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「基本的な原稿用紙の使い方はわかるよね。段落の頭は一字下げるとか、そういう感じ。詳しいことは国語の教科書に書いてあるけど、どうせ真司くんのことだから読んでもいないでしょ」
おれの目の前には一ヶ月間ため込んだ新聞紙みたいに分厚い原稿用紙の束が鎮座している。だいぶ昔に買われたものなのか用紙は半ば黄ばんでいたし、古い本のような埃っぽい匂いが鼻をついた。古民家から発見された文豪の未発表原稿みたいな貫禄がある。
対するおれの手にはグリップの柔らかいシャーペンが握られていて、いかにもミスマッチだった。
「ま、どうせ清書するときはワープロに打ち込むんだし好きに落書きしちゃいなさいよ。なんなら手書き原稿として掲載してもいいけど」
「あ、とか一言だけでっかく書いて詩として出しますよ?」
「それもそれであり。受けるかどうかはあなた次第」
「おれ本気ですから」
「あらそう。鈴森さんはちゃんと書いてるのにね。失礼な男だと思うでしょ」
「はい」
晴れて名誉ある文芸部員になった鈴森だったが教室内では相変わらず話しかける機会はほとんどなかったし、向こうから話題を振ってくることもなかった。せっかく接点が出来たのだからすこしくらい仲良くしてくれればいいのに、とは思う。いくら内向的だといっても、度が過ぎれば嫌われているように感じるものだ。
にこりともせずキーボードを叩いている姿はとても素人には見えない。
少なくともおれの十倍は早く文章を練り出している。ブラインドタッチも完璧で、手元を確認することがほとんどない。まさに理想的なスタイルだった。
「ほら他所見してないで、なんなの? 好きなの?」
「帰ります」
「ごめん嘘だって。まずはどんなことを書くか、あらすじを決める。いわゆるプロットってやつね。これがなくてもスイスイ執筆できる天才肌の人も存在するけどあたしたち一般人、とくに初心者にとっては必須の行程だからきちんとやる」
取りつくろうように真面目になった。鈴森のことが好きだという変わったやつがいたらお目にかかりたいものだ。確かに顔は悪くないがなにを考えてるのかわからない相手じゃどうしようもない。
「具体的にはストーリー、キャラの設定、世界観、タイトルその他――起承転結とか序破急とか、定型化されてるスタイルに当てはめるのが楽でいいかもね。ま、難しいことは考えずに大ざっぱに行きましょ。真司くんはどんな小説を考えてるの?」
「なにも」
「へー、やる気?」
「わかんないんですよ。どんなものをテーマにすればうまくいくのか。少年漫画っぽいのはいくつも思い浮かぶんですけど、そんな子供っぽいもの書くわけにもいかないし」
「別にいいんだけどね、子供っぽいものでも。問題は少年漫画チックなのを書こうとすると必然的に文量が多くなっちゃうことかしら。いきなり指輪物語を超えるような壮大な世界観とストーリーの大長編に挑戦して大失敗するなんて話はいくらでも聞くし。いつかはやってみたいけど、長いものはそれなりに根気も技術も必要だから」
「短編は簡単なんですか?」
「うーん」先輩は後ろ髪をかきながら唸った。「短編はある意味芸術作品だからねー。長距離走は長距離走で難しいし、短距離走は短距離走で奥が深い。けど、五十メートルなら小学生でも走りきれる。そういうこと」
「なるほど」
先輩にしてはわかりやすい優秀な例えだった。
「星新一って読んだことある?」
「ないです。名前は聞いたことありますけど」
「そうか……星新一はね、ほんの数ページくらいの長さの小説の達人だったの。鈴森さん、いま持ってたりしないよね」
「家にはあります」
パソコンの画面から視線を上げずに答える。
