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防衛

 大鎌を買った後、町中を探索した。

 色々ある店をサーシャと見ながら町を守る方法を考える。

 出入り口は東西南北にあるのは確認した。

 綺麗に積み上げて出来た石の壁は、オークの攻撃にも十分耐えられるだろう。

 だとすると、守るのは出入り口と空か。

 弓を使うとすると、もしかしたら投石機もあるかもしれないな。

 まあ、守るだけなら結界で町全体をすっぽり覆えばいいだけか。


 町全体を探索し終わる頃には日は落ちかけていた。

 夜が来るぞー。



◇◆◇◆◇◆◇



 夕食を俺、サーシャ、アリンシアさんの三人で食べた後、部屋に戻った。

 ノワールは何をしているのだろうか?



 時間にして夜9時。

 このまま何もなければいいなぁ。と思っていると、部屋の角、丁度影になっている所からノワールが現れた。


「どっから来たよ」

「おそらく影渡りのスキルで移動してきたのでしょう」


 名前の通りのスキルなのか。


「ウォン」


 宿の中なのを知っているのか、ノワールは抑えめに吠える。


「動き出した。だそうです」


 やはり、フラグと言う物は存在するのかもしれないな。


「よし、行きますか。方角は?」

「ウォン」

「北。だそうです」

「オーケー。ノワール、影渡りで北門へ先に行ってくれ。すぐ行く」

「ウォン」


 頷くノワールは影へ消えて行った。


「行くぞ、サーシャ」

「了解です。マスター」


 宿を後にし北門へ向かう。



 北門に着いた頃、カンカンカンと緊急事態を告げる鐘が鳴り響いた。

 壁の上に飛び乗って確認すると、遠くに松明だろうか? 小さいが明かりが見える。

 おそらくあれを見て鐘を鳴らしたのだろう。


「さーて、守りますか」


 魔力を練り上げ、町を覆う結界を展開する。

 その光景を目にした集まった兵士たちは驚きの声を上げた。


「これは君が…?」


 一人の兵士が結界の内側から声を掛けてきた。


「ええ、討伐隊が来るまでは持たせるつもりなので、安心してください」

「だが…」


 まだ何か言おうとする兵士を無視して結界から離れる。

 討伐隊が来るまでって言ったけど、来るのは早くて明後日。急いで来てくれるなら早くて明日の夕方か…。


「ノワール。数は?」

「ウォン」

「200だそうです」

「200か。確認した時は1000だったから斥候かな?」

「と、考えていいでしょう」

「そうか」


 こちらへ行進するしてくる明かりが突如消える。

 一気に接近してくるのだろう。


「ノワールは遊撃。サーシャは上から援護を頼む」

「ウォン」

「わかりました」


 ノワールは暗闇に溶け込むように姿を隠し、サーシャは上空へ。


「さて、試し切りだ」


 ボックスから大鎌を取り出して方に担ぐ。


【来ます】

「了解っ!」


 闇に紛れ襲撃してくるオーク戦士を鎌でぶった切る。

 直後、魔力を吸われた感覚に襲われた。


「確かに、普通の人間がこれ使ったらキツイわな」


 一振りに対してコスパ悪すぎだろ。


「だがまあ、使えなくはないな」


 次々来るオークの群れを大鎌で斬り伏せていく。

 昔見たアニメで大鎌をクルクル回しながら戦うシーンがあったが、試しにやってみるとこれがまた難しい。が、とても楽しい。

 感覚的には棒術に似ている。

 回すことによって機動力が上がり、それに加え遠心力による攻撃力が上がる。


 スパスパ切れて心地がよく、クルクルと素早い連撃は爽快だ。

 これはいい。とてもいい。素晴らしい。


【マスター、二匹ほど逃げますがどうしますか?】


 俺とノワールが取りこぼしたオークを魔法で消し炭にしていたサーシャがそう聞かれた。


 逃がしていいぞ。

