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エルフを拾う

 空中歩行を交えたダッシュにより、イージルへ半日かからずに到着することが出来た。

 門番から見えない所で地面に降りたので、変な騒ぎは起きずに済んだ。

 町の中にはいかず、門番にオークの集落がある場所を教えてもらって確認しに行くことにした。


 集落は草原の北端に位置し、話を聞くと規模は遠めから見ても相当な大きさらしい。


 俺達は草原の上空から集落を見下ろす。


「大きいですね」

「ああ」


 眼下にある集落はかなり大きかった。


「数も結構いるな」

「ウォン」

「1000近くいる。とのことです」


 においで数を判別したのだろうか?


「そこまで増えてるのか。こりゃ先に来といて正解だな」

「そうですね」


 この量だと、メスのオークが居るかもな。


「マスター。あれを」

「ん?」


 サーシャが指さす方向を見ると、オークパーティーが一人の女性を抱えて草原を歩いていた。

 女性は抵抗するが、オークの力には勝てないようだ。

 あの場所なら集落からまだ遠いし、見つからずに助けられるか。


 俺は空中歩行を応用して空中を蹴ってオークパーティーへ急降下する。

 一番後ろにいたオーク剣士の頭を掴み、急降下の勢いのまま地面にオーク剣士の頭を押し付ける。

 オーク剣士は頭が潰れたため絶命。

 砂埃が舞う中、突然の事に驚いている他四匹に魔法で周りの雑草を操って切り裂く。風の付与魔法も使った雑草は切れ味抜群だ。

 草むしりした時、雑草で指を切ったことをきっかけに適当に作った応用魔法だが、上手くいったようだ。


 因みに女性は風魔法で浮かばせて無傷です。

 呆然とした表情の女性をゆっくり地面に下ろし、オークをボックスに収納する。

 さすがにここで火葬なんてしたらバレるので、後で剥ぎ取りと火葬をやろう。


「後は…」


 赤ペンキをぶちまけたかのようなこの場所の処理だが…。

 このまま放置したら臭いでオークたちが気づくかもしれないしなぁ。


「クリーン魔法を使えばいいのでは?」


 と、提案したのはいつの間にか俺の後ろに降り立っていたサーシャ。

 クリーン魔法か。


「その手があったな」


 すっかりこの世界の魔法に慣れたから忘れてたわ。


 クリーン魔法とは、いつしかの世界で覚えた魔法で汗から返り血まで、様々な汚れを除去してくれる便利な魔法だ。

 風呂無しでも汚くならない魔法と考えてくれればいい。

 一種の浄化魔法だな。

 名前は色々あって、クリーンやリフレッシュが一番多かった気がする。

 とりあえず、それを使えばペンキをぶちまけた様なこの場所を綺麗にすることが出来るわけだ。


「よしよし、キレイになったな」


 この世界で使えるか不安だったが、無詠唱でも発動できたので他の世界の魔法も普通に使えるようだ。

【知識があるので使えて当たり前かと】

 そーなのかー。


「あの…!」


 おっと忘れてた。

 女性を助けたんだったな。


 女性は金髪青目で、長い耳が特徴的なエルフの美人さんだった。

 胸は小ぶりだ。


「マスター?」

「うっす」


 なんかサーシャに睨まれた。


「私はアリンシアと言います。助けていただきありがとうございますっ! あのまま連れてかれてたらどうなってたか……」


 女性は想像したのか顔を青くする。

 なんで想像したよ。



「いえ、でもなぜエルフのアリンシアさんはオークに?」


 基本エルフは里から出ないで、周辺の森で狩りを行って生活しているはず。

 時折フィサリスさんやジーナみたいに外で暮らしている人もいるけど、あれって結構稀なケースらしい。

 ちっさい頃に読んだ本に書いてあった。

 まあ、でも、この国ではエルフを嫌う人間は少ないってサーシャも言ってたし、こうやって外に出てくる人も多いのかもしれないな。


「フィサリス姉さんに会いに王都へ向かおうとしていたのですが、道中オークパーティーに襲われてしまって……」


 そこまで言ってアリンシアさんは顔を俯かせる。

 この表情からして仲間はオークパーティーに殺されたのだろう。

 なぜ、一人で? なんて聞くのはよしておこうか。


「とりあえず、無事で何よりです。町へ行きましょう」

「はい」


 ここではオークが来るかもしれないので町へ向かった。


 あれ? そう言えばノワールは?

【外で狩りしながら集落を見張るって言って森に走って行きましたよ】

 また勝手な…。



お読みいただきありがとうございます。

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