サーシャの武器
さあ、今日から本気出すぜ。
と言っても、Bランクの魔物を討伐するだけの簡単な仕事だけどね。
ザッシュザッシュ斬って報告しての繰り返し。
なんの面白みもないな。
して午後。
俺達はご飯を食べた後掲示板を見に行く。
「ぬぅ。ギルドポイントの高い奴はもう取られてるな。しかもBランクの依頼ももう無いし……。うせやろ……」
「こればっかりは仕方ありません。おとなしくCランクを受けましょう」
「…そうだな」
手ごろなのはー……と。
ん?
「新しく見つかった遺跡の調査……か」
「…受けるんですか?」
「…この時期に見つかるって絶対なんかあるよなー」
転生者関連はちょっと遠慮したいな。めんどくさい。
「だが、もしそっち関連だったら俺達の仕事だし、受けるぞサーシャ」
「了解です」
受注し、さっそく遺跡がある場所へ向かった。
◇◆◇◆◇◆◇
遺跡はオーク集落で奇襲をかけた時に使った森を抜けた所にある岩山。その中腹に遺跡はあった。
洞窟をそのまま利用しているようだ。
「元が洞窟だから道がガタガタだな」
「壁や床を削って作られたようですね」
「この分だったら罠は無さそうだな。どうだノワール?」
ノワールには先に見に行ってもらい、ちょうど今帰って来たので聞いてみた。
「ウォン。ウォン」
「罠はない。が魔物が多数いる。だそうです」
「ありがとう」
そろそろサーシャ抜きでノワールと話せるようにしないとな。
これ以上サーシャに負担をかけるわけにはなぁ…。
「負担になっていませんのでどんどん頼ってください。私はそのために存在しているのですから」
「…ああ」
本当、良い相棒を持ったな。
話ながら進むと広間に出た。
暗かったので、光の魔法を使って照らすとゴブリンが武器を構えて俺達を囲んでいた。
「ゴブリンの巣になっているのか」
鎌をくるっと一回転させて勢いよく横一閃。
スパッとゴブリンを倒したので奥へ進む。
ここまでの道のりを見ると、この遺跡は一本道のようで、このまま進めば奥にたどり着くだろう。
次から次へと来るゴブリンや他の魔物を片付けながらどんどん進む。
奥へ進むにつれて魔物の種類と量は増え、それに比例するように強くなっていく。
かなり奥まで来たが、強さ的にはすでにAランク並みだ。
「Cランクがやる依頼じゃねーだろ。これ」
「受けたのが私達で良かったですね。もしCランクの人が受けてたら全滅必至でしょう」
「ウォン」
続いて頷くノワールさんや、お前一応Bランクの魔物なのに何普通にAランクのロックイーターをかみ殺してるのさ?
そいつ、岩の鎧纏ってんだぞ?
「ノワールも日々強くなっているんですよ」
「そりゃ頼もしいな」
「ウォン」
「追いついてやるから待ってろ。だそうです」
「はは! 期待しとくよ」
談笑しながらも殲滅。
今殲滅したのが最後だったようで、ようやっと最奥へ到着した。
最奥は広間になっており、ここだけ地面が石畳で整えられている。
だが、時が経っているせいか、隙間から苔や草などの植物が生え隆起している部分もあった。
天井の隙間から漏れる日の光も相まって、とても幻想的な空間となっている。
この幻想的な空間の中心には祭壇があり、登ってみると途中の踊り場に一つの魔法陣が設置されていて、調べるとどうやら召還の魔法陣のようだ。
先の魔物達はこの魔法陣から現れていたのだろう。
おそらく侵入されると自動的に発動する仕組みだ。
この広間に入ってからは召喚されていないので、今は放置。
まだ上があるので登ると、もう一つ巨大な魔法陣とその中心に黒い剣が突き刺さっていた。
黒いが、日の光を反射する刀身に一切の錆びは見られず、新品だと言われても納得する位綺麗だった。
年季の入った祭壇に新品同然な一本の剣。
聖剣、魔剣の類で間違いないだろう。
と言うか封印されてる黒い剣って、どう見ても魔剣ですね。本当にありがとうございました。
「召還の魔法陣はこれを守るための物だったんですね」
「みたいだな」
「……抜いてみます?」
「抜いてみよう」
こう言うのって抜くと不味い物ばっかりだけど好奇心には勝てない。
剣に近づいて柄を握り、力を入れて抜くッ!
「…ッ抜けないっ!」
封印には勝てなかったよ。
「私がやってみてもいいですか?」
「いいぞ。試すだけならタダだからな」
抜けても天変地異が起きる位だろ。多分。
「一度やってみたかったんですよ。これ。いつもマスターが抜く所を見ている事しか出来ませんでしたしね」
それちょっと誤解される言い方だぞ。
「どっちの意味でも間違ってないですけどね」
「おい!? それどういう――」
「行きます!」
って聞いてねーし!
