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尺稼ぎ

 特に変わった様子は見られない。


「死んでくださいッ!」


 男はそう言うと、ウィンドウォルフの遺伝子で強化されたであろう足の速さで正面から来た。

 俺の前までやって来た男は拳を振り上げ殴りかかって来た。

 それを後ろに引いて躱す。


「ちっ!」


 舌打ちした後更に速度を上げて正面から来る。

 正面からしか来ないのかコイツ。


 右拳を振りぬく男に対し、俺も右拳で応対する。

 ぶつかる二つの握りこぶし。

 トロールの遺伝子が入ってるだけあって割と思い一撃だ。

 だが、俺の方が一撃が大きいため、男は後ろに吹っ飛んで行った。

 右腕は使いもんにならんだろうな。


「ぐっ…クッ…!」


 右腕を押さえながら、足だけで立ち上がる男。

 痛そうですね。


「…ただの冒険者ではないようだな」

「ただの冒険者ですが?」


 男は俺の言葉に返事せず、ポケットから更にもう一本注射器を取り出し、壊れた右腕に注入した。


「だが、黒龍王の力には勝てまいッ!」


 そう言った直後、男の袖の部分が弾け飛び、中から黒く尖った鱗で覆われた腕が現れる。

 右腕は完全回復したのかな?

 服の内側も全て鱗で覆われているのだろう。証拠にさっきまで素肌だった首も鱗で覆われている。


 ところで黒龍王って?

【三大龍の一匹です】

 おとぎ話の?

【です。三大龍とは黒龍王、白龍王、龍王の三匹のドラゴンの事を指し、現在もこの世界のどこかに存在していると伝えられております】

 へぇー。実在するなら会ってみたいな。

【ですね】


「どうしました? 黒龍王と聞いてビビりましたかッ!!」


 気付いたら男が目の前にいました。


「ファッ!?」


 気を抜いていたのでちょっとビックリしたが、背を反って拳を避ける。

 避けるのを予想していたのか、伸ばし切っていた拳を振り下ろして攻撃してきた。


「ぬおっ!」


 それを横に転がって避ける。

 俺がいた所は奴の拳で地面にヒビが入っていた。

 なんか見たことのある材質だなぁ、と思っていたが、ヒビの入っていた箇所を見て思い出した。コンクリートだ。

 全面コンクリートみたいな物質で作られた空間のようだ。

 コンクリートでは強度が足りない気もするが、まあ魔法のある世界だから魔法か何かで強化されているのだろう。

 現にヒビの入った箇所はもう直ってるしな。


「この速さの攻撃を避けるとは思いませんでしたよ」


 龍と言えばブレス攻撃だが、顔は龍化してないからブレスはないな。


「早く死んでください」


 男は両手から黒い炎を発現させ、弾幕の如く投げてくる。

 後ろにサーシャとノワールがいるので避けるわけにもいかず、仕様がなく防御魔法を展開。魔力をそこそこつぎ込んだので壊れはしないと思う。


 止む気配のない弾幕。

 このまま防御魔法で包み込んでしまおうか。

 思い立ったがなんちゃら。防御魔法を広げ男を包み込むように操作した。

 本来防御魔法は外側からの攻撃を防ぐ為の物。それを広げ、裏返して相手に被せれば中の攻撃は防ぎ、外からの攻撃は素通りする鳥かご魔法の完成である。

 鳥かご言うても密閉だけどね。


「クハハハッ!! どうだ冒険者? これが研究の成果! 最強への一歩なのだよ!! まあ、聞こえてないだろうがな!!! クハハゴフォアッ!?!?」


 弾幕が止んだと思ったら何やらうるさくなったので、後ろに移動して鉄槌打ちを頭に食らわして黙らせました。

 ここまで戦闘を伸ばしてあげたんだから感謝して欲しいね。


『やあ、幹也君。その白衣の転生者君なんだけどね。殺しちゃっていいよ。よくある邪神が己の復活の為に転生者を送ってるって奴だからさ』


 殺さずに気絶させただけの男に対し、神様ことゼオンから念話という直接脳内に語り掛けることのできる魔法でそう告げてきた。

 殺していいならサクッとやっちまおうか。

 手刀で男の首を刎ねて殺す。

 男を殺すと空間は崩れ去り、元いた遺跡へと戻っていた。


『転生者の邪神側かどうかは、僕がその都度教えるからその時はよろしくね』

「あいよ。了解。だが転生者に会えるかどうかわからんけどな」

『出会ったらでいいさ。じゃあね』


 念話が切れたのを確認し、振り向く。


「ふあぁ…」


 そこにはあくびをしているサーシャと寝転がっているノワールがいた。

 お前ら途中から飽きてたな。


「さて、解放するぞ」

「遊び過ぎです」

「ウォン」

「サーセン。そい!」


 ノワールの仲間たちの入っている檻を、手刀でスパッと切り裂いて穴を作ってやる。

 だが、俺を警戒しているのか。彼らは出てこない。


「ウォン」


 それを見たノワールが一鳴き。

 その一鳴きで彼らは出て来てくれた。


「ワン」

「ウォン」

「グルル」

「ウォンウォン」

「ワフン」

「ウォン」


 何やら話しているようだが、何言っているかさっぱりだ。


「どうやらノワールは、この辺りに住むダークウォルフ達…と言ってもこの五匹だけですが、その長だったようです」

「もしかして、俺の所に来たのは仲間を助けて欲しかったからとか?」

「ウォン」

「腹減ってたから。だそうです」

「さいですか」


 まあ、何はともあれ、仲間たちは無事だったしノワールとはここでお別れかな?


「ウォン」

「お別れとか言うなよ? だそうです」

「なぜわかった。だけど、お前仲間もいるのにどうするんだよ?」

「ウォン」

「長の座は渡したから平気。だそうです」

「まあ、お前がそれでいいなら構わないけど。お前らはいいのか?」

「ワン」

「ウォン」

「グルル」

「ウォンウォン」

「ワフン」


 俺の言葉に何か返してきたようだが、何言ってるかわからん。


「反論は無い。だそうです」

「そうか。ならいいさ。とりあえず外に出ようか」


 外に出たあと、俺達はダークウォルフ達と別れ街へと戻った。


 そう言えば、あの白衣の男って九年前のあの遺跡で出会ったあの男なのだろうか?

 ちゃんと顔も覚えておくべきだったなぁ。

 まあいいか。

 因みに男の死体はボックスにしまってあります。


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