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受注

 ギルドへ行く途中、獣舎でのんびり昼寝をしていたノワールを起こして連れて行く。

 ギルド前で待っててもらい、俺とサーシャだけで依頼を受けるために中へと入った。

 依頼は掲示板に貼ってあるものから選び、その依頼書を受付に持っていくと受注することが出来るシステムである。

 だが、今回はサーシャの登録が先なので受付へと向かった。


「あ、今朝のえっと……」

「アルヴァです」

「そう! アルヴァさん! 依頼ですか?」

「依頼もですが、まずは彼女の登録を行おうと思いまして」

「そちらの美人で可愛い方ですか?」

「はい、彼女とはこの街で落ち合う予定だったのですが、まだ彼女は登録してなかったようなので……」

「わかりました。では、こちらに記入をお願いします」

「はい」


 サーシャは紙とペンを受け取り、さらさらっと書き上げる。

 次にカードを受け取って血を一滴垂らして登録を完了させた。

 カードの内容はこうだ。


―――――――――――――――

名前 サーシャ

年齢 15

主要武器 なし

ランク F

―――――――――――――――

―――――――――――――――

『ステータス』

種族:人族

LV :25

魔力:500 攻撃:300 防御:300

速さ:700 魔攻:700 魔防:600

運 :50

―――――――――――――――


 なんともキリの良い数字だこと。

 それになんか俺のステータスに近いな。

 いや、人族を基準にしたら似たり寄ったりなのは当たり前か。


【本来のステータスはマスターとまるっきり同じですよ】


 マジか。


【私は本来ステータスは必要のない存在ですからね。肉体を得た場合、元がスキルである私はマスターのステータスに依存し、同じだけ力を出すことが出来るわけです】


 つまり?


【私とマスターはステータスを共有している。と言う事です】


 俺がもう一人いるようなもんじゃねーか。


【そうなりますね】


「カードの方も確認しました。登録完了です」

「ありがとうございます」

「よし、じゃあ依頼見に行くか」

「はい!」


 受付嬢に一礼し、掲示板の前に移動する。

 当然だが、依頼掲示板には色々な依頼が貼ってありどれを選ぶか迷う。


「手ごろな討伐依頼は……」


 探していると、後ろから数人の足音が近づいて来た。


「よう新人! お前らみたいななよっちい奴はお使い依頼がお似合いだぜ!」


 そんな声が聞こえたので後ろを向くと、ゴツイおっさんが三人のこれまたゴツイおっさんを引き連れて立っていた。

 後ろの三人は先頭のおっさんの言葉を聞いてにやにやと気持ち悪い笑みを浮かべていた。


「あ、これなんかどうですか?」


 サーシャはガン無視で依頼を探していたらしく、一枚の依頼を剥がして渡してきた。


「Bランクの討伐依頼か。ありがとう。これにしよう」


 俺もサーシャを見習い、このおっさん達を無視することにした。


「「「「ギャハハハハハハッ!!」」」」

「お前みたいな初心者がいきなりBランクの依頼を受けるのかよ!」

「無理無理!」

「死に急ぐなって!」


 下品な笑い声をあげて色々言ってくるおっさんら。

 声がデカいので酒場にいた他の冒険者もこちらを見て笑っていた。

 とんだ自殺志願者がいたもんだ。と。


 俺とサーシャは何も言わずに掲示板の前から移動しようとするが、おっさんに阻まれた。

 テンプレって嫌いだわ。


「見た所綺麗な姉ちゃんは魔法使いの様だし、こんな自分の実力もわからない雑魚なんかより俺達のパーティーに入らないか?」


 おっさんらは俺の後ろにいるサーシャに気持ち悪い笑みを浮かべながら問いかける。

 しかも、あろうことかその汚い手まで伸ばそうとしている。


「彼女に手を出そうとすんじゃねーよ」


 さすがに手まで出されるとイラッと来てしまい、無視するはずが声を出してしまった。

 これはしょうがないと思う。


「ああ? お前みたいな雑魚のパーティーより、俺達Cランクパーティである『紅蓮の斧』に来た方が良いに決まってるだろう?」

「ちゃんと可愛がってやゴフッ!?」


 汚い発言をしようとしたおっさんの右斜め後ろにいた男に一発腹パンをねじ込み黙らせる。


「何しやがるッ!?」


 仲間が倒れたことにより怒りの表情に変わった他三人。

 先頭の男が殴りかかって来たので、手のひらで受け止めてやる。

 この手の奴は相手の実力がわからず攻撃してくるので、嫌でもわからせる必要がある。

 その為にまずは拳を受け止めてやった。

 次にすることは、受け止めた拳を折れるか折れないか位の強さで握ってやるだけだ。ギュッとな。

 これだけで相手は力(物理)では勝てないこと知ることになる。


「ッ!?」


 ほら、手を引っ込めた。

 おっさんの額にはうっすらと汗が浮かんでる。


「行くぞッ!!」

「え?」

「やっちゃわないんですか?」


 一変して態度を変えたリーダーに困惑するメンバー二人。


「いいから行くぞッ!! コイツを運んでやれ!」

「「は、はいっ!!」」


 未だに困惑している二人だが、リーダーの指示に従って倒れているもう一人を抱えてリーダーについて行った。

 奴らが出て行ったギルド内は静まり返っていたが、少し経つとざわざわと騒ぎ始めた。

 内容的には何が起こった? 何故あいつらは何もしなかったんだ? 等と言った感じだった。


「一件落着だな」

「ですね。行きましょうか」


 俺達は受注するために受付へと向かった。


「依頼ですね。ん? あの、これBランク依頼ですけど……」


 困った表情になる受付嬢。


「Bランク依頼ですね」

「……受けるんですか?」

「はい」

「出来れば受けて欲しくないんですが……」

「すみません」


 心配してくれるのは嬉しいが、ここは譲れない。


「……はぁ。わかりました。ですが、危険だと思ったら逃げてくださいよ?」

「わかりました。その時は全力で逃げます」


 受注の判子を押してくれた受付嬢。


「すみません。じゃ、行ってきます」

「お気を付けて!」


 困らせてしまったことに対し一言謝って、俺達はギルドを後にした。


「受付の方には悪いことをしてしまいましたね」

「ああ。普通なら四つ上のランクなんか受ける奴なんていないだろうしな。まあ、驚かれたり心配されたりするのは最初だけだよ」

「今までと一緒ですね」

「ああ」


 そのうち驚かれることも心配されることもなくなる。

 今まで通りで、昔と変わらない。


 俺達は過去を思い出しながら門へと向かった。

朝の四時ごろってお腹すきません?

今回も読んでいただき感謝感激雨霰です。

二作同時に連載しているので、更新進度はそれなりに遅いですが、これからもよろしくお願いします。

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