オーク殲滅戦
壁の内側は既に戦闘が始まっていた。
各パーティーがオーク達を殲滅していく様は、まるで俺達が悪役のようだ。
オークの断末魔が響く中、俺も近くにいたオークを切り裂く。
サーシャはピンチになったパーティーを助けるべく、炎の魔法でオークを焼き殺した。
ノワールはどこにいるかわからん。影から襲い掛かってるのだろうよ。
オーク達は全力で抵抗してくるが、冒険者達の猛攻に為す術もなく倒されて行った。ふと、小屋の方が気になって見に行ってみると、丁度三人の女性が保護されたところだった。
女性三人は女性冒険者に連れられ壁の外へ。
小屋を覗くと、中には二匹ほど他のオークよりも一回り大きいオークが二匹倒れていた。
確か通常種は一回り程大きい個体はメスオークだと本で読んだのを覚えている。この二匹が倒されたので、これ以上ここのオークが増えることはもうないだろう。
「嘘だろッ!? オークジェネラルまでいるなんてッ!?」
再びオーク狩りに戻ろうとした所でそんな声が届いた。
俺はそちらに向かい、襲われかけている冒険者の前へ出て縦に一閃。オークジェネラルを切り殺した。
「大丈夫か?」
「あ、ああ。助かった。お前凄いな」
「対したことないさ」
男に手を貸し、起き上がらせる。
「フィサリスさんにオークジェネラルの事を伝えてくれ」
「わかった。死ぬなよ?」
「はは、善処する」
男と別れ、走って来たジェネラル達を斬り伏せ、こいつらが来たほうへ向かう。
ジェネラルがいるならキングもいる可能性が高いしな。
少し進み、俺らが入った所の反対側に奴らはいた。
ジェネラル達に囲まれた立派な角を持つ一際大きいオーク。キングだ。
俺が到着したころには壁を破壊し終え、外に出ようとしていた。
逃亡を阻止しようと大鎌を構えた所で最前列にいたオークが突然首から血を吹き出し倒れた。
仲間が倒れたことによりオーク達は警戒する。
壁の外、闇から現れたのはノワールだった。
ノワールはもう一匹いる普通のオークを噛み殺すと、他のオークに対して「グルル」と威嚇する。
ナイスノワール。グッジョブノワール。
引き返そうとする一団は俺に気が付く。
キングを逃がすためにジェネラル達は俺に襲いかかる。
斧を振り下ろしてきたので、ポールの部分で弾き、クルッと回って腹を斬りつける。
次いで来た奴を鎌を回して下から斬り上げて殺す。
一気に二匹やられたのを見て、残りのジェネラルは動きを止めて警戒する。
「こっちだけに気を取られてていいのか?」
ニッと笑って見せると、彼らは思い出したように振り向く。
だが遅い。
振り向いた先にはノワールはおらず、横から来たノワールに一匹やられる。
一匹やった後、ノワールは再び影へ姿を隠した。
「油断大敵だぜ?」
俺の言葉と共に魔法が俺の後ろから放たれる。
魔法である炎の槍は、キングの両脇にいたジェネラルに刺さり焼き殺した。
魔法を放ったのはサーシャだ。
「さて、残りはお前だけだ。腹ぁくくれよ?」
大鎌を構えると、さすがのキングも逃亡を諦め背中に背負っていた巨大すぎる戦斧を手に取って構えた。
「サーシャ、ノワール。他のとこの手伝いに行ってやれ」
「わかりました」
「ウォン」
二人は頷くと中心部の方へ歩いて行った。
そこはもうちょい急いで行こうよ。
「来いよキング。やろうぜ?」
「ブォオオオオオオオオオッ!!!」
キングは雄叫びを上げ、俺との距離を一気に詰めると薙ぎ払いをしてきた。
俺は真っ向からそれを受けとめる。
重い良い一撃だ。
俺はそれを弾き、上段からの振り下ろす。
それをバックステップで避けるキング。
「今度はこっちからだ」
大鎌で連撃。
キングは全ての攻撃を上手くいなして、あわよくば反撃をしようとするが、俺の振るう速さに隙を見いだせず防ぐので精一杯の様だ。
少し隙を作ってやると、その隙を突いて来た。
キングの振り下ろしを横に転がって避ける。
