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夢と奇跡と

「じゃあまず、魔法……いや、魔術についてはどこまで知ってる? そもそも存在を知ってるかどうかからなんだけど……」

「さ、さすがに知っていますよ? 僅かとはいえ、王宮には魔術に関する書物もありましたから」


 昼下がり、晴れた森の中。私は、半ば無理やり押し切られる形で魔法の講義を受けることになっていた。

 柔らかに光が差し込むこの場所は、ルイーゼの家から繋がる、小さな道を進んだ先だ。広くは無い空間の片隅で、二人向き合って話をする。


「そっか、じゃあ魔術と魔法の違いは?」

「あまりよく知りませんね」

「うんうん、なら結構初歩的なところから話していこうかな」


 思い返してみると、私が読める、王宮にある本はほぼ全て読んだはずだが、魔術や魔法に関するものだけはやけに少なかったような気がする。それ以外が多かったか、と言われればそうでも無いのだが。


「すみません、あまり学ぶ機会が無かったので」

「良いの良いの。まずは魔法について話していくね」

「はい」

「まず、魔法とは、この世界の理を無視して、現実を捻じ曲げる力だ。そして、この世界にある全てのものは、魔力を持っている。そこら辺の石ころも、世界に満ちる空気も、みんな魔力を持ってる。当然、人間だって魔力を持ってるんだ。でも、持ってるだけじゃ魔力は意味が無い。ほら、人間以外が魔法を使う、なんてことはこれまで無かったよね?」

「ええ、おそらくは」


 無かったよね? と言われても、私が知っているはずは無い。


「魔力を使う、つまり魔法を使うためには、コアと呼ばれる器官を使うの。これは……そうだなあ、なんて言ったらいいんだろう。僕達魔法使いは生まれながらに持っているもので、君にとっては見たことも無いもの。カルヴィンも体のどこかに、三角形や六芒星の形が刻まれていると思うんだけど……あっでも、まだはっきりした形にはなってないかな」

「核、ですか」

「そう。ほとんどの人は何も知らないまま天寿を全うするんだけど、何かの弾みで魔力が使われたりすると、誰でも努力次第で魔法を使えるようになるよ。カルヴィンは多分、暴発だったよね」

「私自身よく覚えていないので、あくまで推測ではありますが」

「使えるならなんだって構わないよ。一度でも魔法が使えた人はもうコツを掴んでるはずだから、その後だってただ魔法を使うだけならできることが多いかな。それはともかく、この核っていうのは、魔力を他のものに変換する役割を持ってるの」

「他のものと言いますと?」


 そう聞くとルイーゼは頭を掻きつつ、


「なんて言ったらいいかなぁ。うーん、例えば、風を起こしたり、火を点したり、水を生み出したり。使う人の知識次第で、魔力は色んなものになるよ」


 と、気の抜けた声で答えた。いや、会話のほとんどがふにゃっとした声なのだが。


「なんでもできる力、ということでしょうか」

「なんでも、ではないけど、まあ大体そんな感じ。核の機能にはある程度個人差があって、中にはどれだけ頑張っても小さい火種しか出せない人とかも居るんだ。想像力や理解が足りないってこともあるけど、根本的に核の能力が足りていない人も存在はする。まあでも、カルヴィンは大丈夫じゃないかなぁ。ここまでは大丈夫? 理解できた?」

「問題ありません」

「それじゃあ、次は魔力について説明するね」


 くるくるくる、と指を動かしながら、ルイーゼは話し続ける。


「魔力には大まかに分けて二種類あって、僕達のような人間や動物が持っている魔力は、オドと呼ばれている。オドは生命力に直結してるから、オドを使い切れば僕達は最悪の場合、死んでしまう」

「それって……」

「うん、カルヴィンも結構危なかったんだよ。暴発って本当はとーっても危険で、周りに魔法使いが居なければその人は死んでしまうかもしれないし、魔法で何を起こしたかによってはもっと酷いことになるかもしれない」


 自分が本当に魔法を使ったのかどうかも覚えていないが、恐らくそうなのだろう。五体満足でいられることを喜ぶべき、だろうか。


「あの、ところで四日間も意識を失っていたと聞いていますが、生命維持は――」

「内緒です」

「えっ」

「企業秘密です」

「でも」

「企業秘密です」

「あの……はい……」


 浮かんだとても良い笑顔が、恐ろしかった。今後この話題は出さないでおこう。


「閑話休題、オドの説明に戻ろう。オド、というか魔力には性質があって、今の所四種類の組み合わせがある。この四種類は、基本四属性って呼ばれることの方が多いかな。それぞれ熱と湿で風属性、熱と乾で火属性、冷と湿で水属性、冷と乾で土属性。僕は火属性と風属性の両方を持ってる、珍しい魔法使いなんだよ」