【了解しました。ノワールにも伝えておきます】

 ああ。


 会話を切り、数匹のオーク達に接近し横に一閃。

 大鎌自体の切れ味に任せ、大きく素早く振られたのその一振りにより数匹のオークは上下に切断された。

 断面から見るに綺麗に入ったようだ。


 どれくらい振り回していたのだろう? 気づいたら周りは死体の山で、生きているオークはいなかった。

 服に付いた返り血をクリーン魔法で綺麗にする。


「お疲れ様です。マスター」

「ああ、お疲れさん。ノワールもよくやってくれた」

「ウォン」

「これだけ力を見せつければ、討伐隊が来る頃までは攻めて来ないよな?」

「はい、オークは基本物量戦がメインですからね。数が足らないと感じて、兵を量産するでしょう。なので、今日明日は攻めてこないと思います」

「オーケー。念のため、ノワールにはまた外で警戒して貰いたいんだが、いいか?」

「ウォン」

「ドラゴンの肉で勘弁してやる。とのことです」

「贅沢な奴め。ほれ」


 未だに数の減らないドラゴンの肉をボックスから取り出し、ノワールにやる。

 ノワールは「ウォン」と尻尾を振りながら鳴き、嬉しそうにドラゴンの肉を咀嚼する。

 すぐに食い終わったノワールは再度「ウォン」と鳴き、夜の闇へ姿を消した。


「この闇に消えるのもスキルなのか?」

「影渡りを応用した物でしょうね。夜は影ですし」

「なるほど、夜はノワールの独擅場(どくせんじょう)か」

「そうなりますね」


 話ながら戻ると、北門には町の兵士たちが集まっていた。

 結界から出られないので困った表情だったが、俺に気づくとどこか安心したような表情になった。


「無事だったんだな。オークは?」


 結界から離れる前に話した兵士が俺に声を掛けてきた。


「おそらく斥候だったのでしょう。数はそこまで多くなかったので片付けて来ました」


 たった200だもの。


「斥候か…。となると次は更に数を増やして来るだろうな」


 難しい顔をする兵士。


「隊長! こんな名前もわからないガキの言葉を信じるのですかっ!?」


 と、話しを聞いていた兵士がそう言う。

 この人は隊長なのか。


「私はキースと言う。君の名前は?」

「アルヴァです。こっちはサーシャ」

「アルヴァ君にサーシャさんか。とりあえず結界を解除してくれるかい?」

「わかりました」


 キースさんに言われた通り結界を解除する。


「ありがとう。オークはそのままかい?」

「ええ、放置してきました」


 どうせ兵士の人が確認に向かうと思っていたので燃やさず放置してきた。


「ふむ。私たちはオークを確認しに行くが、アルヴァ君はどうする?」

「宿に帰って寝ます。疲れたので」

「そうか。ゆっくり休むといい。行くぞお前ら! まだ残党がいるかもしれん。気を引き締めろ!」


 キースさんの言葉に兵士たちは「はっ!」と返事をして、キースさんを先頭に俺がオークと戦った方へ歩いて行った。

 それを見送ったあと、俺達は宿へ帰り眠りについた。



◇◆◇◆◇◆◇



「これは……」


 キース達兵士は、アルヴァとオークが戦っていた所まで来て愕然とした。

 辺りには、ブロック状の肉塊に真っ二つになったオークの死体が転がっていたのだ。

 その数およそ200。

 これをまだ幼さが残るあの少年がやったのかと思うと、彼らはゾッとした。


「っ! 片付けるぞ!」


 我に返ったキースはそう部下たちに言う。

 このままにしておくと血の臭いで他の魔物が寄ってくるからだ。

 未だに驚きが抜けない兵士たちであったが、キースの言葉ですぐに片づけを初めた。


「……彼はいったい何者なんだ」


 キースの呟きは誰にも聞かれることなく闇に消えた。


お読みいただき感謝感激雨霰です。

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