えっけん
「アルヴァ君。貴方に王城からの招待状が届いているわ」
「行きたくないです」
「強制よ」
「……めんどくさ」
ってなわけで王城へ行くことになった。
◇◆◇◆◇◆◇
豪華な馬車に乗せられ王城へと連行された俺は、現在謁見の間の扉の前まで来ていた。
ここまで連れて来てくれた執事の爺さんは扉を開いて一礼し、
「冒険者アルヴァとその仲間をお連れしました」
と言って俺を中に招き入れた。
俺とサーシャは中央まで行き跪く。
「ご苦労。面を上げよ」
俺達は顔を王の方へ向ける。
そこには豪華な椅子が二つあり、一つには厳めしい顔つきの男性。もう一つにはニコニコと優しそうな女性が座っていた。
「冒険者アルヴァ。並びに冒険者サーシャよ。此度はレイジスを救ってくれてありがとう。国を代表して礼を言う」
と言って頭を下げる王。
いい人そうだな。
「当然の事をしたまでです」
本来なら許可なく言葉を紡ぐのは不敬なのだが、この王ならば許してくれるだろう。
「貴様! 陛下の許しもなく言葉を発するとは不敬だぞ! 討ち取ってくれる!!」
そう叫ぶのは小デブの男。
いや、あんたの方が不敬だ。
「不敬なのはお前の方だ。出て行けギーリス」
「な、なぜ!?」
「お前はいつも不敬だ不敬だとうるさくする。そのせいで話が進まんのだ。出て行け」
いつも言ってるのか。この小デブ。
「くっ…!」
何がくっ…! だよ。こっち睨まれても困るぞ。
小デブが出た後、王はこちらを見る。
「すまないな。アイツはいつもああなのだ」
「いえ、大丈夫です」
「話しを戻そう。この街に来た魔族を倒したのはアルヴァ、君だな?」
「はい」
「ふむ。如何せんこのような事は初めてでな。どのような褒美が丁度良いかわからんのだ。どうする?」
どうすると言われてもな。
「爵位なんてどうだ?」
「いりません。自分には自由が一番あっているので」
「…そうか。ふむ」
断ると顎へ手を当てて考え始める王。
「ではこう言うのはどうでしょう。我々に貸し一つ……と言うのは?」
胸の前で手を合わせ、ニコニコと提案する王妃。
「それはいけません! 相手は冒険者です! どんな要求をしてくるか!」
と、今まで黙っていた貴族であろうおっさんが言う。
お、そうだな。
「そうですね。無茶な要求をするかもしれませんよ?」
俺はそう問う。
「貴方はそんな無茶な要求をするような人ではないでしょう?」
問いに問いで返すのは感心しないな。
「それはどうでしょうね」
その問いには微笑んでおいた。
「ふむ、それにするか」
それでいいのか王よ。
「アルヴァ。貸し一つでいいか? 考えるのめんどくさいし」
……それでいいのか王よ。
「陛下がそれでよろしいのであれば」
「そうか。では、冒険者アルヴァ。貴殿には貸しを一つだ。困ったことがあったならば私を頼ってくれ、貸しを返そう」
「ありがとうございます」
「よし! 仕事終わりだな」
と、先ほどの威厳が嘘のように気を抜く王。
これが素なのだろう。
「待ってください。まだお客人がいるのですよ?」
「うるさいぞ、爺や」
「うるさいとはなんですか。一国の王としてちゃんとして貰わなければ示しがつきません」
「でもなぁ」
爺やと呼ばれたのは俺達をここまで連れて来た執事の爺さん。
「もういいです。素に戻ってしまった以上何も言いません」
はぁ、とため息を吐く爺さん。
「ところでアルヴァ」
「あ、はい」
「君はライゼンの息子だそうだな」
「ええ、そうです」
「ならば、その強さも納得か」
あの父そんなに強いのか。
【人としては最強の部類に入りますね。一対一の場合に限りますけど】
一対一だと強いのか。なるほど、だから九年前のあの日は苦戦してたのか。
「今日ならライゼンもいると思うがどうする? 会っていくか?」
「いえ、やめておきます」
「そうか。今日は来てくれてありがとう。もう帰っていいぞ」
「わかりました。では、失礼します」
俺達は王に一礼して謁見の間を後にした。
扉を出るとメイドさんが待機しており、外まで案内してくれた。
今回城まで来たけど、正直貸し一とかいらないなぁ。
使う機会とかなさそう。
【ですねー】
「はぁ」
門の外に出た所でため息を吐く。
そろそろ王国出て次行くかなぁ。何やら面倒ごとが増えそう予感がするし…。
「とりあえずギルドに行きましょう」
「だな」
俺達はギルドへと帰った。
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