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初めての依頼

 門の手前にてある事に気が付いた。

 サーシャは手続きを行って街に入ったわけではないのだ。

 街に住んでるわけでもないのに、中から素性の知れない人が出てくるのは不味いのではないか?

 それにもし外から来たと嘘を吐くとしても、サーシャほどの美人が通ったら門番たちの印象に強く残るはずだ。

 嘘ぐらいすぐにばれるかもしれない。

 どうするべきか。


「なんか良い手ないか?」

「私がマスターの中へ戻れば済む話なのでは?」

「その手があったか。肉体はボックス魔法で収納しとくか?」

「いえ、一度肉体に定着してしまえば、マスターの中に入る時肉体も一緒に持っていくことが出来ます。ゼオン様にそう作って欲しいと頼みましたので」


 こう言う時のことを想定して作って貰ったのか。

 さすがサーシャ。


「では一度中へ戻らせていただきますね」

「ああ」


 俺が頷くと、サーシャの身体は光の粒子となり俺の身体へと吸い込まれて行った。


【これなら外に出れますね】

「ああ」


 問題が解消されたので、路地から出て門へと向かった。


「君は今朝の…。外へ行かれるのですか?」

「はい、ギルドに登録してきたので早速依頼にでも行こうかと思いまして」

「そうですか。最初ですのでステータスカードの確認をさせていただきます。カードを」

「はい」


 ステータスカードを取り出して門番に渡す。

 門番はカードを受け取り裏表を確認した後すぐに返してくれた。


「確かにステータスカードですね。ありがとうございます。では、お気をつけて」

「はい」


 無事門を抜けることが出来、俺達は外へと出た。

 門から少し離れた所まで移動して近くの林に入るとサーシャが中から出てきた。


「依頼は最近森に住み始めたオークパーティーの討伐か」


 森って言うと少し言った所にある深い森の事で間違いないだろう。

 オークパーティーと言う聞きなれない言葉だが、言葉的に見てオークが複数匹でパーティーを組んで行動しているんだろうな。


「オークパーティーは基本戦士、剣士、槍士、弓使い、魔法使いの五匹で構成されいるようです」

「基礎的なパーティー構成だな」

「ですね」

「んじゃ、行きますか」

「はい」

「ウォン」


 相手がどんな魔物かさえ分かっていれ全く怖くない。

 情報って大事だな。


 林から街道へ出て十分ほど移動したところにある森にやって来た。


「サーシャ、索敵を頼む」

「はい」


 広い森は下手に探索すると迷うからな。

 こう言う時に頼りになるのがサーシャだ。

 サーシャ本来のスキルは「物の検索」と「人の検索」だが、スキルレベルが上がった事により「マッピング機能」と「索敵」も行えるようになった。

 今までの世界で、俺が生き延びられたのはサーシャがいてくれたからだな。

 と言っても、サーシャに「サーシャ」と言う人格が生まれたのは大分後だけどね。


「見つけました。十一時の方向一キロ先を進行中です」

「了解」


 サーシャの指示通りの方向へ走る。


「やっぱ森の中は走りづらいな」

「こう言うのも新鮮で楽しいです」


 楽しいのか。

 でも、そうか。サーシャはずっと俺の中にいたからこう言う森の中を走るってのも初めてなんだな。

 ノワールは元より森の生物だったからひょいひょいと移動している。さすがだ。


「楽しそうで何より」

「はい! 残り五十メートルで衝突します」

「わかった。衝突と同時にサーシャは風魔法でオークメイジと槍使いを頼む。ノワールは弓使いを、俺は残り二体をのす」

「わかりました。衝突します」

「ウォン」

「初戦闘だ。油断はするなよ」

「はい!」


 話しが終わったところでオークパーティーと接触した。

 オーク達は突如現れた俺達に驚き、判断が遅れる。

 その隙にサーシャが魔法を発動して指示した二体をカマイタチで両断。

 一番判断の早かった弓使いはノワールに首を噛みつかれ即死。

 俺は戦士と剣士の前に着地し、剣士の懐に入り込んでアッパーカット。

 吹っ飛ぶ際に落とした剣をキャッチしてその剣で戦士を切り伏せた。


「証明部位ってどれだっけ?」

「オークは牙です。オークパーティーの場合は武器も持っていく必要がありますね」

「わかった。ちゃちゃっとやっちまおう」

「はい」

「ウォン」


 解体から火葬まで済まして帰ることにした。

 こうしてこの世界で初めての依頼は無事達成することが出来た。

 今日一日で一番ビックリしたのは、サーシャがるんるんと鼻歌交じりにオークを解体していたことだ。