サーシャは柄を握って力を込める。
すると、剣はあっさり抜けた。
「あ、抜けました」
「抜けたなー。で、さっきの話だが」
「ん? 何やら力が入り込んできますね。えいっ!」
サーシャはその力に対抗するために魔力を注ぎ込んだようだ。
えいっ! って可愛いな。おい。
「え? 力を貸す? 妾を使いこなして見せろ? 何を上から言ってるんですか? 折りますよ?」
サーシャは魔力を流した後、何やらぶつぶつ独り言を喋り出した。
「ああ、マスターには聞こえないのですね。ちょっと待ってください」
そう言った後、俺に魔力を流すサーシャ。
「魔力でパスを繋ぎました。これで聞こえるはずです」
「え? 何が――」
【何をしたのじゃ?】
突如、のじゃロリの声が脳内に響く。
「パスってそう言う事か」
【ぬぬっ! 男の声が聞こえるのじゃ!】
ちょっと嬉しそうなのじゃロリ。
これ使えばノワールとも話せるんでね?
「話せますよ?」
「え?」
「え?」
「話せるの?」
「話せますよ?」
マジかよ。
「はぁ…、繋いでくれ」
「わかりました」
サーシャは再度俺に魔力を流す。
「これで話せるようになりますよ」
「ありがとう。聞こえるかノワール」
『ああ、聞こえるぞ』
返って来たのは渋い男の声。
「これからもよろしくな」
『こちらこそよろしく頼む』
これで意思疎通は問題なし。冒険がさらに楽になるな。
【妾も話に混ぜて欲しいのじゃ】
「そうだな。んじゃ、お前はなんだ?」
【さっきこの小娘には言ったが、妾は魔剣セヤ。黒炎を司る魔剣じゃ】
黒炎か。
闇の炎に抱かれて消えろっ! 的な?
【一度点いたら術者が消すか、燃え尽きるまで消えない地獄の業火。それが妾の能力じゃ】
温度調整が出来れば鍋料理とかに使えそうだな。
「次、なんで封印されてたんだ?」
【妾を持つと妾の魔力に侵されて暴走してしまうんじゃよ。理由はわからんがな。それで幾多もの街を焼き払い、封印されたわけじゃ】
よくある話ですね。わかります。
「まあ、サーシャは暴走してないしいいか。さ、調査も終了したし、召喚の魔法陣壊したら帰ろう。殲滅して疲れたわ」
「そうですね。帰って報告しましょう」
『肉』
「はいよ」
「この剣はどうします?」
「サーシャしか使えないし、そのまま使えばいいんじゃない? ちょうど武器もなかったしさ」
「…そうですね。そうしましょうか」
【よろしく頼むのじゃ! 小娘!】
「小娘はやめてください。折りますよ?」
【やめるのじゃー!】
「あはは!」
『騒がしくなりそうだな』
「ああ」
新たに魔剣が俺達のパーティーに加わった。
武器だからパーティーメンバーに数えていいのだろうか?
まあいいや。
◇◆◇◆◇◆◇
ギルドに戻った俺達は早速報告をする。
「これが報告書です」
「確かに受け取りました。拝読させていただきます」
受付嬢は俺から受け取った報告書を黙読する。
読み進むうちに受付嬢の顔は驚愕に染まっていく。
そして、読み終わったのか眉間にシワを寄せながら俺を見た。
「これは嘘偽りのない本当のことですか?」
信じらんないよな。
「もちろん」
「……証拠になる物はありますか?」
「はい」
俺はボックスからロックイーターの足を取り出す。
「これはロックイーターの……。すみません。私だけでは判断しかねますので、上の者を呼んできます。少々お待ちを」
受付嬢は裏に引っ込むと、しばらくして一人の女性と一緒に戻って来た。
「何かと思えばアルヴァさんでしたか」
その女性は俺とサーシャが登録した時に担当してくれた女性だ。
「先の報告書読ませていただきました。ロックイーター以外の魔物も持って帰ってきてますか?」
「ええ、解体する時間が無かったので丸々一匹そのまま持って帰ってきました」
「そ、そうですか。確認したいので、そうですね。一緒に訓練場に来ていただけますか?」
「わかりました」
移動して訓練場。
現在訓練場には魔物の死骸で山が出来ている。
「これで全部です」
「「………」」
受付嬢二人はその量に呆然と立ち尽くす。
うん、多いな。
二人が確認したのを確認し、魔物を全部しまう。
「ま、魔物の方は大丈夫です。あとは魔剣ですが……」
「こちらです」
サーシャが一歩前に出て、ボックスからセヤを出して見せる。
「うわ、凄い魔力……。も、もう大丈夫です」
セヤを出した瞬間二人は顔をしかめる。
知り合いの方の受付嬢の言葉にサーシャはセヤをしまう。
「うん、報告書とあってますね。依頼完了です! お疲れさまでした」
「確認ありがとうございます」
確認も終わり、受付へ戻り報酬を貰った。
あとで魔物も解体して売るとしよう。
疲れたー。
『おい、肉』
ギルドから出た瞬間ノワールにそう言われた。
「外でバーベキューするか」
『ドラゴンか? ドラゴンだな? ドラゴンなんだろう?』
「わーったよ」
そろそろドラゴンも狩ってこないとなくなりそうだ。
その後、壁の外へ出て人目のつかない場所でドラゴンの肉を使ったバーベキューを行った。
セヤが駄々をこねてたが、剣なので我慢しやがれください。
ドラゴンうまうま。
本日二話目。
のじゃロリ(声だけ)
お読みいただきありがとうございます。




