王都、襲撃されるの巻
そいつは突然やって来た。
「我こそは魔王軍四天王の一人グレイゾン。貴様らを殺しに来た」
何言ってんだこいつ。
午後の依頼を受けるためにギルドへ向かう途中、さっきまで清々しい程の青空に暗雲が立ち込めた。
そして、やって来たのがこのグレイゾンとやらってわけだ。
「この街は既に我の部下たちによって囲まれている。無駄な抵抗はしない方が楽に死ねるぞ?」
だから、何言ってんだこいつ。
何かの拡声器みたいな魔法でも使っているのか、街全体がざわざわしだした。
いつもと違い、慌てた様なざわめき。
とりあえずギルドへ行くと、冒険者たちが皆装備を整え、いつでも出陣出来るように準備していた。
「アルヴァ! お前も準備しておけ!」
中に入ると、ガイアにそう言われた。
「さっきのコウモリのおっさんの事か?」
コウモリのおっさんとはさっきのグレイゾンとか言う人擬きのこと。
コウモリみたいな翼を広げて浮かんでいたのでそう名付けた。
魔王軍と言うからには魔族なんだろう。
「ああ、今外は万を超える魔物の軍勢に囲まれている。俺達はそれの対処だ」
「あのおっさんは?」
「Sランクパーティーの奴らが相手してくれる」
「なるほど」
Sランクと言うと、フィサリスさん達か。
うーむ、オークキングでもキツいフィサリスさん達で対処できるのだろうか?
いや、Sランクパーティーだからフィサリスさん単体で挑むわけじゃないし、行ける……か?
「皆! 街を守るのよッ!」
「「「「「おおおおおおおおおおおおっ!!!」」」」」
フィサリスさんの言葉に冒険者たちは叫び、ギルドから走り去っていった。
「アルヴァ君、サーシャさん。貴方達もお願いね」
「あ、はい」
「わかりました」
俺達も移動することになった。
四方にある門の内、西門から外に出ると、既にそこは戦場と化していた。
魔物の数はかなり多い。が、冒険者も多いので均衡状態だ。
「どうします? 魔法で一掃しますか?」
魔力を練りながら聞いてくるサーシャ。
「それ冒険者にも当たるだろ」
「では、後ろに控えてる彼らに放ちますね」
「ああ」
俺が頷くと、戦場の後ろに控えている第二陣の魔物達の中心に炎の竜巻が三本発生した。
竜巻により魔物達は断末魔を上げながら焼失。
火力たけーな。おい。
「よし、次に行こう」
『次は俺がやろう』
「あいよ」
北門の方にはオーガがたくさんいた。
さすがにオーガ相手だと冒険者たちもきつそうだ。
「行けるか?」
『誰に物を言っている。任せろ』
ノワールは俺の影に沈み込むと、気づいたら一体のオーガの影から現れ、その鋭い爪で首を跳ね飛ばした。
オーガが後ろに倒れる頃にはすでに移動しており、次々とオーガの頭が跳ね飛ばされて行く。
首から噴き出す血は冒険者たちを赤く染め上げる。冒険者達は今まで戦っていたオーガがいきなり頭が飛び、血を噴き出して倒れる様に呆然としていた。
ここ戦場ですよー。死んじゃいますよー。
粗方片付け終わる頃には、真っ赤な冒険者達が出来上がっていた。
帰って来たノワールには返り血一つ付いておらず、綺麗な黒毛のままだ。
「さすがノワール」
『これくらい朝飯前だ』
「さいでっか」
『ああ、次行くぞ』
「せやな」
次は東門。
東門では竜種が侵攻してきており、その相手をしているのはAランク冒険者達。
一パーティーで一匹を相手するのが限界のようで、相手のいない竜種達が街へ向かって侵攻していく。
その中の一匹に一息で近寄り一刀両断。コモドオオトカゲの四倍はあるトカゲ。正直弱い。
続いて狩るのは地竜。カメの甲羅の様な岩を背に担ぐトカゲさんだ。
甲羅は硬く、防御態勢に入ってしまうと並みの武器じゃ刃が立たないと聞く。
まあ、そこは大鎌さん。余裕の横スライスである。
この世界の竜種はほとんどがトカゲベースで、翼を持っていない。
翼を持つ竜種はワイバーンくらいだった気がする。
さすがに魔王軍と言えど竜種の上位互換である龍種は従えていないらしい。
いや、従えていてもここに連れてこなかっただけかもしれないが……。
まあ、龍種――ドラゴンなんて貴重な戦力をここで使うわけないか。
ふと、気づいたら狩りつくしてしまったらしい。
周りに転がる竜種の死骸。
今回はワイバーンがいなかったので比較的楽だったな。
「マスター。血生臭いです」
「悪い」
クリーン魔法を使って返り血を消す。
「次は南か?」
「そうで――」
ドガンッ!! とサーシャの言葉に被さるように街の方で爆発音が聞こえて来た。
『南より街だな』
「ああ」
『南は俺とサーシャで片付けておく。お前は街の方へ行け』
「いいのか?」
『ああ、任せておけ』
「マスターの雄姿を見るために、すぐに終わらせてきます。頑張ってください」
「あいよ。じゃあ、頼んだ」
俺はサーシャ達と別れ、爆発音がした方へ向かった。
のじゃロリなんていなかった。いいね?
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