指名依頼
ギルドマスターと呼ばれていたエルフの女性に付いて来た俺達は、彼女が普段使っている執務室へ入った。
エルフの女性は、俺達をソファーに座らせた。
「コーヒーでいいかしら?」
「はい」
「大丈夫です」
返事をすると、彼女はコーヒーを入れて俺達の前へ置いた。
「「ありがとうございます」」
彼女は対面する形でソファーに座り、自分の分のコーヒーをテーブルに置く。
「ここへ呼んだ理由をお聞かせ願えますか?」
長居するのもあれなので、早速本題へ入らせてもらうことにした。
「あら、つれないわね。何か急ぎの用事でもあるの?」
「いえ、外に連れを待たせているので」
遅くなるとノワールが怒りそうだしな。
「そう。そう言う事なら仕方ないわね」
納得してくれた彼女はコーヒーを一口飲み続ける。
「あなた、いえ。あなた達って人間?」
失礼な奴だ。
【失礼な方ですね】
「どうしてそう思ったんですか?」
とりあえず、そう思った理由を聞いておこう。
「私、相手の魔力を見ることが出来るのよ」
「なるほど」
確かに相手の魔力を見る力がある人が俺を見れば人間か疑うよな。
納得したわ。
「因みに聞きますが、魔力を見れる人って多いんですか?」
「いいえ、そんなに多くないわ。王国領内を探しても数十人いるかいないか位ね」
【魔力が見える人は、魔の資質がある将来有望な魔法使い達です】
魔力が見える人は皆将来有望な脳筋候補なのか。
【偏見です。他の世界にもいたのに知らなかったんですか?】
一度でも会ってれば知り得たんだがな。
「残念。多ければ絡まれる事も少なくなるのに」
「確かに魔力が見れればあなた達に絡もうなんて思わないでしょうね。さて、質問の答えを聞かせてくれるかしら?」
「俺達が人間かどうか。でしたっけ?」
「ええ」
「何を期待していたかはわかりませんが、俺達はちゃんとした人間ですよ」
サーシャはわからんが。
【私はスキルです。肉体も年を取らないので人間ではないですね】
まあ、そうだよな。
「人間が持てる魔力量ではないんだけどねぇ。正直、あなた達を見ていると背中に冷たいものが走るわ」
「あはは…」
扱いがまるで化け物だな。ひでぇ…。
【実際化け物ですけどね】
まあ、うん。
「ところでアルヴァ君にサーシャちゃん」
「はい」
「なんでしょうか?」
「あなた達ランク上げたい?」
「今のところは上げる気ないです。上げられる程ポイントも稼いで無いですし」
「ギルマス権限でポイント無視で昇格できるわよ?」
職権乱用乙。
「Fランクでも上の依頼を受けられるので昇格には興味ないですね。それに、昇格するなら正規のやり方で上げる方が楽しいじゃないですか」
「私はマスターと居られればランクなんてどうでもいいので」
あら、嬉しいこと言ってくれるじゃない。
【マスターあってこその私ですから】
はは、これからも頼むぜ? 相棒。
【お任せください。マスター】
「欲がないのね。この話は聞かなかった事にしてちょうだい」
「話はこれだけですか?」
ノワールに遅いって怒られそうなんだが。
「いえ、もう一つだけ。あなた達の力を見込んで頼まれてほしい事があるのよ」
「指名依頼、と解釈しても?」
「ええ、指名依頼よ。受けるかどうかは置いといて、まずは説明を聞いてちょうだい」
「「わかりました」」
「ありがとう。最近ね、森の奥に住む魔物達が街道近くまで出て来ているのよ。原因は不明。私個人の意見としては、森の奥で何か異変が起きていると思うの。だからあなた達には異変の調査、出来れば解決を依頼したいってわけ」
森の奥の魔物が街道近くまで……ね。
もしかしたらノワールも関係しているのかもしれないな。
アイツはブラムの町の近くで仲間になったが、ここらへんでダークウォルフが生息しているとしたら森の奥だと宿の従業員も言っていた。
だとすると、ノワールは元々森の奥で暮らしていて、その異変とやらのせいでブラムの方まで逃げて来たのではないだろうか?
いや、考えすぎか。
「受ける?」
「報酬によりますね」
今はお金が欲しい。
「そうね。調査して報告してくれたら25万、解決までしてくれたら追加で50万ゴルド払うつもりよ」
合計75万ゴルドか。
「それだけ払ってくれるならやらせていただきます」
「ありがとう。期限は無いけど、被害が出るといけないから早めにお願いね」
「わかりました。では、そろそろ」
「ええ、話を聞いてくれてありがとう。期待しているわ」
俺達は執務室を後にし、ノワールと合流して宿に帰った。
翌日から調査を始めるつもりだ。
でも、なんかわからんが、めんどくさい事になりそうな気がする。
【フラグですね】
ひぇっ…。
ギルマスの名前を未だに考えていない作者です。
今回も読んでいただき感謝感激っす!