 へへん、と自慢げに胸を張っていた。


「属性、とはどうやって知るのでしょうか」

「一番早いのは、他の魔法使いに聞くことかな。魔法使いは他人の持つオドを感じとることができるから、周りに魔法使いがいるならそれが一番だよ」

「魔法を使っていると分かるものなのですか?」

「うん、慣れてくると結構ね。それと魔法を使ううちに核もはっきりとした形を描くから、自分でもわかるようになるよ。カルヴィンの性質は冷と湿、つまり水属性だね。奇跡的に魔法具の属性とぴったり合ってたみたいだよ、だからこそ暴発を引き起こしちゃたんだけど」

「魔法具にも属性が?」

「全ての魔法具がそうってわけでは無いけど、属性を持つものもあるよ」


 つまり、属性の合う魔法具を持っていると、暴発を引き起こしかねないということか。そんなものが王宮にあったなんて、少々危険なような気がするのだが。


「……ん? 基本四属性ということは、例外もあるのですか」

「その通り。全ての性質を併せ持つ例外中の例外、人間が持つことのほぼ無い属性。詳しいことが何も伝わっていない二つの属性、光と闇。この二つは、神や天使が持つと言われているんだけど、細かいことは何も分かってないの。何故二つの属性があるのか、何が違うのかも、何も資料が無くてずっと前から謎に包まれたままになってるんだ」


 少しだけ、どこかで聞いたことがある。確か天使は、光の魔力を持っているのだという。


「そして、どの性質も持っていない、無色透明の魔力がエーテル。これは世界に満ちている魔力で、僕達は魔法を使うとき、この魔力を利用することがある。僕達が利用するときだけ、特別にマナと呼ぶよ」

「ええと……全てのものは魔力を持っている、ということでしたよね」

「うん、そうそう。あっ、そういえばね、一つ言わなきゃいけないことがあるんだけど……」

「なんでしょうか?」

「ソフィーナの魔力はね、多分光か闇……このどっちかなんだ」


 光と闇。つい先程聞いた、詳細のわからない珍しい属性――のはずだ。


「人間が持つことのほとんどない、珍しい属性でしたよね。それを、ソフィーナが?」

「僕自身あんまり経験を積んでるわけじゃないから、正確にはわからないけど……ソフィの魔力は、今まで触れたことの無い感じなんだ。熱と冷、湿と乾。全て欠けることなく揃っている、とても珍しい魔力だよ」

「意外と身近に居るものなのですね」


 まさか、こんなにすぐ近くに存在するとは思っていなかった。


「僕もびっくり。まさかソフィが、そんな伝説になるような人だなんて思わなかったよ。えっと、どこまで話したっけ?」

「世界に満ちる魔力がエーテルである、という所までですね」

「ああ、思い出した思い出した。続きを話そう。魔法を使うには、まず、魔力に意識を向ける。それから、頭に鮮明な映像を浮かべる」

「魔力に意識を向ける……」

「言葉で聞くほど難しいことじゃないよ。慣れればすぐだよ、すぐ!」


 ルイーゼは笑顔で親指を立て、上下にシェイク。何故か激しく動いている。

 すぐとは言うが、慣れるまでがかなり大変そうだ。果たして何日かかるだろうか。


「そして、なんかちょちょちょいーっと加工した魔法的道具が、術具。魔法を使う手助けをしてくれるちょちょちょいーっと加工した道具が、魔法具だよ」

「何がどう違うのでしょう」


 残念ながらその説明ではほぼ何も伝わってこない。


「どっちも魔法使い……っていうか、魔法を使える人が加工した道具なんだけど、加工の種類が違うの。術具は、例えば核の機能が弱い人とか、魔法を使えない人とかでも簡単な魔法を使えるように、ちょちょいと加工をしたもの。そして魔法具は、魔法を使える人の手助けになるように、魔力を通しやすい素材にちょちょいと加工をしたもの。誰でも聞いたことくらいはあるんじゃないかな?」

「魔法具はこちらに来て初めて聞きました」

「あ、そうなの? まあそっか、魔法が使える人なんてそんなに居ないもんね。それにしても、国がそんな魔法具を隠し持ってたって、びっくり」

「私も知りませんでしたよ。陛下は何か知っていたのでしょうか」


 禁書庫には資料もあったのだろう。今では全てボロボロになってしまっているが、王族の者しか立ち入れないような貴重なものを保管された場所も多かった。


「カルヴィンは、自分が持ってる魔法具について何も知らないの?」

「ええ、知りません」

「僕が見た感じだと、あれはかなり特殊な魔法具だね。まるで道具に意思があるみたい」


 フロスタはなにかと特殊な場所だったのだな、と思う。住んでいるときはあまり意識したことなど無かったが。


「道具に意思ですか」

「持ち主を選ぶみたいなの。認められた持ち主のオドを増幅し、核の機能をかなり高めることができる。その代わり、ほぼ全ての魔法が制限されてる。まとめると、水属性の魔法だけが、異常な程に強化される魔法具ってとこかな」

