組織:『人化♀したドラゴンが遊びに来るんだよ』
ここから第86話までのネタバレを含む“組織”の設定を紹介します。
『人化♀したドラゴンが遊びに来るんだよ_〜暁光帝、降りる〜』の設定資料、今回は国家や冒険者パーティーについての概説でございます。
さて、こちらの世界設定について。
よろしければ皆さんの作品でも使ってやってください。
その際、「『人化♀したドラゴンが遊びに来るんだよ_〜暁光帝、降りる〜』世界観の一部を使ったよ」的なことを一言、明記していただければありがたい。
もとより、小生が著作権云々を言い立てることはやりたくありませんのでご利用いただければ幸いであります。
ひとつ、よしなに。
本編はこちら〜>https://ncode.syosetu.com/n6078gl/
<<組織:『人化♀したドラゴンが遊びに来るんだよ』>>
14,組織3
<<ゲロマリス魔界>>3
<<神聖ブジュミンド帝国>>5
<<冒険者ギルド>>8
<<冒険者パーティー“紫陽花の鏡”>>9
<<冒険者パーティー“荒鷲団”>>11
<<下級冒険者パーティー“ブラックタイガー騎士団”>>12
<<商業ギルド>>13
<<瓦礫街リュッダ>>14
・街15
・商業区15
・カシャフ運河16
・港湾道路16
・港湾16
・パダーニュ諸島16
・海水浴場17
・周辺17
・破壊された市壁17
・勇者18
・冒険者ギルド19
・光明教会19
・暗黒教会19
・暗黒蒸し風呂屋20
・神殿20
・施療院20
・孤児院20
・高級治療院21
・公衆浴場21
・蒸し風呂屋21
・問題21
<<ペッリャ王国>>22
<<フキャーエ竜帝国>>22
<<イスマン朝オルジア帝国:滅亡>>25
<<ヒューム帝国:滅亡>>26
<<ビルゲ朝オルジア帝国:滅亡>>26
<<前ムツズ朝オルジア帝国:滅亡>>27
<<後ムツズ朝オルジア帝国>>28
<<アプタル朝オルジア帝国:滅亡>>29
<<ヴェズ朝オルジア帝国>>30
・帝都オルゼポリス31
<<ポイニクス連合>>32
<<妖精郷“エルファム”>>33
<<ドワーフ地下王国>>34
<<偉大なるプガギューの国>>37
<<ソモニ王国:滅亡>>38
<<古メヘルガル王国:滅亡>>39
<<新メヘルガル王国>>40
<<ゴブリン王国:滅亡>>41
<<北ゴブリン王国:滅亡>>41
<<南ゴブリン王国>>42
<<極楽郷エーリュシオン>>43
<<フォルミカ大帝国>>44
<<ポリエルギュス王国:滅亡>>46
<<プテローイス海中連合:滅亡>>47
<<ピッシュムスクワマエ連合>>47
<<ノアシューヴェルディ海上王国:滅亡>>48
<<オニザク連盟>>49
<<暁の秘密教団>>50
14,組織
<<ゲロマリス魔界>>
暗黒神ゲローマーの暗黒教団が興した国家である。ヒト族を中心に成長したがヒト族を優遇したわけではないので民族国家ではない。
メンバーは互いを“同志○○”と呼ぶ。
暗黒教団の教義は「…より優れよ」である。
徹底した競争を求め、信者同士、仲間同士であっても競う、争う。
個人主義を奨励し、「1人1人が頑張れば勝てる」という考えだ。
平和や協調を惰弱であると切り捨て、常に上下関係を見て物を言う。
逆三角の魔印を掲げ、安定を拒み、個人の優越を誇示する。祈りの際に指で逆三角形を切る仕草をする。
暗黒神ゲローマーから使わされた悪魔が壇上で説教することがある。悪魔自身は大規模な布教にたずさわることを禁じられているが、個人に対する“説得”は認められており、しばしば他教の有力者に接触する。
布教は暗黒宣教師と魔族の仕事である。
暗黒宣教師は暗黒教団ゲロマリスでも比較的上の地位にある、指導的役割を果たす信者である。
魔族はエリート信者であり、暗黒教団の幹部である。
選考基準は「何人に布教したか」「どれだけ強力なモンスターを討ったか」「どのくらい教団の仕事を担ったか」である。
モンスター討伐のみで選ばれたエリート信者は武闘派の魔族になるが、「脳ミソまで筋肉でできている」と揶揄されるほどに武力だけの人間である。
魔族として抜擢されると暗黒神ゲローマーの加護を得て、強力な魔法が使えるようになる。
魔族に抜擢されると最大で2倍の魔気容量の増加が見込めるのだ。
上級、中級、下級に分かれ、それぞれがモンスターの三番手、四番手、五番手に匹敵する戦力であるとされている。
もっとも「されている」だけで“脳ミソまで筋肉でできている”こと脳筋魔族だけがそれに該当し、布教や事務を頑張って選抜された魔族はせいぜい六番手、五番手ていどにしか該当しない。
暗黒教団は多民族、多種族で構成される、もともと競争の激しい国家や町で信仰される。
個人主義なので同性愛について寛容である。しかし、暗黒神の御前で結ばれた契約である結婚は重大な約束事であるから離婚を認めない。それは暗黒神を侮辱する行いだから。
神魔大戦の前は光明教団と激しく対立して信者の獲得競争を繰り広げていた。その際、他宗教に対して暴力による棄教や改宗を迫ったり、他国を武力で脅して協力させたり、さんざん過激な活動に及び、ついには幻獣までも手に掛けるようになってしまい。
その結果、“神殺しの怪物”を招く原因になった。
現在、教団は上位の幻獣に手を出すことを厳しく禁じている。
人間の国家に対する態度は変わっていないが、手痛い反撃を食らうようになったので控えている。
“神殺しの怪物”こと孤高の八龍については教義で否定も肯定もしていない。単に「決して関わるな」と戒めているだけである。崇拝する暗黒神ゲローマーを滅ぼした仇ではあるが、同時に対立する光明神ブジュッミを抹殺してくれた恩人でもあるからだ。
当時、悪魔も暗黒教団も散々にメンツを潰されて、暗黒神の復活にも多大な労力を費やされたが、それは光明神の側も同じ。その後の復活劇による盛り上がりや如何に神界リゼルザインドが愚昧であるかを知らしめた効果を考えれば十分に益があったと判断されている。
暗黒神ゲローマー本人はいまだに殺されたことのトラウマがきつく、天龍アストライアーを含めた孤高の八龍については語られることすら嫌がっている。
暗黒教団のトップは“魔王”である。
前の魔王が死ぬと上級魔族の中から選出され、暗黒神から特別の加護を受ける。例外もあるが、非常に強大な魔力を誇る実力者であることが多い。
魔界の目的は教団の勢力拡大である。
世界中の人間を暗黒教団に入信させること、それこそが最大の目的であり、そのために魔界と教団は活動している。
<<神聖ブジュミンド帝国>>
光明神ブジュッミの光明教団が興した国家である。ヒト族を中心に成長したがヒト族を優遇したわけではないので民族国家ではない。
教義は「みんなでがんばって悪い奴をやっつける」である。
競争を廃して、誰もが平等に仲良く協力して調和を尊び暮らす…という徹底した集団主義である。
個人プレイを忌避して数を頼みとする集団の力を信奉するのだ。
その結果、個人の努力を認めずに「自分勝手」と切り捨て「一人の力なぞ何するものぞ」と馬鹿にする。多少無能であっても集団の一員として頑張れば十分力になりうるという考えだ。建前ではあるが、平等を掲げているので組織に上下を着けない。競争しない、みんな仲良く手を繋いでゴールインである。
とにかく数がほしいので「産めよ、殖やせよ、地に満てよ」を地で行く。同性愛を禁じて多産を賞賛している。
堕胎も禁じている。
そして、光明神ブジュッミの前で契約される結婚を神聖視して、離婚を厳しく禁じている。それは神を侮辱する行いだからだ。
また、性的二形の著しいヒト族が起こした教団だから五障三従の教えが根底にある。そこで中央から離れた一部の地方では密かに一夫多妻制を志向する向きもある。
しかし、幹部には同性愛を許しており、「昇進したら美少年を」と期待する男性信者も少なくない。聖女の女性同性愛はもはや黙認を通り越して密かに奨励されている。
正三角の聖印を掲げ、個人の優越を拒み、安定を誇示する。祈りの際に指で三角形を切る仕草をする。
光明神ブジュッミから使わされた天使が壇上で説教することがある。天使自身は大規模な布教にたずさわることが禁じられているが、個人に対する“説得”は認められており、しばしば他教の有力者に接触する。
布教は光明宣教師と聖女の仕事である。
光明宣教師は光明教団ブジュミンドでも比較的上の地位にある、指導的役割を果たす信者である。
聖女は特別扱いされるエリート信者であるが、信者の平等を謳う光明教団は建前上、大勢の信者の一人であるとの立場を取る。
