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4話 魔法アプリ



翌朝の陽が昇る少し前、ふかふかの御布団で目を覚ました。伸びをして両手を伸ばしても何処にもぶつからないし、弄ってみてもお布団の端と言う物を確認する事が今回も出来なかった。眉間に皺を寄せながら目覚めた自分は、憂鬱な気分で起き出した。

今までにも寝過ぎて気分が悪い事も多々有ったが、今はどうにも嫌な予感がするのである。

昨日は他人の話の途中で意識を放棄してしまい、そのまま今まで寝ていた事になるが、起きてみても何ら現状は変わっていなかった。


昨日は敢えて見ない振りをしていたけれど、二十畳以上は有るだろう広い部屋には自分が寝ている大きなベッドの他に、机と椅子、大きな鏡が付いた化粧台、それと豪華な応接セットなる物も置いてある。まだ薄暗いから色とか柄とかまでは判別出来ない。


ドッキリでも夢でも無くて、現実だったらどうしたら良いのだろう。

思い出した様にパジャマを捲って脇腹を確認するも、傷らしい傷は一つも無い。


ベッドサイドに有る小さなチェストの上には、スマホと猫耳のカチューシャ、それと洋服に付けてあったネームプレートが乗っている。

ネームプレートには「まりあ」と書かれた源氏名が乗っているから、多分これを見て私の名前だと思ったのだろう。

あの時の洋服はクリーニングに出されているらしく、まだ此処には戻って来て居ない。


スマホを手に取り現状を確認するが、やっぱり圏外表示である。

日本じゃ無いのかな。

百歩譲って外国だとして、何故日本語が通じるのか疑問が増す。

英国人風の外人さんが、流暢な日本語を操るのはある意味胡散臭さを通り越して、気味が悪いとすら感じるのだ。

嫌、待て。

家の胡散臭い外人のアルは、初対面の時意味不明な言葉をしゃべって居たのでは無かったか?

そうだそうだ、で、ねーちゃんがスマホに何やらアプリをダウンロードしたら普通に会話が出来る様になったと思い出す。

「えっ? アプリ? 」

そうだよ!あの時点で胡散臭いと思ってたんだよ。


待て、アプリなら妙な物が沢山入ってるよ?


アルが寄越すアプリは意味不明なゴミばかりだから、フォルダを作って一纏めにしておいた筈。

何故ゴミを取って置いてるかって?

一度削除しようとしたら、削除所か意味不明に増殖してしまい本来必要なアプリまで乗っ取られる始末だったのだ。よくもまぁ、こんな物騒な物を作った物だと呆れながら「元に戻しておいてよね!」と言ってスマホをアルに投げつけてやった位である。

翌日には綺麗に修復されたスマホが手元に帰って来たけど、意味不明アプリもしっかり増えていた。

「何時か必要になるから取って置いてね」と、ウインクまで添えられたのは今でも忘れられない事である。


マジで必要になる事態になったって事?

(この状態で暫く動けなかったのは、脳内でいろいろと毒づいていた結果である)


さて、ゴミ箱の中からファイルを取り出して開いて見る事にする。

あの時は開く事も削除する事も出来なかったんだけど、左手の人差し指で軽くタッチをしてみれば、それは直ぐに起動した。

(げー、動くんじゃねぇーよ!)


まず最初は『言語』と書かれたアプリが左上に置かれている。この一センチ角にも満たない小さな四角は青い色をしている。

その隣には『2』『3』『4』と書かれ、それらは白色だ。

次の段には『5』『6』『7』『8』、三段目には『9』『10』『11』『12』と書かれ全てが白色で統一されている。

がしかし、一番下の段には『Ⅰ』『Ⅱ』『Ⅲ』『Ⅳ』と環境依存文字とかって言う数字で、黒い色に塗られて並んでいる。


「んーーーーー」


ベッドの上で胡坐をかき、胡坐の直ぐ上に置いたスマホを、腕組みしながらガン見するが理解出来ない。

数字の小さい順に開けば良いのか?

それとも好きな数字から開いて良いのか?


まずは青の『言語』を突いてみる。これだけが文字表記だし、何となくだけど害が無さそうな気がするからである。

『ダウンロード済。言語の取得。イシュダール王国語・アシェル国語・カナン国語・・・・・・・・・・・日本語・英語・ロシア語・・・・・・・・・サンスクリット語・ラテン語・・・etc. これらの言語を理解し自分の意のままに操る事が出来る。文字も視野から確認し読み書きが可能。注1:極度の訛りには変換不能の場合が有る。注2:端末の有効範囲は3メートル以内とする』


イシュダール、カナン・・・聞いた事が無い。

英語、ロシア語辺りでほっとする。

サンスクリット、ラテン語・・・今は使う人居ませんから!


言葉が通じるのはコレのお蔭らしい。


嫌、待て。

まだ異世界とは決まっていないし、本当にこのアプリのお蔭で日本語が通じているのかどうかも不明のままだ。嗚呼、昨日の内に、此処が何処なのかを聞いておくんだったと後悔した。

多分今日もミリアムさんに会えるだろうから、その時に必要事項はきっちりと聞いておこうと心に誓ったのだが・・・・・


次のページが無いかを確認する為に、スマホの画面をスライドさせた筈が、どうやら『12』をダウンロードしてしまったようである。

普通、タッチしたら内容説明とダウンロードしますか?の画面が出て来ませんか?

眩い光に包まれながら、今度アルに会ったら文句の一つも言ってやろうと思いながらも、そう言えば今日はゲームソフト「騎士物語Ⅱ」の発売日だったと思い出したのが間違いだった様である。




広―いグラウンドの様な場所。

その中央にさっきと同じ胡坐をかき左手を僅かに宙に浮かせ、背中を丸めた状態で座っている自分。

スマホは同行してくれなかったらしい。

遥か向こうには平屋建ての長屋の様な作りの住居が数棟見える。

その周りは木々が生い茂り、少しだけ昇り始めた陽の光を受けてきらきらと光っている。


「何処よーーーーー」


立つ事も出来ずにそのまま赤茶色の土の上に胡坐をかいていたら、背後に突然人の気配を感じて肩を窄めた。


「**********?」

「はいっ?」

「**********?」

まるで意味不明の言葉が降って来る。

うぉー!スマホ不携帯です!ごめんなんさい!


別の場所に居るのは分かっているが、同じ世界ですか? それとも・・・



ゆっくりと後ろを振り返れば、最初に目に入ったのは長い剣でした。







自分はリンゴのマークが付いたスマホを愛用しております。それで無料のアプリを落としたりしております。結構無料モンも面白かったり便利だったりしますよね。

本当に「魔法アプリ」があったら皆さんはどうしますかね?

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