「それはどういった用途で作られたのでしょう……?」


 いったい、何の目的でそんなに癖の強い剣が生み出されたのか。かなり用途が限られそうだ。


「さあ……だいぶ古いことだけは確かだけど。でも、カルヴィンも魔法が使えたってことはこの剣に認められたんだろうし、良かったじゃん」

「良かったのですかね」


 本当に喜んでも良いのだろうか。なにか呪われていたりしそうだ。魔剣の類なのでは。


「うーん、確かに結構癖の強い感じだけど、僕の魔法具よりも性能が良いんだよね……正直僕に譲って欲しいくらいだよ!」


 色々な意味で、私が持つには少し勿体無いような気もする。私よりも、もっと相応しい者が居るだろう。


「さーて、ここまでが魔法の話。ばっちり理解できた?」

「勿論です!」

「よし、じゃあ今度は魔術だ! とはいえそんなに長い話にはならないから、安心してよね」


 おかしいな、安心できる要素が見当たらない。この少女、何もしなくとも何故か危なっかしいのだ。


「魔術とは、奇跡を起こす代わりに対価を差し出す、神との取り引きのことを言う。差し出すものは何でもいいし、相応の対価と正しい儀式さえこなせたら大体のことはできるらしいよ。僕達魔法使いには、あんまり縁がないんだけど」

「神の起こす奇跡を、人の手で手に入れられるのですか?」

「正しい手順を踏めば、ね。何か一つでも間違えていれば儀式は失敗、当然全部水の泡。魔法を手に入れられなかった人間が最後に縋る、まさに神の奇跡が魔術だ。一度だけの偶然さ」


 ルイーゼはそう、吐き捨てるように語った。


「魔術はお嫌いですか?」

「僕は……奇跡なんて、信じないから。神様に助けを求めようなんて、そんなこと思わない。僕は僕の手で、理を曲げるんだ」


 力強い声だった。とても強い思いがこもっているようだった。元気の溢れる少女には珍しい、悲しげな表情が髪の隙間から覗いた。


「ごめんごめん、関係ない話だったね。んん、今教えるべきことはこれで全部かな。なにか知りたいこととかある?」

「いえ、特にはありません」

「じゃ、今日のとこはここまでかな! お疲れ様。一気に喋ったから覚えてないと思うけど、そのうち嫌でも覚えるよ」


 コロコロと表情がよく変わる。その場に居るだけで場が賑やかになる人間、というのも存在するのだな。

 短時間でかなり多くのことを詰め込んだ。明日には何割忘れているか、楽しみだ。別に笑えることじゃないが。


「何故、私に魔法を教えるということになったのでしょうか」

「そこんとこ感謝してよね、僕はこの森で一番優秀な魔法使いなんだから! 確かに、無理矢理教えることにしたのは僕だけどさ……」


 自覚はあったのか。


「ありがたいとは思いますが、何も見ず知らずの相手にここまでして下さる必要は無いでしょう?」

「僕がやりたいからやってるの。それに、僕は君達を助けた! つまりもう、見ず知らずじゃないよ」

「暴論だ……」


 ついつい頷きかけたが、その理屈はおかしいのでは。


「とーにーかーくー、嫌じゃないならしっかり魔法を使えるようになってよね! そしたら、きっとあんなにボロボロになんてならないしさ」

「善処します」

「そこは約束するとこでしょ! 今日はもう自由にしてて良いけど、うちから離れすぎないでね。この森は広いし見渡しが悪いから、迷ったら一人じゃ帰ってこられないかも」

「分かりました、気を付けますね」


 ここは少し開けた場所になっているが、周りはかなり鬱蒼と木が生い茂っている。少し道を離れただけで迷子になりそうな程だ。言われた通り、家からあまり離れないのが良いだろう。