選考基準は「どれだけ奇蹟を見せたか」「どれだけ強力なモンスターを退けたか」である。
つまり、基本的に魔気容量の多寡と積極性のみが考慮されることになる。だから、暗黒教団の魔族と比較しても「脳ミソまで筋肉でできている」系統の女性が多い。
聖女に抜擢されれば魔気容量が最大で2倍の増加が見込めるのだ。
そう、聖女になれるのは女性だけである。
これは単純に人気取りのためであり、「聖女になれるのは優しくて控えめな元気の良い女性のみ」と謳っている。実際はがさつで力強い女性が多い…が、着飾らせておとなしく神輿に乗せていればそれっぽい雰囲気が出せるし、それで信者も喜ぶからそうしている。
過去に幾度か男を選ぶ試みが為されたが「聖男」の語感が悪いことと教会が喜ぶ「優しくて控えめな男」を選んだら男色に走られてしまい、同性愛を厭う教団にとって嬉しくない結果をもたらした。
聖女として抜擢されると光明神ブジュッミの加護を得て、強力な魔法が使えるようになる。
平等を謳う光明教団だから聖女に階級を着けないが。
事実上の階級として「松」「竹」「梅」に分かれ、それぞれがモンスターの三番手、四番手、五番手に匹敵する戦力であるとされている。
聖女は例外なく全員が“脳ミソまで筋肉でできている女”こと“脳筋女”なので全員が実力者である。
魔族と違い、「どれだけモンスターを討ったか」ではなく「どれだけモンスターを退けたか」が基準なので防御に重きを置く戦術である。魔族はたとえ上級であっても梅の聖女ですら殺せない。聖女を倒したければ該当する階級の魔族3人が必要になる。
更に“勇者”という者がいる。
聖女が光明教団の「盾」ならば勇者は「剣」である。
選考基準はシンプルで「教団のために命を捨てられるか」である。
そもそも数を頼みとする光明教団では兵士は消耗品であり、兵士の犠牲を前提とする作戦すら建てられる始末だ。個人技に優れる暗黒教団の信者や強力な魔族を倒す、それは数であり兵士の犠牲なくしては実現し得ない。
そこで命知らずの狂信者を“勇者”として認定し、その数で攻めるのだ。「勇敢に戦って死んだら天国へ行ける」と囁かれた勇者は文字通り命を捨てて戦い、死ぬ。たまに勝つ。死ぬほどの戦いの末にたまたま勝ってたまたま生き残った幸運な者を“英雄”と称する。
“勇者”は、“英雄”は、割に合うのか、合わないのか、聖女達は黙して語らない。
光明神ブジュッミは単一民族、単一種族で構成される、穏やかで安定した国家や町で信仰される。
神魔大戦の前は暗黒教団と激しく対立して信者の獲得競争を繰り広げていた。その際、他宗教に対して暴力による棄教や改宗を迫ったり、他国を武力で脅して協力させたり、さんざん過激な活動に及び、ついには幻獣までも手に掛けるようになってしまい。
その結果、“神殺しの怪物”を招く原因になった。
現在、教団は上位の幻獣に手を出すことを厳しく禁じている。
人間の国家に対する態度は変わっていないが、手痛い反撃を食らうようになったので控えている。
“神殺しの怪物”こと孤高の八龍については教義で否定も肯定もしていない。単に「決して関わるな」と戒めているだけである。崇拝する光明神ブジュッミを滅ぼした仇ではあるが、同時に対立する暗黒神ゲローマーを抹殺してくれた恩人でもあるからだ。
当時、天使も光明教団も散々にメンツを潰されて、光明神の復活にも多大な労力を費やされたが、それは暗黒神の側も同じ。その後の復活劇による盛り上がりや如何に魔界が愚昧であるかを知らしめた効果を考えれば十分に益があったと判断されている。
光明神ブジュッミ本人はいまだに殺されたことのトラウマがきつく、天龍を含めた孤高の八龍については語られることすら嫌がっている。
帝国として皇帝を戴くが、光明教団そのもののトップは“教皇”もしくは“大聖女”である。これはブジュミンド皇帝よりも地位は高い。
基本的には“教皇”であり、例外的に“大聖女”がいる時はその人物が実質的なトップになる。
大聖女は光明神から特別の加護を受ける。例外もあるが、非常に強大な魔力を誇る実力者であることが多い。
帝国の目的は教団の勢力拡大である。
世界中の人間を光明教団に入信させること、それこそが最大の目的であり、そのために帝国と教団は活動している。
<<冒険者ギルド>>
大陸の各国で利用できる個人の証明書、冒険者登録証を管理する。これは複製が難しく信用されている。
冒険者ギルドは冒険者と傭兵に信用を与えると同時に信用を維持するべく内部の規律を正す部署を持つ。
しかし、冒険者と傭兵の区別は判然としない。すべて自己申告である。
ギルドが斡旋する仕事、そして内部の業務は…
・事務…冒険者登録、違反者の告知、仕事の斡旋、広報&宣伝。
・代筆…代筆する。
・会計…会計する。
・調査…調査する。
・採集…鉱石や薬草を取ってくる。
・狩猟…貴重な素材の原料をモンスターを狩る。
・駆逐…有害なモンスターを追い払う。
・討伐…有害なモンスターや危険な盗賊を討伐する。
・護衛…用心棒として依頼主を守る。
・戦争…傭兵として戦争に加わる。
・訴訟…弁護士として訴訟を受け持つ。
・暗殺…隠れて人間を殺す。仇討ちも含む。
・拉致…武力で強引に人間をかどわかす。
・粛清…ルール違反した冒険者を懲らしめて公開する。
…以上である。下の三件は特殊であり、「冒険者ギルドの裏稼業」と呼称され、一部の選ばれた冒険者もしくは傭兵のみに斡旋される。
もとより、暗殺、拉致は違法行為であるが、そもそも法律の機能しない非文明国では為政者の意向で黙認されている。文明国であっても司法が機能していなかったり、力が及ばずに検挙されないことが多い。
粛清武門は冒険者ギルドの自浄機能であり、司法の裁判で
冒険者ギルドのメンバーは登録証によって管理されている。
・初級:木札
・下級:素焼き札→瀬戸物札→銅札
・中級:鉄札
・上級:銀札
・特級:金札
・超特級:白金札
<<冒険者パーティー“荒鷲団”>>
冒険者ギルドからも信頼される、実績のあるパーティーである。
全員が異なる種族でありながら、結束は固い。要はリーダーのホビット♀“キャロル”、性別や種族を越えて信頼される人格者である。
…以上で構成される中級パーティー。キャロルが紅一点に見えるが、男女のバランスはしっかり取れている。
斥候も交渉も事務もこなせる人格者のキャロルがリーダーを務めている。
攻撃の要は集団で唱える上級の火魔法でゴブリン♀のピ・グーヒが呪文を唱えれば、クェリギィとボルぜと協力してファイアボールを2回撃てることが自慢。
種族は違うが結束は固い。
空を飛べる羽アリのグェリギィ、水中行動と光魔法による遠視で活躍するボルゼと魔導師の幅が広い。
いざとなれば風の精霊魔法も使える便利屋ハンスは時に前衛、時に後衛と器用に立ち位置を変えられる。短時間であれば敵を引きつけて耐える盾役も出来るのだ。戦闘中に切り替えることは出来ないが、機械式クロスボウによる狙撃も可能。
戦闘に於いては息を合わせた速攻で敵を仕留め、臨機応変な立ち回りで撹乱するパーティーである。調査に於いても陸海空から対象に近づける有能さを見せる。
<<商業ギルド>>
国際的な商売のための組合である。
大陸の各国で利用できる個人の証明書、商人登録証を管理する。これは信頼性は冒険者登録証に劣るが、登録がかんたんでそれなりの身分証明書として機能する。
主に商人が利用する。
商人として商売するためにギルドへの入会が必須というわけではない。あくまでもあると商売がしやすくなる、信用を得やすくなるという程度のものだ。
登録してしまうと納税の義務が生じてしまうので駆け出しではむしろきつい。
より大きな商売をするため、飛躍のために必須条件なのである。
登録する資格は単純に実績だけである程度の商いをしていると認定されれば入会できる。
<<瓦礫街リュッダ>>
海岸沿いにある、竜に縁が深い港湾都市。
ペッリャ半島の東端、美しい内海に臨み、交易の要衝である。また、水の豊富な広大な平地に囲まれており、ペッリャ王国最大の耕作地を営む。
ヒト族が多く住んでいるが過半数を割っている。獣人やダークエルフ、ドワーフ、オークらも多く人種は雑多である。
海沿いであるから水棲人マーフォーク族が多く活動している。彼らは海中に国家を築いて瓦礫街に赴いており、住んでいるわけではない。
交流が盛んなので共通語が堪能であると出世できる。
人口はおよそ16万1千人くらい。種族による人口比は…
・ミュルミドーン族(地下に多い)20k
・ゴブリン族0.2k
・オーク族0.1k
