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3タクトフービと名乗りし
「タクトフービと名乗りし かの者は
G牙国より来たりし者といたしましょう」
リュウライ王の問いに答えたのは近衛隊長のゼンセンではなかった
骸骨より細いと形容される痩身の男
プムラである
プムラは第三軍師の地位にある
第一と第二軍師は
いま東の前線にて
それぞれ戦の指揮を取っている
竜Q国はいま東の二国より攻撃を受けていた
晴天の霹靂のごとき突然の攻撃である
武の大国である竜Q国に挑むほどの国力は東の二国にはない
軽んじていたことは否めない
二国を間に置いて
東には
古き大国
T舵がある
T舵国はしかし長年に渡り竜Q国と良好な関係にある
正式な条約を交わしてはいないが
T舵国が二国を操り竜Q国を攻めさせる理由があるとも思えない
そのようなリュウライ王の思考を読んだように
プムラは
「かの者は南の大国G牙から送り込まれた密偵といたしましょう G牙国は近年着々と武力を増大させております この機会にG牙を叩いておくに越したことはありません タクトフービが真にG牙国の者とは このプムラにも思えませぬが…」