「あっ、うちにある本は好きに読んでいいよ。そもそも、うちには本くらいしか無いし」

「ありがとうございます」

「さ、解散解散! 来た道は覚えてる? 一本しか道無いし、大丈夫だよね」

「勿論問題ありません」


 木々がざわざわと揺れ、突風が起こる。

 今日は荒れた天気では無かったはずなのだが。


「うわっ目に髪が!」

「突然何でしょう?」


 ルイーゼを見ると、長い髪に木の葉や短い枝など色々と引っかかっていた。これは大惨事だ。なんと言うか酷いことになっている。


「あいたたたた……何だったんだろうね? 今の風」

「色々と髪に付いていますよ⋯⋯」


 ささっと摘んで自然由来の諸々を取り去る。日常生活において、この髪は邪魔にならないのだろうか。


「あ、ありがとう。……なんでゴミの一つも付いてないの? まさか身長が高いから?!」

「偶然だと思いますが」


 本当に偶然だと思う。




 木に囲まれた家は意外と居心地が良く、出会って間も無い他人と過ごすのもさほど苦にはならなく思えた。

 三人で小さな円卓を囲み、これから先の計画を立てる。


「カリド……王国? って、どんな所なの?」


 身を乗り出して質問するのはソフィーナだ。


「うーん、大都会! かな!」


 と、ルイーゼ。


「もしかして説明が苦手なのですか?」


 自分が居なかったら話が進まないのではないか。そんな不安を感じながら口を挟むのが、私だ。


「あそこはとにかく人口が多いよ。王都はびっくりするほど広い……らしいし、領土もとっても広い。ここの大陸には、カリド王国とほんの少しの弱小国くらいしか無いってくらい」

「すごく大きいのね、どんな人達がいるのかしら」

「祖父母がカリド王国から移住してきた、という者はかなり愉快な人柄でしたね」


 彼はかなり明るい性格の、さっぱりとした人間だった。なんでも祖父母の代で、好奇心からフロスタまでわざわざ引越したらしい。その行動力に溢れる性格を彼は見事に受け継いだようで、とにかく何にでも挑戦していた。


「あとは食べ物が美味しいって聞いた気がするよ。実際どうなのかな、僕は行ったことないしわかんないや」

「それは魅力的ですね」

「どこの料理も似たようなものじゃないかしら」


 その発言は聞き捨てならない!


「むっ……そんなことはありません! 同じ国でも村によって違う味ですし、国が変われば料理も空気変わります! 一日二食とはいえ嘗めてはいけませんよ」

「うわ、突然すごい情熱。料理好きなの?」

「な、なんだか申し訳ない気がしてきたわ!」


 人生の楽しみは食、読書、そして陛下のお役に立つこと! それが全てだろう。特に食は捨て難い。人は食べねば死んでしまうし、良い食事は健康の源だ。


「まあ、最近は飢饉とかも無くて落ち着いてるみたいだし、カリド王国に行けっていうのは結構正しいかも」

「そうですね。人口が多いのでしたら、もしかしたらレイシーさんを見かけた方が居るかも知れません。赤い髪は珍しいですから」

「それもそうだわ、なかなか見かけない色だもの。きっととても目立つわ」


 あまり会ったことは無いが、覚えている限りだとレイシーはグリッセで出会ったアランのような赤ではなく、不自然な程鮮やかな赤の髪をしている。あの色は大変人目を引くだろう。


「じゃあ、本当にカリドに行くんだね。あそこの王都は南寄りだから……うん、急いでも五日くらいはかかるかな。準備はしっかりしていこう」

「いつ出発できるかわからないのが問題よね」

「私はいつでも構わないのですがね」

「うっ……悪かったって!」


 なんだか久しぶりに、こんなに穏やかな時間を送っているような気がする。家に帰りたいな、と思った。誰も待ってはいないし、もう残ってすらいない家でも、確かに心安らぐ場所だった。


「でもカルヴィン、あなたが私のわがままに付き合う必要は無いのよ。何処にいるのか、生きているのかもわからない人を探すなんて、無理を言ってることくらいわかるわ」

「あなたの手助けをしろ、と。それが陛下の、最後の頼みですから」


 ソフィーナは少し驚いたような顔をした後、ふわりと笑ってみせた。


「ありがとう、やっぱり優しいのね」


 私は、そんなに綺麗な人間ではない。褒められるべき者ではない。そんな気持ちが、心の奥を埋め尽くすのを感じ、私はただ曖昧に笑ってみせたのだった。


「あっもう十時! 僕、そろそろ眠くなってきちゃった」

「あら、本当だわ。お開きかしら」

「そうしましょうか」


 おやすみなさい、とそれぞれ席を立つ。確か階段を上って左の部屋が、私に宛てがわれた場所だ。

 扉を開けると、少しひやりとした空気に出迎えられた。気温が上がってきているとはいえ、夜はまだあまり暑くならない。

 ――そう言えば、陛下から頂いた袋の中身をまだ見ていなかった。

 荷物は適当な引き出しに詰め込んだと言っていたが、何処に入っているだろうか。

 部屋の明かりをつけて、引き出しを適当に開けていく。


「これ、でしょうか」


 これだ。最後に見た時とほぼ変わらぬ姿で、堂々と居座っていた。さて、中身は何が入っているのか。


「……ぅえっ?!」


 じゃらじゃらと机に出したそれは、凡そ10万G。物価の低いあの国ならば、一年以上は生きていける額だ。まさか現金で入っているとは思わなかった。


「どうしましょう、これ……」


 私の困惑を置き去りに、夜は更けるのだった。

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