・ヒト族50k
・マーフォーク族(海中に多い)18k
・リザードマン族12k
・獣人族30k
・コボルト族3.7k
・ドワーフ族10k
・ホビット族7k
・パタゴン族6k
・ダークエルフ族2k
・エルフ族2k
・マタンゴ族0.1k
・ハルピュイア族0.001k
…であり、全体に対するヒト族の比率は31%で過半数には遠く及ばない。
ゴブリン族は疎まれており、オーク族はもっと疎まれている。
人口比で少ないエルフ族&ダークエルフ族は弁護士、裁判官、医者、公証人、学者などの要職に就いていて敬われている。
リザードマン族は肉体の頑強さ故、傭兵や冒険者になることが多い。
ハルピュイア族はただ1人だが、非常に尊敬されている。実際、能力は圧倒的である。
・街
市壁は三重。
一番内側の第一市壁はドラゴン城を頂き、有力者と神官の住居を守る。上級地区である。
第二市壁は市民と市民の奴隷を守る。冒険者ギルドも商業ギルドもここにある。
第三市壁は市民以外の平民“自由民”を守る。南西に貧民窟が広がる。ダイナミックなエリアで兵士の数が足りていない。治安も悪い。
第三市壁の外には三方に街道が伸びてそれぞれが耕作地を抱える。
中央に“ドラゴン城”という、妻と領主ジャクソンが住まう城がある。かつてアイスドレイクが一頭、当時の領主とともに棲んでいたことが名前の由来。
北西から南東に向けてカシャフ運河が通る。この運河はもともと天然の河川の支流で南西の山から森林を抜けて海に入っていた。
運河には地下水道が繋がる。地下水道は街を縦横無尽に走り、汚水処理や雨水の貯水池になっている。
街の北東部は港になっている。
南西は破壊された第三市壁が痛々しい、瓦礫だらけの貧民窟である。
北西は王都ベーリに続く街道が延びる。
南東は豊かな耕作地帯へ繋がる。ミュルミドーン族の商人が訪れる。
・商業区
第二市壁の中、北にある。
常設の市場を擁して商いが盛ん。商人の一部は商業ギルドに所属していて儲けているが、多くは行商や自由商人、もしくは近隣の農家や狩人が勝手にモノを売っている。
市場は領主の兵士に守られていて無用の騒ぎは鎮圧される。
しかし、兵士なのであまり頭はよくなく、詐欺行為やいい加減な商売を取り締まれない。
商業ギルドの横に併設された裁判所が機能しているが、非常に忙しく、無茶な訴訟や口の回る弁護士に苦しめられている。
扱っている商品は食料品から武器まで幅広く、主にコボルト族を商う奴隷市場はまだおとなしい方。
阿片や火酒、恐るべき稀覯本のたぐいも商われている。
・カシャフ運河
街の北西から南東に向けて、リュッダを真っ二つに割って流れる。
運河は若干、北東寄りで上級地区の北東端を流れる。
北西から入って南東の海に流れる。
市内の物流をを担い、瓦礫街と内地の交易にも寄与する。
・港湾道路
海岸線に沿って延び、中央部が大通りに繋がっている。
・港湾
南東、運河の河口から始まって海岸線に沿う。
河口港区と商港区が一体化しており、大きい。続いて、フェリー港区とマリーナがある。
長い桟橋を境に中央の軍港区があり、大型の三段櫂船を含む軍艦が並ぶ。また、これらガレー船の水夫達が宿泊する施設も用意されている。酒場などの娯楽施設も併設されいる。
浮桟橋を挟んだその先が漁港区であり、多数の漁船が並ぶ。
・パダーニュ諸島
6つの島の内、5つに海軍兵舎が建てられた軍用施設。
リュッダ海軍の水兵達が訓練する演習場も兼ね備えている。
・海水浴場
河口港区の南東にある砂浜である。富裕民向けと貧民向けに仕切られていない。
金持ちも貧乏人も同じ海で遊ぶ。
もっとも、貧民は潮干狩りと海水浴くらいしかやることがない。
・周辺
北東には海、南西は森林とその先に高山、南東は草原、北西も同じく森林とその先に高い山脈がある。北東の山脈を抜ける街道は王都ベーリに繋がる。
北西の海にはワイルド島という火山島があり、温泉が湧いている。毎日、噴煙が止まらず、ひどい噴火になると耕作地に被害が出る。
南東の草原にはミュルミドーン族が入り込んでおり、広大な耕作地を実質的に支配している。すでに地下王国を築いているので地上で活動する者は限られているが、地下生活者を含めれば瓦礫街で活動する人族よりも多いことが確実視されている。
北東の森林ではマタンゴ族が集落を形作っており、すでに国家としての規模だと言われている。こちらも瓦礫街と比較できる規模のようだ。
南西の街道をオークの盗賊団が徘徊し、被害が出ている。どうも周辺諸国から送り込まれた威力偵察の部隊らしい。
・破壊された市壁
かつて、幾度となくキュークロプス“ポリュペーモス”の襲撃を受けていた。
ある日、ついには南西の第三市壁が砕かれ、モンスターの群れに荒らされてしまった。街は大きな被害に遭い、人口が流出して1/3が失われた。
しかし、数年前からドラゴンが加勢してくれるようになり、在野の冒険者らの活躍もあってポリュペーモスらを撃退できるようになった。
現在はドラゴンに焼かれたポリュペーモスらがあまり近づかなくなり、ペリュトンやフォモールの襲撃が散見される。
南西の市街は砕けた市壁の巨大な破片が散乱しており、「瓦礫街」の名前の由来にもなっている
市壁の崩壊箇所はいまだに修復が終わっておらず、オーク族の盗賊団が侵入することしばしば。
・勇者
空からペリュトン、海からフォモールが襲撃してくる。これらは厄介で住民は気の抜けない日々を過ごしている。
前の領主はポリュペーモスの攻撃で傷を負い、引退してしまった。領主が殺されるような事態に陥らなかっただけ幸運である。
領主の子も重傷を負い。
次の領主に任命された伯爵は派遣される途中で魔物に襲われて重傷を負ってしまう。
その次の次の領主に任命された子爵も同じく重傷を負い。
その次の次の次の領主に任命された男爵は襲われて怪我こそしなかったもののおびえて逃げ出してしまい。
その後、『領地は欲しいけれど命が惜しい』と手を挙げる貴族そのものがいなくなってしまった。
名のある騎士やら裕福な商人、果ては野盗の頭領までが挑んだがポリュペーモスの包囲は厳しく瓦礫街が滅びるかに思えた。
そんな中、光明教団が国王との協議の末、“勇者”が送り込まれたのである。
それは光明教団の勢力拡大計画のひとつだった。
消耗品である“勇者”がその仲間達と共に何度も送られ。
ポリュペーモス率いるオーガやトロールと戦って多くの勇者が果てた。
やがて兵力増強のために聖女“お色気”マリリンが送り込まれ。
そして47人の勇者が墓碑銘を刻んだ頃、48人目の勇者ジャクソンがキュークロプスに襲いかかり、これをさんざんに打ち負かした。すでにポリュペーモスは過労だったのだ。負傷して逃げてゆくキュークロプス達を尻目に聖女と勇者ジャクソンはようようと瓦礫街に入り、新たな領主の着任を告げた。
そしてジャクソンは英雄になった。
吟遊詩人はジャクソンと聖女“お色気”マリリンのロマンスと冒険を歌い。
人々は大いに楽しんだ。
やがてジャクソンは恋をして。
前の領主の遠縁、コンスタンスと結婚し、ジャクソン・ビアズリー伯爵となった。
英雄ジャクソンは「勇敢なら怖くない」などの頭悪い訓示を掲げて領主になったが、剣を振るしか能のない命知らずに政治ができるわけがなく、すぐに領主としての実権は妻のコンスタンスに譲り渡された。
光明教団の尖兵でもあるジャクソンは市壁の補修を差し置いて教会の改修に努め、大いに住民のひんしゅくを買っている。
碧中海を囲む大国や小国の干渉が激しく、これも領主を悩ますたねである。
・冒険者ギルド
商業区の北西にある。
木造2階建ての安普請で、建物自体は大きい。
・光明教会
光明教団が運営する教会で豪華なステンドグラスが自慢。
シスターや神父がいる。
施療院が併設されており、人気がある。
・暗黒教会
しょぼい。
瓦礫街リュッダは光明教会の勢力が強いのでりっぱな暗黒教会は建てられない。
そこで地味な教会を建てた。
表向きはここが暗黒教団のリュッダ支部である。
管理者である暗黒教団の神父は魔族ではない、ふつうの信者である。
・暗黒蒸し風呂屋
暗黒卿団の秘密基地。2階建てのそれなりにりっぱな建物で上級魔族デルフィーナが潜む。
蒸し風呂屋の責任者はヒト族の中級魔族トスティヴァン兄弟(ビール腹の中級魔導師)で、人化していないので尻尾を隠しているが肌は浅黒い。
看板には『陽気なトスティヴァン兄弟の風呂』とある。
自由民の住む下級地区、貧民窟、上級地区にそれぞれ支店がある。貧民窟の支店は無料で施療院も兼ねている。
本店は商業地区の北西にある。