先程から部室にはずっとリズミカルな音が響いているが、彼女は一体なにを書いているのだろう。後ろから覗きこんでみたい衝動にかられる。意外と鈴森もベタな恋愛小説を書いてるのかもしれない。もしくはバトル物の大長編とか。
とにかく、人間は外見だけで判断できないということは姉貴から学んだ。
役に立つのかわからない知識だけど。
「あたしも持ってるから今度貸してあげる。ただし、パクっちゃだめだよ。真似しようとするのはいいことだけどね、そのまま盗作したら人間の風上にも置けない。太宰治にさえ『お前は人間失格だ』と烙印を押されるくらい大罪だから」
どうして姉貴も立花先輩も太宰治が好きなのだろうか。無闇やたらと『人間失格』を勧めてくる。おれが人間失格ならば、太宰治はきっと素晴らしい聖人君子だったに違いない。
「練習として他人の作品を模写するというやり方はありえる。あたしも何回か挑戦したことあるしね。意外と時間はかかるけど、その分読むだけよりもはるかに文章を味わえる。有名な短編小説だったら一度くらいは試してみる価値はあると思うよ」
「そんなことしたら、そっくりな作品になりません?」
「たしかにプロの作家に影響されて文体がコロコロ変わる人はたくさんいる。村上春樹を読んでればおしゃれな言い回しを使いたくなるし、やれやれとか挟みたくなる。逆にライトノベルばかり偏食していると女の子が萌えキャラ化していく。世の中の道理ね」
「それでいいんですか」
「読んだだけでプロの作品と同じ物が出来るなら今ごろ新人賞なんて無意味になってるわよ。どう真似しようたって劣化版になるだけだもの。それに二人の作家から影響されれば、既存の文体とはまったく違ったオリジナリティが生まれる。それに同じ作家に触れていたとしても、人によって感性は異なるから、どれをどの割合でブレンドするか、自分の人生体験はどのくらい影響するか、そんなことを考えてみると、まったく同じなんて存在しないわけ。人間の遺伝子が全部同じでないみたいにね」
先輩の力説はごもっともだったが、おれみたいに本をほとんど読まない人間は影響されやすいんじゃないかと思う。
いくら感化されたところで劣化版には変わりないだろうけど。
「意図的に真似ようとしなければ、自分の個性なんていやでもにじみ出てくるよ」
「先輩はずいぶん性格を誤魔化してたみたいですけどね」
「あ、読んでくれたんだ」先輩は口元を緩めた。「小説に表れるのは個性であって性格じゃないからね、どんな引きこもりだって超壮大なファンタジーは書けるわけだし」
「で、おれはなにを書けばいいんですか」
「なんでも」
そういわれるのが一番困る。
おれはシャーペンをくるくる回しながら先輩の顔をのぞき込んだ。
「先輩がプロットを作ってくださいよ。そしたらそのとおりに書きますから」
「んー、まあ、それでもいいんだけどねー」
あまり乗り気ではない様子だったので、仕方なしに先程から無言なお隣さんに声をかけてみる。
「鈴森はやってくれないの?」
「遠慮しとく」
遠慮とは口先ばかりの明確な拒否だった。
おれに対する態度が段々と悪くなっているように感じる。なにか好感度を下げるようなことをしただろうか。もとから高くはなかったけど。
「プロットを作ってるときが一番楽しいって人も多いし、真司くんもやってみなよ。とりあえずおおざっぱなテーマとか、あらすじとかを紙に書き出してみて」
目の前には真っ白な原稿用紙が横たわっている。
原稿用紙なんて使うのは小学校の読書感想文の宿題以来だ。空白で気持ち悪いので、とりあえず名前だけは埋めておく。タイトルの部分は未定。
「なにか日ごろ温めてるネタとか、面白そうだなーと思う話とかないかな」
「そう都合よく持ちあわせてませんよ」