 解体も楽しそうにこなすのはさすがにびっくりしたわ。



◇◆◇◆◇◆◇



 帰るのが速すぎても怪しまれるので、少し時間を置いてから帰った。


「お、意外と早かったですね。そちらの方は?」

「森の中で偶然会いまして、同業者だったので手伝って貰ったんです」

「なるほど、そうですか。女性の方、ステータスカードの提示をお願いします」

「はい」


 サーシャはステータスカードを門番に見せる。


「確認しました。おかえりなさい」


 門をくぐって中に入り、ギルドへ直行した。

 ギルドに帰ると、依頼帰りの人も多くかなり混んでいたが、幸いなことに混んでいるのは酒場の方だけで、受付の方は人が少なかった。

 受付の順番が回って来たので、依頼書とステータスカード、それから証明部位と武器をカウンターに乗せた。


「えぇと、Bランク依頼でオークパーティーの討伐ですね。えっ!? Fランク!?」


 受付嬢は昼間に居た人ではないので俺がBランクの依頼書を持ってきたことに驚きの声を上げた。

 あまりの声の大きさに一瞬ギルド内が静かになるが、すぐに騒がしさが戻る。


「えと、Fランク……ですよね?」

「はい、二人ともFランクです」

「これはBランクの依頼ですよね」

「ですね。何か問題が?」

「い、いえ! えぇと、証明部位に、オークパーティーなので各種武器…。か、確認しました! こちら報酬です」


 確認が出来たので受付嬢は金袋を渡してきた。


「ありがとうございます」


 金袋を受け取り、受付から離れようとするが、また遮られた。

 今日は良く絡まれるなぁ。


「おいおい坊主! 嘘はいけないぜ? どうせ部位も武器も買って来たもんなんだろ?」


 何を言っているんだコイツは。

 見るとそいつは今朝俺が登録した時に絡んで来た男たちだった。


「買ったら依頼をしても赤字にしかならない。やる意味がないだろ」

「はっ! ギルドポイント稼ぎだろ。どうせ」

「? ギルドポイントって?」


 聞く限りギルドのポイントなのだろうけど……。


「ギルドポイントが一定量貯まると昇格試験を受けれるんですよ。知らなかったんですか?」


 俺の疑問を解消してくれたのは受付嬢。


「はい、今日登録したばかりなのでその辺の知識がなくて……」

「え、今日登録したばかりなんですか!? じゃ、じゃあ……」

「さっきの依頼が初めてです」

「は! それこそ怪しいじゃねーか。登録したばかりの初心者がBランクの依頼をクリア出来るわけねぇ!」


 その言葉に周りから「そうだ! そうだ!」と言う声が飛んでくる。

 何このめんどくさい状況。


「何を騒いでいるの?」


 どう対処するか悩んでいると綺麗な声がギルド内に静かに響く。

 静かに響くってなんかおかしいな。

 でもそんな感じ。


 声が聞こえた方を見ると長い金髪で青い目を持つ美女が立っていた。

 目を引くのは耳。特徴的な長い耳から、彼女はエルフなのだろう。


「ギルドマスター。いえ、こちらの方がFランクなのですがBランク依頼の成功報告をしてきたので、確認をして報酬を渡したらそちらの方がこの方に突っかかり始めて……」

「そう。…ッ!」


 エルフの女性は俺に目を向けると目を見開き驚いた。


【お知合いですか?】

 なわけないだろ。一度でも会ってたらサーシャも覚えてるはずだ。

【ですよね】


「マスター! コイツはギルドポイントを稼ぐために嘘をついている!」


 突っかかってきた男がエルフの女性に言う。


「嘘なの?」

「いえ、ギルドポイントのこともついさっき知りましたし、嘘をついてもしょうがないじゃないですか」

「騙されるな!」


 うるさいな。


「わかった。あなた達決闘しなさい」

「は?」

「要はFランクがBランクの依頼を成功できるわけないから嘘って言いたいんでしょ?」

「いや、ちょっと待て」

「ああ!」

「ならこの子の実力が分かればいいのだから決闘が一番早いでしょ?」

「わかった。俺はCランクだ。嘘を吐くことしか出来ないFランクに負ける要素がねぇぜ」

「貴方は?」

「なんで……いや、そっちの方がいいか」


 よく考えたら決闘の方が下手ないざこざよりすぐに終わる。

 なら流れに乗ろう。


「決闘はギルド訓練場でやるから準備しなさい」

「おうよ! ぶちのめしてやる」

「わかりました」


 ギルドマスターに連れられ訓練場に移動した。

 ノワールには悪いがもう少し待っててもらおう。

 後でドラゴン肉でも焼いてやろ。



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