・神殿
怠ける大御神オルゼゥブ、豊穣神マァルト、博打の神ズバッド、享楽神オヨシノイドなど。
一神教ではないため、誰もが気楽に訪れて祈る。
享楽神オヨシノイド神殿では昼間から酒を配っているので密かな人気がある。
・施療院
貧者に施す施設で、宿屋と医院を兼ねる。
回復魔法の使い手は常駐しない。
様々な神殿や教会が運営しており、経営母体によって質も様々。
・孤児院
施療院と同じく様々な神殿や教会が運営している。
クレメンティーナが暮らす孤児院は享楽神オヨシノイドの神殿が運営している。
・高級治療院
回復魔法の使い手が常駐する。
優良で医療活動を行う。
・公衆浴場
公営の蒸し風呂で、下級官吏が管理する。
・蒸し風呂屋
個人が経営する蒸し風呂で、しばしばパン屋に併設されていた。
カシャフ運河のそばにあることが多い。
魔族の秘密基地も蒸し風呂屋に偽装されている。
・問題
○ポリュペーモス率いる魔物の群れがしばしば襲撃してくる。
○空からペリュトン、海からフォモールが襲撃してくる。
○ワイルド火山島の噴火が農業に被害をもたらしている。
○南東の草原をミュルミドーン族に取られつつある。
○北西の森林をマタンゴ族(スヴェトラーナ株)に伺われているか、 ○すでに取られてしまっているようだ。
○外国の干渉が激しく、軍事的な挑発がかまびすしい。
○異民族の急激な流入により、領内が混乱している。
○南西の街道をオークの盗賊団が襲い、交易に障害が出ている。これは「盗賊団」ではなく外国の威力偵察との噂もある。
○破壊された南西の第三市壁の復旧が遅れている。
○南西の第三市壁に開いた穴からオーク族の盗賊団がしばしば侵入してくる。
…以上である。
<<ペッリャ王国>>
ペッリャ半島を支配し、美しい内海に覇を唱える地域の大国である。
王都は港湾都市ベーリ。
幾つもの勢力に入り込まれ、何度も滅亡している。
現在はオヌベコム王朝が君臨している。
ペッリャ海の覇権を争っていくつもの国が争った歴史がある。
光明教団が強い勢力を持っているが、光明神信仰が国教というわけはない。信仰は緩やかで、光明教団による信者の囲い込みは上手く行っていない。
<<フキャーエ竜帝国>>
エレーウォン大陸の中央を支配する強大なリザードマン国家である。
構成する人種は主にリザードマン族で非常に優秀。鱗はあるものの、恒温動物で知能が高い。爬虫綱ではあるが有鱗目ではなく、新鳥盤目である。身体が大きくて力強く、魔法も使い、戦闘に於いては一糸乱れぬ集団戦もこなす。
その上、平均寿命が400年の長命種なので技術の蓄積や経験もヒトやオークとは桁違いである。個人の戦力も下手なモンスターなど単騎で蹴散らす強者だ。
国家として成り立ちは妖精郷やドワーフ地下王国に遅れるものの、神殺しの偉業が為される前に建国された由緒ある国家だ。しかも、天翼人女王国から直々に魔法を下賜されている。
このことは竜帝国が古代の国際社会で認められたということだ。
また、その後に自分達で率先してまだ未開であった半魚人族、小人族、童人族、巨人族、ヒト族、獣人族へ文字や技術を教え、定住化を促し、蛮族の文明化に努めた。その上、魔法も下賜してやったのである。
古代の国際社会で中心的な役割を果たして文明国で公文書に使われる文字がリザードマン文字であることの礎を築いた。
政治は一応、地竜カザラダニヴァインズが“竜帝”として支配する独裁体制ということになっている。しかし、地竜は人語を喋れないので竜皇后ヴィーオヴィーオが通訳を務め、更に代理人も努めていて事実上の最高権力者である。
竜皇后が独裁者として竜帝国軍を率いる。有力なリザードマンが集まって元老院を形成し、竜皇后に意見する。
これが竜帝国の政治体制である。
ちなみに地竜カザラダニヴァインズは竜帝だが、そもそも言葉が喋れないので祭り上げられるだけの精神的指導者(笑)である。
非常に強力な軍事力を持つものの、碧中海の覇権にあまり関心を持たない。これはデティヨン海の悲劇で非業の死を遂げた後ムツズ朝オルジア皇帝の呪いを受けなかったからである。あの文言『子々孫々に至るまで呪う』は暁光帝に届かず、自身の子孫であるヒト族を呪ってしまったが、リザードマン族は含まれていないのだ。
長命種のリザードマンは1人1人が優れた能力を持ち、人口も多い。
知能が高く、創造性も豊かである。
軍事体制は強力な主力軍用泥人形軍団を抱える陸軍国だ。数も揃えられるのでドワーフの戦争機械も圧倒できる。
碧中海の覇権に興味はないものの、いざとなれば三段櫂船艦隊を出撃させられる。これも数と性能でヒト艦隊を圧倒しており、しばしばいきり立って軍事的緊張を高めるヒト艦隊に冷水を浴びせている。
多数の翼飛竜を使役する空軍さえ運用しており、本格的な軍事衝突が起きると空から地上を攻撃する。その機動力はヒューマノイド型の人種の軍隊を余裕で圧倒できる。
技術力も高く、魔法も苦手ではないのでしばしばドワーフの技術を凌駕する。
宗教的にも安定していて、国教は規定されておらず、リザードマンはめいめいが好き勝手に神々を拝んでいる。熱狂的な信仰、狂信的な信仰は見られない。
国民であるリザードマンは主に肉食で、野菜は消化できず、加熱した穀物なら食べられる。肉の生食も好む。そのため、牧畜が発達していいて盛ん。
他の人種も入り込んでいて、リザードマンの灌漑技術で農業を行っている。
ヒト族のヒト至上主義はしばしば強い軋轢を生み、さまざまな問題を引き起こしている。しかし、リザードマン族は“主義”ではなく、事実としてリザードマンの優位を知っている。
矢や剣を跳ね返す強靭な鱗に覆われた巨躯、素手で人食いオオカミを捻り潰す怪力、ヒト族の6倍を上回る魔気容量と単純な戦闘面だけでも力の差は大きい。それがリザードマン社会ともなればより歴然となる。
危険な幻獣もいるので、実際、リザードマンに護衛してもらわねば他の人種は町の外へ移動することもままならない。
そのため、竜帝国に入り込んだ他の人種は“2級市民”扱いされて嫌な想いを味わうこともある。
彼らはリザードマンが行わない農業に従事して自分達の食い扶持を賄っている。行わないだけで農業技術は高いリザードマンの指導で営まれる竜帝国の農業の生産性も高い。
リザードマンは魚も好んで食べるが、漁業も他の人種が担うことが多い。豊かな碧中海で二枚貝や大型魚の養殖漁業も行われ、生産が安定している。これもリザードマンの漁業技術に依る。また、海上の治安維持も竜帝国艦隊が担っている。
冒険者としても適性が高いため、竜帝国の冒険者はリザードマン自身であることが多い。
他の人種だって国内の移動をリザードマン以外の冒険者に任せれば自立できなくもないのだがあまりに能力差があるため、卑屈になってしまっているだけである。
それでも時々、ヒト族は自問自答して顔をしかめる。「ヒトの国で王になることとトカゲの帝国で奴隷になること、どちらが幸せなのか?」と。
長命種らしく厳しい産児制限があり、二級市民扱いは避けられないが、フキャーエ竜帝国の医療水準はヒト国家とは比べ物にならないほど高く、国民の栄養状態もよい。ダンジョンからあふれる幻獣のスタンピードだって強力な竜帝国軍のリザードマン兵士が排除してくれる。治安もよく、無闇矢鱈と暴力を振るう乱暴者はオークだろうがヒトだろうが、逮捕収監される。不運にも両親を失って孤児になってもリザードマンの孤児院がまとめて面倒を見てくれる。
もしも唯一不満が残るとすれば、竜帝国でヒトは貴族にも王様にもなれないことだけだ。
「ならば、ヒトの国で王になりたいか?」と再び、自問自答するが答えは得られないことが多い。
竜帝国は国際社会の中で燦然と輝く、一等国である。その勢力は妖精郷や極楽郷、蟻甲人のフォルミカ大帝国を凌ぐ。
竜帝国の冒険者登録証を持っていればほとんどの国境を無審査で越えられる。
それは竜帝国の絶大な威光を示しているかのよう。
竜帝国の冒険者ギルドに登録している冒険者のほとんどがリザードマンであるが、他の人種もいないわけではない。コボルト族やヒト族の子供は小柄なので町中の調査などに重宝されるし、オーク族やゴブリン族は狭い場所での害獣駆除などを任される。
彼らは冒険者としても二級扱いだが、強力なリザードマン冒険者とともに働けるので思いの外、成長することもある。とりわけ、リザードマン冒険者の怪力とスピードに慣れているので受け流しと動体視力に優れることが多い。
おかげで他国へ流れてから「凄い」「凄い」と褒められて伸びる者も珍しくない。
<<イスマン朝オルジア帝国:滅亡>>
