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Baby Tune (ベイビーチューン) 〜謎の少女に人生を破壊されながら頭痛だけは治る件〜  作者: 末紀世(まつきよ)


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4/5

限界



朝は、いつも通りやってきた。


それなのに。


体が、少しだけ重かった。


---


バーン!!「おはよーーー!!!」


ドアの向こうから、元気な声。


「……うるせぇ」


ドアが開く。チェリが、いつものように飛び込んでくる。


「ねえねえ今日なにする!?仕事!?外!?イベント!?」

「仕事だよ……」

「やったーーー!!!色々触れるなぁぐひひひぃ!!」


テンションは、いつも通り。


でも。


頭の奥に、鈍い重さが残っていた。


---


会社。


エアコンの風。キーボードの音。蛍光灯の白い光。


いつもと同じ景色。


「……」


集中できない。文字が、頭に入ってこない。


「ねえこれなに!?すごい細かい字いっぱい!!!」

「触るな……」

「あっ!!ファイトー!10ぱぁああああつぅ!の人いたw」


視界が、少しだけ滲む。


(寝不足か……?)


---


時間が過ぎる。


昼。会議室。


少しこもった空気。紙の匂い。


「では、この件について――」


声が遠い。


ズキン。


来た。


「……っ」


こめかみを押さえる。


チェリが覗き込む。


「また痛いの?」

「……大丈夫……」


嘘だった。


痛みが、強い。


チェリが、少し身を乗り出す。


ふわり、と。


スカートが翻り、チラリと見えてしまう。


……


何も起きない。


「……あれ?」


チェリの声が、小さくなる。


「……効かない?見えたよねぇ??」


痛みは、消えない。


むしろ。


強くなる。


ズキン。ズキン。ズキン。


音が、刺さる。光が、刺さる。


呼吸が、浅い。


「……っ」


椅子を掴む。


立てない。


チェリが、初めて焦った顔をする。


「ねねねねね!!!大丈夫?」


答えられない。


視界が、揺れる。


その時。


チェリが言った。


「ねえさ。壊れるまでやるのってさ」



「それ、ほんとにえらいの?」


言葉が、刺さる。


でも。


体が、限界だった。


ズキン。

大きな音。

床が、近づく。


誰かの声。


「朝霧!?」


遠い。


チェリの声がどこか震えていた。


「ねえ。その痛いのさ」



「アチキが……代わってあげようか?」


その言葉を最後に。


世界が、暗くなった。


———


匂い。


消毒液の匂い。


ピッ。ピッ。ピッ。


機械の音。


重たいまぶたを、開く。


白い天井。


「……ここ……」


声が、かすれる。


体が重い。


横を見る。


……


いない。


静かだった。


あの、騒がしい声が。


どこにも、ない。


「……チェリ?」


返事は、なかった。


———


その日、ユウの頭痛は消えていた。


ただし――


世界が、少しだけ静かすぎた。


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