「じゃ、辞書で適当に決めようか」
先輩は物置状態の部室の一角からほこりの積もった辞書を拾い上げ、表紙をぱんぱんと叩いた。何年ものだかわからないビンテージなほこりの塊が宙を舞う。鈴森が咳払いした。
「適当なページを開いて、目についた単語をもとに想像をふくらませていく。簡単そうだけど意外に難しいから、運命の神様に祈っといてね」
「付喪神になってそうな辞書ですけどね」
真ん中あたりを選んで、ページを開く。払いきれていなかったほこりが舞い上がる。
いったいこの辞書は誰のものなのだろうか。先輩でさえ把握していないに違いない、過去の遺物だろう。
「さて、どれにする」
当たりを引いたのは「な」を頭文字とする単語の群れだった。
梨、茄子など様々あるがどれも小説のモチーフになりそうなものはない。どうやら運命の神様はおれを見捨てているらしい。
「これいいじゃない、夏休み」
「夏休みですか……」
「まずはこの単語から連想できる言葉をどんどん捻り出しましょ。アイス、スイカ、かき氷、なんでもどうぞ」
「食べ物ばっかですね」
「うるさい。はやくやれ」
後頭部をどつかれる。
暴力的な先輩は嫌いだ。
「えーと、宿題、プール、風鈴――」
「そうそう、その感じ。やればできるじゃない」
「小学生だってできますよ、このくらい」
「さ、無駄口叩かない」
なおもおれを促す先輩は、出来の悪い生徒が珍しく勉強しているのを喜ぶ先生みたいだった。
原稿用紙はみる間に夏休みと関連付けられた言葉で黒くなっていく。シャーペンを走らせていると、自分でも驚くほど多くの思い出が蘇ってくる。そのほとんどが、サッカーをしている光景だった。夏休みは絶好の練習期間で、朝から晩まで走らされた上に水さえ飲ませてもらえなくて、監督の目を盗んでよく水筒に入った生ぬるいスポーツドリンクを流し込んだものだ。
そのスポーツドリンクも、既成品ではなく、粉末と水を混ぜて作るタイプのもので、わざと濃いめに作っておく。そうすると体中に成分が染み渡る気がした。
夏の間じゅう外でボールを追い掛け回しているわけだから、甲子園で熱闘を繰り広げている球児たちよりも肌は黒くなる。おかげで体力はついたが宿題はサッパリ手につかなくて学校が始まってから急いで写させてもらっていた。
だが、それも去年でおしまいだ。
今年の夏はどう過ごせばいいのだろう。アルバイトでもしようか。夏の間だけ雇ってくれるファミレスかコンビニがあればいいのだけど、高校一年生ではキツイかもしれない。
吐くほど練習させられた後に、また吐くほど食事を摂らされる地獄の合宿もないのだ。
苦しみのどん底から開放された夏休みというのは、どんなものになるのだろう。友達と遊びまわる夏も、悪くないと思った。
原稿用紙は知らぬ間にみっちりと言葉で満たされている。とりとめもない記憶の断片があふれだして文字になったみたいだった。
「いい調子じゃん、真司くん才能あるかもよ」
「ないですよ、そんなもの」
「あたしだってこんな短時間に原稿用紙をいっぱいにするのは無理だもん。想像力が豊かだと、ストーリーの選択肢が飛躍的に増えるからね。読者を引きこむような展開も浮かんできやすくなる」
「お題が良かったんです」
そう、たまたま思い出の琴線に触れて、うまくいったように見えるだけだ。
素直に吐き出してしまいたかったが先輩の嬉しそうな表情が目に入って、やめた。どうして先輩は他人のしていることを実に楽しそうに眺めていられるのだろう。
スポーツ観戦とはまるで違うのに。素人が苦労しているのなんか面白くもなんともない。
「さて、この中からふたつ気に入ったキーワードを選んでみて。それをもとにストーリーを構成してみるから」