神殺しの後にできたヒト族オルジア人の民族国家である。
ポイニクス連合がエーリュシオンと衝突したり。
碧中海の制海権を巡ってポイニクス連合と対立したり。
オーク小国群やゴブリン小国郡を併呑して、更に妖精郷やドワーフ地下帝国を伺ったり。
それでエルフ&ドワーフ連合軍とおるイア帝国が衝突して白白大戦が勃発したり。
戦争を繰り返して戦乱を撒き散らしたので『病死するのも戦死するのも同じだろう』と疫病を蔓延させられて衰退。
内乱が起きて滅亡した。
<<ヒューム帝国:滅亡>>
イスマン朝オルジア帝国滅亡後に勃興したヒト族の民族国家である。
金龍オーラムに挑んだヒト族のアレクサンドラは博打で恐るべき神器“ウソカガミ”を巻き上げてしまった。これはとてつもなく強力な武器で1万の軍団を一瞬で絶命させるほどの威力を誇っていたのである。この威力によりアレクサンドラは瞬く間に帝国を築いて広大な版図を得た。
世界征服を目論んだアレクサンドラ女帝による領土拡張はハルピュイア女王国まで巻き込んで“エンジェル大戦”と呼ばれる大戦争にまで発展してしまった。
アレクサンドラ女帝はフキャーエ竜帝国とハルピュイア女王国という大陸最大の勢力を相手に奮戦した。神器1つでハルピュイア族にまで犠牲を出したのである。
しかし、最終的には銀龍アージェンタによって神器が回収されてしまった。
神器頼みの戦争だったのでたちまち負け戦が続き、帝国は衰退し、やがて滅亡した。
<<ビルゲ朝オルジア帝国:滅亡>>
ヒューム帝国の残党がオーク族の半遊牧半盗賊集団“カザーク”と手を結ぶ。最終的にカザークが主体となってヒト族をまとめ上げて興した国家である。
ヒト族の民族国家であるオルジア帝国にしては珍しく、オーク族との共生国家であることが最大の特徴。
オーク族の定住化に成功して大いに繁栄したものの、オークの貴族化と繁殖力に悩み、軍事大国化して膨張政策を採った。
その結果、旧ポリエルギュス王国の人間牧場を接収したり、ドワーフ地下王国やエルファムへの侵攻、そして、碧中海のポイニクス連合や東のメヘルガル亜大陸まで伺うことになった。
そして、メヘルガル亜大陸へ侵出して新メヘルガル王国と衝突、人々戦争を引き起こした。オークの大変な犠牲を出しつつ、王国を滅亡させ、メヘルガル亜大陸を征服した。
けれども、マタンゴ族の警戒を誘ってしまい、最終的に「ヒト族とオーク族の共生文化はつまらない」との結論を下されてしまう。
そして、マタンゴ族に入り込まれて裏社会を牛耳られた上、神聖ブジュミンド帝国の介入を招いて宗教的な干渉を受けてしまう。その結果、オークの軍事集団カザークとヒト族の間に軋轢が生まれて、オークの大将軍ボフダンによる“カザークの大乱”を招いてしまう。
裏社会のマタンゴ族に扇動された内乱が多発し、メヘルガル亜大陸の叛乱と周辺諸国からの反撃も帝国の脇腹が突かれて苦しめられる。
最終的にボフダン大将軍が帝都を占領、皇帝が処刑されて滅亡した。
ちなみにボフダン大将軍のオーク軍団は主敵がいなくなると活躍の場を失って南部分裂を引き起こして崩壊した。
<<前ムツズ朝オルジア帝国:滅亡>>
オーク諸侯の裏切りによって滅ぼされたビルゲ朝オルジア帝国の残党が興した国。
またしても博打で熱くなった金龍オーラムが神器“マコトノツルギ”を巻き上げられてしまう。そして、強力な神器を接収したことで帝国は碧中海制覇の野望を抱き、ドワーフ地下帝国を攻める。
これに驚いたドワーフが宿敵であるエルフに頭を下げて同盟を結び、更に強大な軍事大国であるフォルミカ大帝国も引き込んだ。
戦火は拡大し、ついに大陸中央のフキャーエ竜帝国までがオルジア帝国に宣戦布告。
オルジア帝国はオーク族やマーフォーク族、更にはコボルト族や獣人族まで引き込んで対抗。
対するエルファムもパタゴン族やホビット族を引き込んで戦線を拡大した。
ここに土竜戦争が勃発、オルジア帝国は世界を相手に戦ったのである。
しかし、戦火の中で恐るべき疫病“緑死病”が発生し、それが燎原の火の如く世界中に蔓延、多くの種族と国家を痛めつけた。
エルファムの宝物殿が謎の飛蝗の大群に襲われて貴重な万能薬“世界樹の葉”の備蓄が全て失われ、国際的な防疫体制が崩壊。
ほぼ全ての国家が人口の半減、ないしは全滅という状況に追い込まれてしまう。
戦火と疫病に苦しむ帝国に近い峡谷を暁光帝が3日3晩ぶっ続けで駆け回るという大事件“”が起きた、
これを大いに恐れた帝都が動揺して内乱が勃発。反乱軍に迫られて皇帝が廃位させられた。
これで帝国は滅亡してしまう。
敵も味方も亡国が相次ぎ、もはや戦争など悠長な行事にかまけていられなくなって、有耶無耶のうちに土竜戦争は終結した。
戦争の原因になった神器マコトノツルギは銀龍アージェンタによって回収された。
<<後ムツズ朝オルジア帝国>>
“廃帝の落胤”と呼ばれた孤児が立ち、帝国の再興を試みる。
孤児は神器の紛い物“マコトノツルギ(偽物)”を得て、これを掲げてヒト族の統一を呼びかけた。
マコトノツルギ(偽物)の権威は大きく、再び、オルジア人の帝国が興った。
それでも戦乱と疫病の記憶は鮮明であり、世情は暗かった。“死の勝利”を主題とする絵画が人気で無常観が社会を蝕んだ。また、名著『分け隔てなく蒼く』が著され、現世に於ける如何なる努力も無意味であるという諦観が広まってしまった。
土竜戦争は世界中に飛び火し、ハルピュイア族を除く全ての人種に甚大な犠牲を出した大戦争であったが、前ムツズ朝オルジア帝国は何一つ手に入れることは出来なかったのである。
後ムツズ朝は神器の紛い物“マコトノツルギ(偽物)”を宝物庫にしまい込んで誰にも見せないし、権威として足り得るものがなくなってしまっていた。
そして、泣きっ面に蜂。疫病禍による衰退が著しい中、獣人海賊とマーフォークのノアシュヴェルディ海上王国が台頭し、獣人戦争が起きて亡国の危機を迎えてしまう。
宰相の英断で戦争に決着を着けるべく、ポイニクス連合艦隊と帝国艦隊が碧中海へ赴いたものの、デティヨン海の悲劇が起きてしまう。おかげで亡国の危機は脱したものの、帝国海軍は全滅。その後はかなり苦労させられる羽目に陥った。
後にオークの大酋長プガギューの襲撃を受けて皇帝が殺されている。
後ムツズ朝オルジア帝国は散々な国家で歴代の帝国の中でも最もパッとしない。神器もなく、他の人種の力も借りられなかった。
しかし、それはヒトの力による、ヒトだけの国家という意味があった。
悪戦苦闘しながらも“ヒト至上主義”という欺瞞を育てたとも言える。
それでも当時の“ヒト至上主義”はリザードマン族やミュルミドーン族のような明らかに優れているとわかる人種を向こうに張ってヒトの可能性と尊厳を主張したものであった。それは虚勢であり、意地でもあったのだ。
そういう意味では現在のヴェズ朝オルジア帝国がやはり“女帝の鱗”という超常のアイテムに依存していることはオルジア帝国の伝統に即していると言えなくもない
<<アプタル朝オルジア帝国:滅亡>>
エレーウォン大陸の中央を支配する、強大な竜帝国と対立していた。
召喚魔法に傾倒し、国策として推し進めていた。技術力と軍事力で優位にある竜帝国を押し返すための切り札として期待していたのだ。
その結果、天下の愚行として知られる“暁光帝の召喚”を試みる。
これは不幸にも成功してしまい、本物の天龍アストライアーが帝都にやってきてしまった。
その結果、皇帝アプタル8世は宮殿とともに踏み潰されてしまった。
これを“オルゼポリスの喜劇”と言う。
そして、アストライアーとしては呼ばれてきたものの、誰もいないので当惑せざるを得ない。
そこへ奸臣の讒言で退けられていた宰相が進み出た。
・暁光帝:「呼んだ?」
・宰相:「はっ、陛下のかんばせを拝んで恐縮至極でございます。陛下を呼んだ愚か者はお御足の下で果ててございます」(五体投地で顔を地面に埋めながら)
・暁光帝:「あ、そぉ…」(困惑顔)
・暁光帝:「次に呼ぶ時はもう少し離れて待っていてね」
・宰相:「ははっ! なんとお優しい…すべて御心のままに成すことを、アプタル朝オルジア帝国宰相であるこのわたくしめがお約束いたします」
・暁光帝:「うん。じゃっ!」(六翼を広げる)
・宰相:「おぶぅっ! おっ、お待ちくだ…ここで飛ばれては……」(突風で吹き飛ばされながら)
・ドーン!!
・暁光帝:「あっ、うん…」(自分の鱗を投げる)
・宰相:「おっ、おぉぅっ!」(一枚の龍鱗が地面に突き刺さり、風を防ぐ)
・暁光帝:「気をつけてねー」(飛び立つ)
・ドドーン!!
