむふむ」
俺は彼を足から順に見ていく。
魔力量はかなり多い。
筋力もそこそこあるな。
「お前強くなれるぞ」
「え?」
「鍛え方次第だけどな」
「……本当ですか!?」
「ああ」
「なら僕を鍛えてくださいッ!!」
「それは無理」
「…え?」
「俺教えるのだけは無理。その代わり強くしてくれる人を紹介しよう」
「本当ですか!?」
「おう」
◇◆◇◆◇◆◇
「久しぶりに顔を出したと思ったら知り合いを鍛えろって……」
強くしてくれる人。
そう、それは我がお父上である!
「で? その後ろにいるローブ被った奴を鍛えればいいのか?」
「そうそう」
「ふむ」
お父上は勇者その2をじっくりと観察。
「失礼」
お父上は勇者その2のフードを取ると目を見開く。
「……勇者カイト君」
「頼んでもいい?」
「ああ。彼は俺に任せてくれ。必ず強くしてやる」
「ありがとう。じゃあ、俺はこれで…」
「ところでアルヴァ」
お父上は俺の言葉を遮る。
「そちらのお嬢さんとの関係は?」
「仲間」
「本当に?」
「ああ」
「本当にぃ?」
「ニヤニヤやめろクソ親父」
「実の父に向ってその口の利き方はなんだ?」
剣を構えるお父上。
「なに? やるかクソ親父?」
「よーし! んじゃ訓練場へ来い! どこまで強くなったか見せて貰おうじゃないか!」
「負けても文句はなしだからな」
「当たり前だ」
ってなわけで親父殿戦う事になった。
お久しぶりです。
お待たせして申し訳ありません。
十日ほど休みを貰えたので頑張りますね!