気に入ったという漠然な判断基準で選びとったのは「太陽」と「入道雲」という言葉だった。ふたつに必然性はなかったし、おれの無意識が選びとっていたのだとしても、それは知りようのないことだ。とにかく太陽と入道雲が思い浮かんだ。
「なるほど――北風と太陽って童話覚えてるかしら」
「もちろん」
旅人のコートを脱がすのに北風と太陽が競争するという有名な童話だ。最終的には力で訴えようとした北風ではなく、暖かく照らして旅人を暑がらせた太陽が勝つという流れだった。
この勝負は圧倒的に北風の分が悪かったように思う。もっと自分に有利な土俵で戦えばよかったのだ。たとえば旅人を吹き飛ばした方の勝ちにするとか。
「それを太陽と入道雲に置き換えて、すこし話の筋をいじってみる。まずは本筋通り、太陽と入道雲が賭けをする」
先輩は自ら原稿用紙に簡単な絵を描いた。雑だが、味のあるキャラクターが出来上がる。
「さてここで問題。なにで勝負する?」
「えーと……」
太陽と入道雲が競うといったらなんだろう。
幼稚園児なら簡単に答えられそうな問題だが、高校生になって固まりきったおれの頭には少々難しい質問だった。大人に近づいていくのはいいことばかりじゃない。
「旅人に傘を差させる勝負、とかですかね」
「つまり?」
「入道雲は雨を降らせるし、太陽は日差しがある。どっちも傘をさすのに条件は揃ってますよね」
「グッドアイデア。じゃ、次ね」と先輩は悪魔みたいに微笑んだ。「どっちが勝つの?」
「そりゃーー引き分けじゃないですか」
「それじゃオチがつかない。どちらが勝つのか、その理由もあわせて答えなさい」
こんな問題が国語の試験に出されなくてよかった。持ち時間を全て使いきっても答えが思い浮かびそうにない。
しばらく悩んでいたら、先輩が助け舟を出してくれた。
「しかたない。仮に原作通り太陽が勝ったとしましょう。それはどうして」
またもや難題だ。
逃げ場を求めちらりと鈴森の様子をうかがうと、目があった。どうやらこちらに興味があるらしい。なんなら代わってくれればいいのに。
「えー、入道雲は雨を降らせたら消滅してしまったとか」
「それも面白い。ほかには」
「入道雲の雨が激しすぎて傘を壊したとか」
「なるほど、もっとあるでしょ」
「旅人は雨が好きだったけど日焼けは嫌いだったとか」
「つまり河童ね。それもあり」
先輩はおれの思いつきを原稿用紙に書き写し、大きくまるで囲んだ。ロクに考えていないアイデアが着飾っているみたいで恥ずかしい。
「さて、これだけ選択肢があります。どれが一番良さそう?」
「どれも決め手がないですね。つまらない」
「そう? 最初のやつだったら、なんだか哲学チックな終わり方にできるし、ふたつ目は面白おかしくできそうだし、最後のはしっかりオチがついてる。どれをとってもなかなか優秀だと思うよ」
「じゃ、先輩が決めてください」
「それはだめ。最終的に決断するのは真司くんじゃなきゃ意味ない。書きやすそうなやつでもいいし、好きなのでもいい。とにかく一度選んでみて。ダメだったら後から変えればいいんだから。いくらでもやり直しがきくのが小説のいいところね」
おれは迷った挙句、最初のに決めた。みっつの中から選べなんて、どこかのゲームみたいだ。
「なるほどね、入道雲は雨を降らせて消えてしまった。だから残った太陽の勝ち。なにかしら教訓的ね」
「そうですか?」
「あたしはあんまり好きじゃないけど、あえてそれっぽくストーリーを作ることで評価されている作品もあるの。逆に素人は全部の心情と意図を描写しようとしてうるさくなっている場合も多いし。例えばわざわざ『彼女の一人称が私からあたしに変わっていたのは、主人公に対する警戒心が薄れてきたからだった』とか説明されたら興冷めしちゃうでしょ。国語のテストじゃあるまいし。その辺の工夫は黙って読み取らせるのが作者ってもんよ」