・途方もない大風が発生し、城跡と城下町が吹き飛ぶ。
・ここにアプタル朝オルジア帝国、滅亡\(^o^)/
そして、皇帝アプタル8世の名は愚か者の代名詞となり、“アプ八”の蔑称を生んだ。
<<ヴェズ朝オルジア帝国>>
アプタル朝オルジア帝国の宰相チシュピシュ・ヴェズ朝オルジアが復興させた新たな国がヴェズ朝オルジア帝国である。
宰相こと、初代皇帝“神君チシュピシュ1世”は『暁の女帝様に出会って生き延びた稀有な人物』と賞賛され、その肖像画は災難のお守りとして人気が出た。
その手記は帝室に秘匿され、直筆の手記を代々の皇帝が閲覧して写本を記すことが真の帝位継承となった。それは「暁の女帝様とは会話できる!」という貴重な歴史的資料として門外不出の秘録とされた。
国名は「ヴェズ王朝のオルジア人の帝国」である。
かつて竜帝国と対立して天龍アストライアーの召喚を試みて滅びた、アプタル朝オルジア帝国の後継者である。
オルジア人が中心だが、多民族国家でエレーウォン大陸の中西部に広大な領土を持つ。
碧中海の制海権を巡ってペッリャ王国やポイニクス連合とやりあっている。
帝都はアプタル帝国と同じオルゼポリス。
「暁光帝、降りる」の一報に皇帝が震え上がった。
即座に間者を差し向けるも「絶対に刺激してはならない」の制約を課している。
情報は隠されており、国内の主だった者しか知り得ない。
かつて滅びたアプタル朝オルジア帝国が用いた召喚術がまたしても利用されたのかと戦々恐々である。貴族らは暁光帝を呪うも関わりたがってはいない。復讐を唱える者は皆無。
アプタル朝オルジアの宰相が暁光帝より賜った龍鱗は国宝として大切に保管されている。
暁光帝はアプタル朝オルジア帝国を滅ぼした仇であるが、同時に現在のヴェズ朝オルジア帝国の始まりでもあるからだ。
皇帝は国を揺るがす問題が起きると暁光帝の龍鱗“女帝の鱗”(全長46m)を前に思考を重ねる。
「暁光帝、降りる」の一報に夜会の酔いも覚めて「これはピンチであるとともにチャンスでもある」と見抜いた。
豊穣神マァルトを祀っており、国教に指定している。もっとも一神教ではないので信教の自由がある。
・帝都オルゼポリス
近くを流れる大河を灌漑して栄える、数千年の歴史を誇る古都で、山に擁される砂漠の真ん中にある。
交易の要衝にであり、ヒト文明の中心地であることもしばしば。
オルジア帝国が滅びるたびに廃都にされているが、再興されるたびに復興されている。
近年のアプタル朝とヴェズ朝では帝都となっている。
暁光帝との縁が深い。
“暁光帝のマラソン”では女帝の散歩道にあって23日間、往復の46回も踏み潰されて瓦礫の山になった。
また、悲惨極まりない“オルゼポリスの喜劇”で暁光帝に踏み潰されて完全に真っ平ら更地にされてしまった。
しかし、賜った“女帝の鱗”を中心に復興された。
現在、貴重な“鱗”はオルジア人の精神的な支柱とされている。
<<ポイニクス連合>>
碧中海の南にあり、制海権を巡ってペッリャ王国やヴェズ朝オルジア帝国と争っている。
暁光帝が月面に宮殿を建立した頃、碧中海の南の沿岸、ダヴァノハウ大陸の北端に集まったヒト族の集団から生まれた商人の国。
自由を尊ぶ気風が強く、王がおらず、豪商達の合議制で国が運営されている。
かつて、碧中海の大戦でアプタル朝オルジア帝国の海軍に敗北し、亡国の危機に陥っていた。ところが、暁光帝のマラソンで帝国が衰退して国難を免れた。その上、オルゼポリスの悲劇で帝国が滅亡したので碧中海の覇権を維持できた。当時、暁光帝には大いに感謝したものである。
碧中海の情勢に目を光らせていて、今回の「暁光帝、降りる」の一報をいち早く公開した。
国内は暁光帝を歓迎する一派と警戒する一派に分かれている。
博打の神ズバッドは商売の神でもあり、ポイニクス連合でも人気がある。
<<妖精郷“エルファム”>>
ナンシーの出身地である。
世界樹ペリーヌの庇護下に生まれた古いエルフの里が発展してできた。
エルフは世界樹ペリーヌからドワーフ駆除の“益虫”とみなされており、エルフ達もそれが本分だとわきまえている。おかげで妖精郷はナナホシテントウくらいには暁光帝から目を掛けられている。
妖精郷は世界樹の庇護下にあるため、王都が外敵の侵入を許したことがなく、国家としての歴史はかなり古い。
世界樹を信奉する特殊な自然崇拝…に見える幻獣崇拝である。世界樹が幻獣であり、暁光帝と親しい。
世界樹から目を掛けられたおかげでエルファムは大いに発展した。鉱工業、農業、淡水湖の漁業、そして、魔法技術を生かした魔法産業と様々な事業が営まれている。
年に一度、世界樹ペリーヌから“世界樹の葉”を落とされる。これは万病に効く万能薬であり、疲労、中毒、病気、怪我に著しい効能があるばかりか、老いや死も状態異常の一種とみなして治療するのでまさしく万能薬である。
年に1枚もらえるだけだが葉は長さ130mもあるので十分にまかなえるばかりか、余剰分を施療院に回す余裕がある。おかげで新生児死亡率がほぼ0%まで下がった。
エルファム施療院は評判になって周辺のエルフ集落からも多くが訪れるため評判になった。
エルファムは“世界樹の葉”を戦略物資と認めて外部への流出を幻獣に管理するようになった。
そのため、エルファム宝物殿は国際的な防疫体制の要である。
しかし、執拗にマジックアイテム“世界樹の根”を狙うドワーフが世界樹から蛇蝎のごとく嫌われてしまう。そこで、これを討ち取った妖精人が“英雄”ともてはやされる風潮が生まれてしまった。
地下を通って世界樹ペリーヌに近づいたドワーフを討ち、その死骸を吊るして見世物にする習慣は長く残り、ドワーフ地下王国とは強い軋轢を生んでいる。
外敵の排除については安定しているが、内政についてはその限りでなく、エルフ王朝は何度も交代している。
もっとも、それについて世界樹が与り知ることではない。植物がアリの女王交代に関心を抱かないように。
世界樹信仰でまとまっているが、国家としては基本的に多神教なので光明教団も入り込んでおり、光明神ブジュッミの影響力も強い。その『産めよ、殖やせよ、地に満てよ』方針のため、不老種であるにも関わらず、同性愛について批判的な空気がある。
<<ドワーフ地下王国>>
ドワーフ族は冶金に優れ、鍛造や鋳造で様々な金属製品を制作する人種である。
小柄で狭い洞窟内でもヒト族よりも軽快に移動できるなどの利点はあるものの、別に地下でなければ暮らせないわけではない。それこそミュルミドーン族のように人種そのものの本能として地下を目指すわけでもない。
ドワーフは魔法が苦手であり、とりわけ、生活魔法が使えないことで社会衛生に問題を抱えていた。また、回復魔法も使えないため、病気や怪我に苦しんでいた。
そんな時に世界樹ペリーヌの噂を聞きつけて出かけたがエルフ族に追い払われてしまい、「それなら」と地下道を掘って近づいたところ、“世界樹の根”というマジックアイテムを見つけた。これは世界樹ペリーヌが土壌の改良と植生の調整のために造り出した、強力なマジックアイテムだったのだが、さすが、上位の幻獣だけあってとんでもない高性能だった。服用すれば病気や怪我をたちどころに癒やすだけでなく、老いや死すらをも治療してしまう万能薬だったのである。
これに魅入られたドワーフ達はなんとしてでも“世界樹の根”が手に入れたいと近づいたが、世界樹ペリーヌから「すわっ、寄生虫か!?」と驚かれ、蛇蝎のように嫌われてしまった。完璧に“害獣”として認定されたのだ。
それでも無理に近づいた結果、強力な魔法で地面を割られ、引きずり出された者はまだマシで、土ごと焼かれたり、電撃を食らって消し炭にされた。運の悪いことは重なるもので世界樹ペリーヌの友人である暁光帝が待ち構えていたのである。
引きずり出された者はエルフに捕まって嬲り殺しにされて亡骸は吊るし上げられた。
逆にこの虐殺は「地下から這い寄る寄生虫を退治してくれた」と世界樹ペリーヌがいたく喜び、エルフが“益獣”に認定されるという、散々な結果を招いてしまった。
そして、覚えめでたくエルフの集落は万能薬“世界樹の葉”をもらえるようになって大いに栄え、中央集権を確立して強力な国家“妖精郷”として新エルフ文明を築いた。
殺しまくられて方法の底で逃げ出したドワーフだったが何とか“世界樹の根”を手に入れられたので一部の死者を蘇らせ、負った傷を治せた。そして、嬲り殺された戦友のために泣いて新たな国家の設立を宣言したのである。
ドワーフ地下王国が興ったのだ。
もっとも、この時点では地下に都を築いたわけではなかった。
親友のペリーヌから頼まれた暁光帝が“害獣”を駆除しにやって来たのだ。
暁の女帝様は巨大な火炎の精霊魔法で大地を焼き尽くして“消毒”した。エーテル颶風なり、破滅の極光なり、本来の能力であれば誰1人生き残れなかっただろう。しかし、暁光帝は世界樹ペリーヌの実験に協力したかったので自然に優しい手段を選んでくれたのだった。
おかげでドワーフ族の重要人物は地下で生き延びられた。
