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vs魔王軍四天王が一人、グレイゾン!

 音の発信源は街の中央部にある広場。

 住民は既に避難したのか、街中はガランとしていた。

 そのゴーストタウンと化した街を駆け抜け広場へ到着。


 そこに広がっていた光景は、なんともまあ、予想通りである。


 コウモリのおっさんが一人だけ立っており、彼を相手にしていたSランクパーティーの人達は皆地に伏し、ある人は壁にめり込んでいる。

 その中にフィサリスさんの姿もあった。


検索(サーチ)


 俺の固有スキルである『検索』。本来はサーシャが自動検索してくれるが、今は別行動中なので、スキルを発動して検索をかける。

 このスキルを発動するのも何年ぶりだろうか?

 使った中で一番新しい記憶が五回目の記憶だから……。

 うむ、年数はわからんな。


 まあいい。

 俺が検索したのは倒れている冒険者達の生死の確認のためだ。


「オーケー。全員生きているか」


 ひん死の状態だが、生きているのなら助けられる。


「とりまヒール」


 ひん死の冒険者達にヒールを掛けると、彼らは立ち上がり始めた。

 なんかゾンビみてぇだ。


「ほぉ、まだ立ち上がるか」


 その光景に感心したように笑みを浮かべるコウモリのおっさん。


「…う…くっ……」


 気絶していたフィサリスさんも目を覚ました。

 俺は彼女に駆け寄る。


「大丈夫ですか?」

「あ、アルヴァ君!? なんで君がここに…!」

「爆発音が聞こえたので」

「早く逃げなさい。君ではアイツには……!」

「逃げませんよ」


 あんなコウモリ擬き如きに負けない。


「立ち上がった所申し訳ありませんが、邪魔なので退いててくださいな」

「んだと? このクソガキ!」

「てめぇこそ退いてろ!」


 何やらおっさん二人が喚いて来たので、二人の背後に回って襟首を掴み後ろに投げ飛ばす。


「今度は貴様が相手か? 小僧」


 コウモリのおっさんは俺を観察するように俺を見る。


「ふむ、来い。遊んでやろう」


 お、先手を譲ってくれるのか。


「遊ぶ。遊ぶねぇ…」


 俺は簡易転移(インスタント・テレポート)と言う魔力量を抑えた転移魔法を使い、コウモリのおっさんの背後へ転移する。


「ぬっ!?」


 コウモリのおっさんは俺が後ろに現れたことに驚くが、俺が攻撃する前に剣を構えて俺の攻撃を防ぐ。


「それはこっちのセリフだ」


 これを初見で防げるんだからそれなりに遊べるだろう。


「抜かせッ!」


 おっさん――グレイゾンだっけか? は俺の大鎌を弾くと俺の懐を狙って突きを放つ。

 それを鎌を回してポールに中てて弾いて防ぐ。


 グレイゾンは弾かれたのを期にバックステップで下がり体勢を立て直す。


「死ねッ!」


 グレイゾンは俺に向けて手を向けると、ビリビリと音を立てる槍を放ってくる。

 雷魔法か。

 俺は雷魔法に対し、大鎌を振って掻き消す。


「お、やっぱりか」


 通常、魔法は魔剣や魔力を纏わせた武器ではないと斬ったり出来ないのだが、魔力を吸う大鎌ならば纏わせなくても出来るのでは? と思いやってみたが、やっぱりできた。


 斬ることによって魔法を構成する魔力を大鎌が吸って魔法を分散させたのだ。


「エクスプロージョン!」


 続いてグレイゾンは爆発魔法を使う。

 俺の周りに炎が灯ると、一気に膨張して爆発した。


 先ほど聞いた爆発音はこの音だったのだろう。


「フハハハハハッ! いくら魔法を分散出来ようとも爆発には対応できまい!」


 お、そうだな。

 確かに瞬時に爆発するエクスプロージョンには対応できないな。

 簡易転移で避けてもよかったが、すぐに思いつかなかったので直撃してしまった。

 戦闘に対してはまだ甘い所があるなぁ。


「って、うわ。防具も服もボロボロじゃねーか」


 革製の防具と、その下に着こんでいた服は、爆発魔法によって焼け焦げてしまった。

 まあ、金はあるから買い直せばいいのだけれど。


「な、なぜ生きている!?」


 グレイゾンは服以外ピンピンしている俺を見て驚く。

 あの近距離爆破で生きてるのがそんなに不思議なのだろうか?


「驚いているところ悪いけど、防具新調しなきゃだから死んどいてくれ」


 一気に距離を縮め斜め斬り。

 だが、防がれてしまう。


「そう簡単に死んでたまるかッ!」

「あ、そう」


 防がれようが関係ない。一度離れ、ポールの先の方へ持ち直し力の限り振るうう。

 要は回転切りである。

 大きく振るわれたことにより、吸われる魔力量も比例して大きくなり切れ味が増す。

 防ごうとしたグレイゾンだが、ポールの部分がグレイゾンの脇腹に当たる直前に寸止めし、勢いよく引く。

 鎌の刃が胴の後ろにあったため、胴と下半身の二つに切り分けられたグレイゾン。

 その顔は驚愕に染まっていた。


 どさどさ、と地面に落ちる二つの音。

 検索で生死の確認を済ます。


「ふぅ…」


 大鎌を担ぎ息を吐き出す。

 その音だけが辺りに響いた。


 周りを見ると、Sランク達がこちらを見ていた。

 皆一様に驚きの表情だった。


「終わりましたよ? 後片付けはお願いしますね」


 返事のない人達を置いて、俺は南門の方へ向かった。

 サーシャ達と合流するために。





 南門まで来ると、サーシャとノワールが冒険者達に囲まれていた。

 合流できない理由はこれか。

 冒険者達の塊の後ろには黒龍が倒れ伏している。

 おそらく魔物の対処をしていたら黒龍が現れて、そこにサーシャとノワールが助太刀に入って助かった感じか。


「あ、マスター」

「お疲れさん」


 サーシャは俺に気が付くと、集団を押しのけ、小走りで俺の方へやって来た。

 ノワールは未だに冒険者達の中。

 見ると肉を貰っているらしい。

 ぶれないな。


「なんだアイツ」

「今更来やがったのか」

「サーシャさんに馴れ馴れしいぞ」


 と、サーシャと話していると何やら冒険者の男たちから陰口を叩かれた。


「サーシャとノワールであの黒龍を倒したのか?」

「ええ、結構強かったですよ」

「へぇー。ノワール! 黒龍を回収して来い!」

『来た』

「速いな」


 一瞬でこちらに来た黒龍の死骸と共に来たノワール。

 俺は黒龍をボックスにしまう。


「おい! なんでお前が持っていくんだよッ!」

「そうだそうだ!」

「お前は戦ってないだろうが!」


 と、何やらうるさい。

 そんな彼らは無視して、俺達は宿へと帰った。


『後で肉パーティーしよう』

「お前らが狩った肉だからな。それでいいならそうしよう」

『ドラゴンは美味だ』

「そうですね。思わず食べ過ぎちゃうくらい美味しいです」


 後日肉パすることが決まりました。


戦闘描写って難しいです。


お読みいただきありがとうございます。

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