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実は凄い人達

 いつも通り午前中に依頼をこなして昼にギルドへ報告へ来た。

 王都近辺のBランク依頼は俺達が粗方片付けてしまったため、そろそろ別の町へ移動しようか考え中である。


「はい、こちら報酬です。あと、サーシャさんのギルドポイントが貯まりましたので、昇格試験を受けることが出来ます。受けますか?」


 報酬と共にそう言われた。


「どうする?」

「受けます」


 聞くと即答された。


「だそうです」

「わかりました。では明日試験を行いますので、明日の正午こちらにお越しください」

「試験内容をお聞きしても?」

「はい、内容は現Bランク所持者との戦闘試験を行って貰います。それだけです」

「わかりました。ありがとうございます」

「いえ、これも務めですので」


 受付嬢にお礼を言ってその場を後にする。


「おお、アルヴァじゃねーか! 飲んでくか?」

「聞いてたぜ? サーシャちゃん昇格試験を受けるんだってな!」


 と、ギルド出ようと思った所で声かけられる。

 オークの件の後、ギルドの連中は俺達の強さを認めたのか、よく話しかけてくるようになった。

 ほとんど酒の誘いだけどな。


「悪いな。今日も遠慮させてもらう」

「またかよ! いつになったら一緒に飲んでくれんだ!」

「いずれな」

「絶対だからな!?」


 酔ったおっさんらをあしらいギルドの扉に手をかける。

 だが、扉は俺が開ける前に開かれた。


「お、悪いな。ってお前、アルヴァか?」


 その人物は少し老けたが、知った顔だった。


「お久しぶりですね。ガイアさん」


 その人物はガイア。

 九年前、ブラムの町に来た冒険者。


「ガイアー。何してるのー?」


 ガイアの後ろから女性の声が聞こえる。こちらも聞いた覚えのある声だ。


「おう、悪ぃなジーナ」


 やっぱりジーナか。

 中に入ろうとするので、俺は後ろへ下がる。


 後から入って来たのはジーナ。

 九年経っても彼女は変わらず美人だ。


「んー? もしかしてアルヴァ君?」


 ジーナは顎に手を人差し指を当て首を傾げる。


「ええ、お久しぶりですね。ジーナさん」

「ホント久しぶりー!」


 嬉しそうに笑顔を向けてくるジーナ。


「そちらの嬢ちゃんは誰だ?」


 ガイアはサーシャを見て俺に聞く。


「冒険者仲間ですよ。外にいるダークウォルフも俺の仲間です」

「へぇー! ダークウォルフもか! これからもアルヴァをよろしく頼むな!」

「ええ、お任せください」


 と、微笑むサーシャ。

 キレイだ。


「ほぇー。凄い綺麗な人だねー」


 女性から見ても綺麗なんだな。サーシャって。


「お、おいアルヴァ」

「ん?」


 二人と話していると、後ろから話しかけられた。


「こ、このお二人と知り合いなのか?」

「ああ、昔ちょっとあってな。知り合いだぞ」

「マジかよ…!」


 話しかけてきたおっさんは何故か驚く。


「なんだよ?」

「おまっ!? 知らないのか!? この人達はSランクパーティー【風剣】のお二人だぞ!」


 へぇー。


「Sランクだったんですね」

「ああ。アルヴァが知らないのも当たり前だ」

「私たちがSランクになったのは三年前だからねー」

「なるほど」

「お前さ、こいつらに敬語使ってないんだから俺達にも敬語なしにしろよ」

「そうだよー」

「んー…。わかった」


 敬語無しの方が気楽だしいっか。


「さて、俺達は報告してくるから、少し待っててくれ」

「いや、俺達は――」

「待ってろよ?」

「…うっす」

「よし!」


 ガイア達がカウンターに向かったのを確認して空いてるテーブルに着く。


「すまないサーシャ。新しい防具でも買おうかと思ったんだが……」


 買ってから結構経ち、まだ使えるがボロボロになりつつあるサーシャの防具を買い揃えようと思ったのだが、捕まってしまった。


「いえ、今のもまだ使えますし、それにそこらの魔物の攻撃じゃダメージなんて入りませんから」

「……とは言ってもねぇ」


 いくらダメージが入らないからと言っても、生身のサーシャが攻撃食らう所なんて見たくないからなぁ。


「やっぱり防具は必要だ」


 生身と防具ありじゃ受ける衝撃も違うしな。


「そうですか。ふふ…」


 嬉し気に笑うサーシャ。


「なんだよ?」

「いえ、こうしてマスターと面と向かってお喋り出来るなんて、夢みたいで嬉しくてつい……」

「そうか。なら頼んで正解だったな」

「ええ、ホントに感謝しなければなりませんね」

「ああ」

「お! 楽しそうになんの話だ?」


 話していると、報告を終えたガイア達が戻って来た。

 二人は俺らの対面に座る。


「こっちの話だよ。それより、なんの依頼に行ってたんだ?」

「聞きたいか?」

「ああ」

「よし! 話してやろうじゃねーか! おーい! ここにエール四つと適当につまみを頼む!」

「はーい!」


 と、勝手に頼むガイア。


「おい、なに勝手に頼んでんだ」

「俺の奢りだ。冒険者になったならまずは飲まねーとな! な?」


 ガイアはジーナに同意を求める。


「うーん、そうかなー? 別に飲まなくてもいいと思うけどー」


 だが、ジーナは首を傾げて否定する。


「まあ、エールは好きだからいいけどねー」


 好きなのか。


「お待たせしました」


 職員がエール四つとつまみを器用に運んで来た。


「んじゃ、再開と出会いに乾杯!」

「「「乾杯!」」」


 木のジョッキどうしを軽くぶつけて乾杯する。

 ガイアは一気にあおり、ジョッキをテーブルに叩きつけるように置く。

 俺とサーシャ、ジーナの三人は一口口に付けたあとテーブルに置いた。

 飲んだあと、ぴくっと少し顔を歪ませたサーシャ。

 どうやらサーシャはエールが苦手らしい。


「んじゃ、話しやろうじゃねーか!」


 酒を含んだガイアは機嫌よく話だした。

 内容は九年前、俺と別れたあの語の話からだ。

 ガイア達がどうやって強くなったか、何をしていたのか等、色々話してくれた。


 気になったのは遺跡の話だ。

 ここ数年、各地の遺跡周辺で魔物の凶暴化が確認されているとのこと。

 ガイア達は九年前の事件もあって調査に駆り出されているらしい。

 で、今日もその調査から帰って来たとのこと。


 遺跡周辺の魔物が凶暴化。

 また転生者かなんかかね?


 でも、話しを聞く限りじゃそんな感じはしないしなぁ。

 後で調べてみるか。


 ガイアの自慢も含む話は夜中まで続き、周りの冒険者も巻き込んで最終的には宴会にまで発展した。


 やはり、サーシャはエールが苦手だったらしいので、隙をついて俺が全部飲み干しといた。

 アルコールの独特な味が苦手とのこと。


 宴会の合間にノワールに肉をやりに行ったが、めっちゃ怒ってたのでめちゃくちゃ謝ってどうにか許してもらう事が出来た。


 よかったよかった。


ちょっとした日常話でした。


お読みいただきありがとうございます。

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