復興は地下に重点を置くと決められて。
ドワーフ地下王国の都は地面の下に築かれたのだった。
その後もドワーフ族は国家の悲願である“世界樹の根”を求めて繰り返しエルファムに侵攻し、エルフ族に恨まれ、世界樹ペリーヌから嫌われた。
そして、地上に街を気づくたびに暁光帝に焼き払われるという悲劇に見舞われることになったのである。
それでもドワーフ族は地上を諦めきれず、地上にコボルト族やオーク族を住まわせ、文明化することを試みた。ドワーフの立てた居住施設にコボルトやオークが暮らして、ドワーフのために農業や牧畜に励むようになったのである。
それはかつてフォルミカ大帝国が試みた“人間養殖場”と似たようなものだった。
今でもドワーフ族は生活魔法が苦手で社会衛生は手作業と機械に頼らざるを得ない。回復魔法はオークの若君やコボルトに頼む。居住地を用意してやったのだから、本来ならば奴隷であるはずのオークやコボルトにも頭を下げて医療を任せるしかない状態だ。
それでも“世界樹の根”には遠く及ばない。
長命種であるから長生きしてもいずれ老いる。
この手に“世界樹の根”さえあればとの想いが募り、身を焦がす。
だから、エルファムに侵攻する。
そして、世界樹ペリーヌとエルフ族にこっぴどくやられる。
亡骸は吊るされて晒し上げられる。
野蛮な風習は徐々に廃れつつあるが、捕虜の交換が恒常的に行われるわけではない。
海のない陸軍国だが、エルファムに広がる巨大な淡水湖を攻略するための水軍がある。
国民が太陽の下に出られないため、農業は傀儡国に任せるしかなく、無理やり文明化させた野蛮人らにも頭を下げざるを得ない。
それでも優れた冶金技術によって作られる工業製品は信用があり、国際的にも評価されて取引されている。
魔法は苦手だが“ドワーフの戦争機械”と呼ばれる兵器は強力で、とりわけ主力軍用泥人形の機動軍団は敵から大いに恐れられている。
<<偉大なるプガギューの国>>
碧中海の北西に陣取るオーク族の集団。実際は統一国家に至らず、多くの部族の連合体である。
かつて、周辺諸国を侵略しまくって大国を築いたプガギュー大酋長にちなんで名付けられた。
オークにとって豊かなヒト族のオルジア帝国は垂涎の的であり、幾度も襲撃の対称にしていたが、一度も越境することさえ出来ない得物だった。大酋長はマタンゴ族とつながって後ムツズ朝オルジア帝国の裏社会に混乱を引き起こさせて越境に成功。オーク諸侯を率いて帝国を荒らしまくった挙げ句、帝都を陥落させて皇帝を自害させるという一大事業を成し遂げた。
オークらしく短命で、さんざん暴れまわって周辺諸国を平定しまくったものの、最後はフキャーエ竜帝国を相手に戦死してしまった。大酋長の没後は物凄い速さで国家が分裂してしまったので歴史上の影響はあまりない。
それでもプガギュー大酋長の偉業は鮮明に映ってオーク達の記憶に残り、“オルジア帝国に侵入した大酋長”として崇め奉られている。
国家の形態としては数多くのオーク部族が集まって形成された集合体である。一応、国家元首として“大酋長”がいるものの、あまり働いてはいない。
ミュルミドーンを恐れて民族大移動を引き起こし、獣人を北方へ追い出し、ヒト族を追い詰めた。その結果、ドゥンキルヒンの悲劇を引き起こしてしまい、暁光帝の恐ろしさをまざまざと思い知らされる羽目に。
百万の侵攻軍が一瞬で殲滅された記憶は強烈で今でも暁光帝に対する恐怖が強い。
好戦的でしばしば同族同士で争っている。暗黒教団の影響下にあるが、国家自体が余り統一されてない。光明教団の影響下にある部族も多い。豊穣神マァルトや享楽神オヨシノイドの信仰も人気である。
隣接している国は西にゴブリンの小国の群れ、北と東がヴェズ朝オルジア帝国、南東に瓦礫街リュッダを擁するペッリャ王国がある。いずれのどれとも険悪で戦争状態にある。ゴブリンの群れを抜けてドワーフ地下王国と衝突することもある。また、南の碧中海に躍り出て海賊行為を繰り返している。
ほぼ、常にどれかの部族がどこかの国と戦っている状態であり、オーク同士の内戦も常態となっている。
結構な大国であるが、略奪経済と奴隷労働に依存しがち。
オークだけでは冶金技術が低すぎる上に職人もいないのでドワーフに働いてもらっている。これは技術者なのでドワーフ奴隷ではなくドワーフ労働者である。魔法技術も同様でエルフ技術者に頼っている。
また、一部のオーク部族はリザードマンに率いられており、そういうところは文化水準も高く、戦争に依存していない。
造船所や港はヒト族やドワーフ族の大工を集めた村にある。オーク自身が大工を務めることもあるがそういった技術職のオークは稀である。
<<ソモニ王国:滅亡>>
ソモニ高原に生まれた遊牧民の王国である。
優れた族長に率いられた騎馬軍団が強力で、周辺諸国を圧迫しながら一大で築かれた。
遊牧民らしく王朝も移動する。豪勢なテントを運ぶ、“移動宮殿”が特徴。ヒト族ソモニ人はリザードマン語が使えないので配下の民族を官僚として雇い入れていた。
膨張を続け、一時は東部ヒト族諸侯連合を統一するかに思われたが、ある夜、空から天龍アストライアーが舞い降りてタップダンスを踊り始めた。
3日3晩、踊り続けたので移動宮殿も騎馬軍団も潰滅\(^o^)/
ソモニ王国は滅亡した。
この事件を“ソモニのお月見”と言う。
以来、ソモニ王国に圧迫されていた周辺諸国で中秋の名月を眺めながら踊る習慣が定着した。
けだし、暁光帝の偉業は比類なき。
<<古メヘルガル王国:滅亡>>
フキャーエ竜帝国から魔法を下賜され、メヘルガル亜大陸に生まれた最初のヒト文明から発祥した国家である。
性的二形の著しいヒト族の王国であり、中興の祖である王が五障三従の教えを唱えたことで知られる。
また、他の人種よりも遅れて文字や技術を得たのでどうしても劣っていたため、敢えて強気に出るヒト至上主義が唱えられた。
難解なリザードマン文字を改良して発音しやすい人類共通文字を開発した。
これらの思想や技術は山や谷を越え、海すら渡って様々な文化に影響を与えた。
後にヒトと協力した獣人の勢力に侵略されて滅亡した。
<<新メヘルガル王国>>
フキャーエ竜帝国から魔法を下賜された獣人の文明が拡大して、ヒト族と接触し、ヒト族と獣人の混成文明が生まれた。
これに興味を持ったマタンゴ族がメヘルガル亜大陸に侵入し、古メヘルガル王国で裏社会を乗っ取った。
ヒト&獣人の混成文明はヒト至上主義を掲げる古メヘルガル王国と対立、軍事衝突に発展する。ここでマタンゴ族が内乱を扇動して大いに混乱させた。
その結果、古メヘルガル王国は滅ぼされた。
新メヘルガル王国の誕生である。
封建国家であるが、伝統的にヒト族と獣人族の合議制が採られており、国王は1人ではない。
“双子の王”と呼ばれるヒト族の王と獣人族の王は時代によって勢力がまちまちだが概ね上手く国家を運営している。
東の大国であり、国力はヴェズ朝オルジア帝国と肩を並べる。しかし、純粋なヒト族の国家ではなく、様々な人種が同じ土地に暮らしているので国家の形態はだいぶ異なる。
かつて、フキャーエ竜帝国の向こうを張って蛮族の文明化に努めた。豚人族や侏儒族、犬人族に文字と技術を伝えて定住化を促し、魔法の下賜も行ったのだ。
もっとも、その結果は芳しいものではなく、天翼人女王国から「時期尚早で短慮の極み」を叱られた。しかもその上、ヒト族よりも強力なオーク魔導師やゴブリン魔導師を生み出してしまい、度重なる襲撃を受けて多くの犠牲を出す羽目に陥った。
結局、オークもゴブリンも放浪生活をやめず、略奪経済と奴隷労働を求めたのである。
新メヘルガル王国はこの所業によって現在も同じヒト族の国家から恨まれ、愚行を罵られている。
<<ゴブリン王国:滅亡>>
エレーウォン大陸の西端に勃興したゴブリン族の大国である。
膨大な人口を頼みとした人海戦術によって大陸西部からオーク族とヒト族を追い払った。
強大な女王の偉業である。
ゴブリンの王族は賢く、リザードマン文字の読み書きが出来、算術も修めていた。
前ムツズ朝オルジア帝国が引き起こした土竜戦争に巻き込まれ、オルジア帝国に与する。しかし、戦争中に緑死病の世界的大流行が起きてしまい、多くの人名が無為に失われ、戦争どころではなくなった。そして、大戦は有耶無耶のうちに集結した。
ゴブリン女王が病没し、ゴブリン王国は分裂した。
<<北ゴブリン王国:滅亡>>
分裂したゴブリン王国の北部が独立して北ゴブリン王国が興った。
ゴブリン王室の優秀な王族が率いて新たな大国と成る。
大いに繁栄してゴブリン族の可能性を示した。
しかし、ある日、王都に暁光帝が空から舞い降りて大陸横断マラソンを始めたので恐慌に陥った国民が逃亡してしまう。
超巨大ドラゴンに踏み潰されて王都と第2都市が壊滅。
暁光帝のマラソンは北ゴブリン族の大移動を引き起こした。恐怖に駆られたゴブリン達は大繁殖して数を増やし、見境のない民族移動が他の人種に脅威を感じさせた。