「……むずいですね」
「で、あらすじとテーマは決まったから、あとは書くだけ。本当なら太陽と入道雲と旅人の性格とか言動とか、背景とかも決めときたいところだけど、まあそこまではいいでしょ。そして重要なのはタイトルと冒頭と最後。そこだけは気合入れてかないとね」
「入道雲と太陽とかいうタイトルじゃダメなんですか」
「――仮題、としておきましょ。タイトルなんていくらでも変えられるし」
おれが三秒もかからずに思いついたタイトルは暗に否定された。さすがに安直すぎるか。
「さ、今度は冒頭の一文ね。有名どころだと『メロスは激怒した』とか『国境の長いトンネルを抜けると雪国であった』とか。ま、インスピレーションに任せるがままに書くのが一番よ。最初がうまくいけば、短編だったらそのまま勢いで書けてしまうこともあるし」
先輩がしきりに励ましてくる横で、おれはシャーペンをくるくると回し続ける。
小説とはそんなに簡単なものなんだろうかという疑問がおれのペン先を鈍らせていた。一文字目を書きだしたら、おれは未知の世界に足を踏み入れることになる。先輩が楽しげに語るようには楽でない気がしていた。
「こればっかりはお風呂に入ってるときだったり、散歩してるときだったり、授業中だったり、浮かんでくるタイミングは人それぞれだから」
「じゃ、先輩おれとお風呂入りますか」
「百億円もらってもお断り。っていうかカナに報告しておくから。真司くんはセクハラ野郎に成長していましたって」
「軽い冗談じゃないですか、やだなあ」
「さいてー」
ぼそりと鈴森の方から声が届いた。見ると、すでにおれのプロット作成には興味を失ったようで無表情にキーボードを叩いている。惚れ惚れするくらいのブラインドタッチだが、なんだか腹立たしい。
「うるせー」
「こら、女の子にそんな口の効き方をしちゃダメでしょ」
「いいんですよ。男女差別は良くないですから」
「まったくもう」と先輩は肺の奥からため息を吐き出した。「どうしてこうなったんだか」
そういいながら携帯の画面を愛おしそうに撫でつける。
「消してくれませんか、それ」
「いやよ。鈴森さんも見たい? 真司くんのまだ素直だった頃の写真」
「別にいいです」
あっけない反応。おれは悲しいんだか悔しいんだか形容の難しい気分になって、シャーペンを放り出した。人見知りで、そのくせ性格も悪いやつなんて大嫌いだ。
人間的におれと彼女はウマが合わないらしいと悟ることができたのは幸運だったろう。血迷って仲良くなろうだなんて余計な苦労をせずに済む。無駄なことはしないに限る。実を結ばない練習と同じように時間の浪費でしかない。
「おれ今日は帰ります」
「スネてんの?」
「いい文章も思いつかないし散歩でもしながら戻ります。おれ部員じゃないですし。先輩たちはどうぞ頑張っててください」
鞄に荷物をまとめ、プロットの書かれた原稿用紙を乱暴に詰め込む。薄い紙がほんの何枚か増えたくらいじゃ重さは変わらない。肩が痛くなるくらいに負担だったスポーツドリンクやボールが思い浮かんでくる。
頭を振ってそいつらを追い払い、おれがドアノブに手をかけると、後ろから先輩が心配そうな声でいった。
「明日も来てくれるよね」
「気が向いたら」
そう。気が向いたら行こう。部活と違って、強制ではないのだから。
その日はそのまま帰って、ぼんやりと一日を潰した。風呂に入ってもテレビを見てても物語の一行目なんてとうてい生まれそうな気配はなかった。
立花先輩からなにか吹きこまれたのだろう姉貴が一度おれの様子を確認しに来たが、いつもと同じであることをアピールし、おとなしく退散してもらった。自室のベッドに寝転がりながら本を開いてみる。小説は書くよりも読んでいる方がずっと楽だと思った。