俺がいた場所には戦斧が突き刺さり、地面を抉り取っていた。
すっげー威力だな。
「ブォオオオオオオオオオッ!!!」
再び雄叫びを上げ戦斧を振り回すキング。
気が狂ったのかと思ったが、一振り一振りに明確な覚悟と殺意が籠っており鋭い。
俺はその一振り一振り全てを受け流し、隙が出てきた所で戦斧を絡めとって上へ飛ばす。
飛ばされた戦斧はカンッと言う音と共に、キングの後ろの地面に突き刺さった。
キングは後ろに手を回し戦斧を回収すると再び構え直した。
先ほどとは打って変わり、今度は構えたまま静かにこちらを見据える。
次で決めるようだ。
「オーケー」
「フンッ!」
鼻を鳴らすキング。
お互い睨み、動かない。いや、動けない。先に動いた方が負けだ。いや先に動いても負けんけども。
うん、雰囲気大事。
近くの燃えた小屋が焼け、地面に崩れ落ちる。
その音と共に俺達は動く。
一瞬の攻防ののち、お互いに背を向けた状態で止まった。
振り返ると、同じタイミングでキングも振り返った。
その腹には十文字の傷。
傷からは血があふれ出し、放っておいても死んでしまうだろう。
キングもそれをわかっているのか、戦斧の石突を地面に刺して自立させる。
そして、両の腕を広げて仁王立ちした。
殺せ。と。
ひゃー! 男だねぇ!
かっくいいっ!
俺はキングの前へ移動して鋭く横へ一閃。
後ろからキングの頭がゴトリと落ちる音が聞こえた。
首から上を無くした胴体はフラッと揺れ、背中から地面へ倒れ伏した。
「いい戦いをありがとうよ」
手を合わした後、キングをボックスへしまう。
この戦斧は戦利品として貰っておこう。
戦斧を抜いて肩に担いで、サーシャたちと合流すべくその場を後にした。
俺が合流する頃には殲滅が完了し、集落の前に冒険者たちが集まっていた。
「お疲れさま。アルヴァ君。君が最後よ。…ってそのデッカイ斧は?」
出迎えてくれたのはフィサリスさんだった。
彼女は俺の担ぐ戦斧を見て驚いて尋ねてくる。
「オークキングと戦って勝ったので戦利品して貰いました」
「え……オークキング…?」
フィサリスさんはオークキングと聞き固まる。
周りもざわざわとし出した。
信じて貰えそうに無かったのでオークキングの頭をボックスから取り出し横に置いた。
それを見てざわつきが更にうるさくなった。
目立ちたくなかったが、フィサリスさんでも倒せるかわからなかったから手を出してしまった。
結果目立ってしまったが、キングとの戦いが楽しかったので良しとしようか。
その後、俺達は町で大宴会をし、次の日にはイージルを出発した。
他の冒険者達と共に帰ったが、手合わせしてくれ。と頼まれたりした他は特に絡まれたりはしなかった。
因みに全員ぼこぼこにしてあげた。
アリンシアさんはフィサリスさんをエルフの里まで連れ帰るのが仕事らしいので、一度王都へ行き、フィサリスさんの次の休みに一緒に帰ることにしたようだ。
今も先頭車両で姉妹水入らずの時間を過ごしている。
王都に着くと、まずは報酬の支払いが行われ、各々倒したオークの数に応じて報酬を貰っていた。
俺はオークキングを倒した事もありボロ儲けだ。ちょろい仕事だぜ。
それから何故かBランクにランクアップした。
キングを倒したのにFランクにしとくのはおかしいとフィサリスさんの独断でランクアップさせたらしい。
職権乱用乙。と言っておこうか。
冒険者達にも文句言われるかと思ったが、帰りの際手合わせしたこともあり皆一様に納得顔だった。
Fランクのまんま遊びつくそうと思っていたのに残念でしょうがない。
しかも、最初はAランクにしようとしていたらしいが、さすがに色々手続きがめんどくさいらしくやめたらしい。
俺もめんどくさいのは勘弁だ。
これにてオークの集落殲滅戦は幕を閉じた。
因みにサーシャはCランクになったらしく、ちょっと不服気な顔だった。
なんでよ?
ご感想お待ちしております。