そして、ゴブリン大戦が勃発。
パニックを起こしたゴブリンの大集団に迫られたエルフの妖精郷とヒトのアプタル朝オルジア帝国は同盟して事に当たり、大規模な魔法戦で群れを焼いた。
驚いて逃げ出したゴブリン達がパタゴン族を攻撃して被害をもたらし、怒り狂ったパタゴンによる民族虐殺に繋がった。アールヴ大森林の大虐殺である。
後に大虐殺はアプタル朝オルジア帝国宰相の企てをエルフが遂行したと判明した。
この事件でゴブリン王室が皆殺しにされて北ゴブリン王国は滅亡した。
<<南ゴブリン王国>>
北ゴブリン王国の跡地には勇敢なヒト族が流入して国家を築いてしまった。
そのせいで、現在は南ゴブリン王国が残って北伐を繰り返している。
今となっては数少ない、大国の傀儡国でない、完全に独立したゴブリン族の国家である。
野蛮で強引と非難されることの多いゴブリンだが、アールヴ大森林の大虐殺を克明に記録して世界に喧伝するなど文化活動のレベルも高い。
北伐を繰り返す陸軍国なので海軍力は低いが、豊かな港湾都市を設え、碧中海で盛んに交易を行っている。
安価に雇える命知らずのゴブリン傭兵部隊が特産品である。
<<極楽郷エーリュシオン>>
ダヴァノハウ大陸の北に広がる死の砂漠、そのほぼ中央にそびえる龍の台地は緑なす豊かな土地である。
そこに栄える“極楽郷”は闇妖精人の故郷である。
もともと、龍の大地は広大な荒れ地、“死の砂漠”に囲まれており、本来、碌な工作物が育たない。これに興味を持った青龍カエルレアが定期的に雷雲を運んで雨を降らし、緑あふれる楽園へと変えたのである。青龍はこの変化を楽しみ、観察していた。
極楽郷の設立者は龍の台地を囲む死の砂漠を踏破して最初にこの楽園を発見したダークエルフ冒険者だったのだ。
ダークエルフが勝手に住み着いたわけだが、青龍は「これも自然な変化の1つである」と許容して観察を続けた。
龍の台地をめぐり、多くの人種が争ったがダークエルフが全て駆逐して極楽郷を築いた。
青龍はその様子も観察しながら「面白い」と感じて記録を孤高の八龍への土産とした。あくまでも観察であるから、青龍はどの人種にも肩入れしていない。
雨雲を運ぶ巨大な青龍の姿は雄大であり、神々を遥かに越えて威容である。龍の台地は青龍の実験のおかげで肥沃でいられる、この事実はダークエルフの間で大いに理解された。
エーリュシオンは青龍カエルレアを崇める宗教を持ち、国教としている。
これは宗教以前の実利がある。
エーリュシオンの住人達は青龍を神々よりも上に置いて拝む。
宗教としては基本的には豊穣神マァルトを拝んでいるが、個人主義を謳う暗黒神崇拝も強い。
ところが、最近になって青龍の運ぶ雷雲に暁光帝が紛れていることがわかった。青龍と暁光帝の関係がわからず、エーリュシオンは大いに混乱して未だに事態の収拾はついていない。
<<フォルミカ大帝国>>
フォルミカ半島を支配するエレーウォン大陸最強の軍事大国。
蟻甲人族の統一国家であり、その軍事力は圧倒的である。基本的に“個人”という概念がなく、一般市民から女帝に至るまですべて国家に奉仕する要素として扱われる。
兵士は死を恐れずに戦う。指揮官も兵士の犠牲を前提とする作戦を立案し、実行する。
死に対する感情も他国とは全く違い、死体は有効活用され、墓所は存在しない。
戦争になれば、士気も旺盛な兵隊アリが突撃し、兵站の限界まで戦う。新兵の補充は休眠状態の蛹を起こすことで賄われ、ほぼ、無限とも思える兵力を動員できる。
もっとも、陸軍国らしく海軍が脆弱。
ミュルミドーン自体が専用シュノーケルなしでは泳げない。
軍港を設けて三段櫂船を揃えているが、海上戦力としては見劣りする。もっとも、軍艦の数だけは多く、ミュルミドーンらしい物量に任せた強引な戦術が得意だ。
海が苦手な大帝国は碧中海の覇権に興味がない。
地下が地上以上に開発されており、もともとの人口も膨大。
女王の代替わりを平和的に話し合いで解決することを試みた最初のミュルミドーン集団である。おかげで新しい巣の立ち上げや旧来の巣の分割や女王アリの身分保証などがきっちり行われるようになった。
同時に女王アリの誕生が厳格に計画されるようになった。
現在、大帝国では予定外の女王アリが生まれない。それは重大な禁忌である。
優れた灌漑技術による地上の農業が盛んで荒れ地が緑なす耕地となっている。それによって生まれた光合成産物と廃棄された有機物を利用して菌類を飼育する地下の農業も盛んで、莫大な人口を支えている。
政治体制は複数の巣による連合だが、ミュルミドーンの習性により、多くの巣から選ばれたたった1人の女帝アリによる独裁も機能している。文化水準が高いものの、緊急事態と判断されればたちまち女帝アリによる独裁体制に切り替わる。
とにかく“個人”の概念が希薄であるため、単純な独裁国家のイメージには当てはまらない。
他の人種も住んでいる。
他の人種についても孤児の扱いが丁寧。けれども、幼虫と一緒に養育されるため、やはり“個人”の概念が薄くなりがち。
巣の中にヒト街やドワーフ街があって人種ごとに暮らしている。
彼らはミュルミドーンが苦手な仕事を期待されている。
ヒト族による新規の発明などはその最たるものであり、待遇がよいので他国から逃げ出してくる技術者もいる。
また、地上にもヒト街やドワーフ街があり、ミュルミドーンに養われている。これは最初のヒト文明やドワーフ文明に先駆けている。
しかし、ヒトやドワーフの完全養殖に成功して完全な管理体制の人間養殖場を設えたこともあった。これをより大規模な形で反映させたポリエルギュス奴隷都市が設立された。現在、人間養殖場は非効率的で有効性が認められないと廃止されている。
その気になれば際限なく領土拡張して大陸を征服できるミュルミドーンだが、多様性を期待して他国と交流している。おかげでフォルミカ半島から出てくることはあまりない。
それでも大陸の各地にミュルミドーンの巣を設けて大帝国の支部としている。
これは大量絶滅を警戒してのことである。
<<ポリエルギュス王国:滅亡>>
もともとはフォルミカ大帝国の実験施設である人間養殖場を発展させて、碧中海北東の沿岸部に設立されたポリエルギュス奴隷都市であった。
ポリエルギュス王国そのものがそのための実験場であり、そのテーマは『略奪経済と奴隷労働が社会の繁栄に寄与するか』であった。
ミュルミドーンは周辺諸国を襲撃して様々な財物を奪い、合わせてヒトやドワーフの嬰児を拉致し、野生のオークやゴブリンの嬰児を回収した。また、それぞれの裏社会を通じて幼い孤児を集めさせてもいた。
そのまま育てて奴隷とし、労働力として活用した。自分達にとって苦手な新たなものや技術の創造をやらせるためである。
“個人”や“私”という概念が希薄なミュルミドーンは画一的な物や技術については驚くほど高い技能を示すが、全く新しいものを作り出すことが苦手なのである。
この問題を解決するための画期的な手段として略奪経済と奴隷労働が採用されたのである。
その後、黒龍テネブリスが行った夢幻魔法の実験で悪夢を見せられ、混乱して西進した。行き先にいたオーク諸侯を追い出して新たな人間養殖場を作る。
しかし、これがオーク族の大移動を引き起こしてしまい、周辺諸国を酷く衰退させてしまう。
そうなると新生児の出産が減って嬰児の拉致も上手く行かなくなった上、略奪品も減ってしまった。
その結果、テーマ『略奪経済と奴隷労働が社会の繁栄に寄与するか』そのものについて否定的な見解が出され、『ミュルミドーン自身が働いて生産する方がよっぽどマシ』という結論が導き出されてしまった。『所詮、奴隷に新しいものは生み出せない』という身も蓋もない結論でもある。
そして、ポリエルギュス王国は解散して、ミュルミドーン達は女王アリに率いられ、新たな実験を求めて北へ移動してしまった。
人間養殖場は放棄されて衰退した。
そして、ビルゲ朝オルジアオルジア帝国が旧ポリエルギュス王国の人間養殖場を接収して領土とした。
<<プテローイス海中連合:滅亡>>
マーフォーク文明が生み出した巨大な海中国家である。
広大な海に広がり、地上の国家とは比べ物にならない版図を支配すした。
地上との交流を図る上陸派が努力して地上の人間と交易を行い、大いに栄えた。
しかし、暁光帝の“大いなる海水浴”を警戒した前ムツズ朝オルジア帝国よってた土竜戦争に付き合わされ、緑死病による疫病禍に見舞われた。
指導者が病死して、選帝侯も全員が病没して国家運営に行き詰まり、滅亡した。
<<ピッシュムスクワマエ連合>>
マーフォーク族の巨大な海中国家である。
ヒト族に融和的で何かと便宜を図ってくれる、瓦礫街リュッダにとって最も重要な友好国である。
国民の一部がリュッダ港から上陸し、リュッダ社会に参加している。
ただし、歴史的な経緯からリュッダ軍には参加しない。
その代わり、冒険者として活動することはある。その場合は傭兵として雇用されることもあるが、ピッシュムスクワマエ連合として友軍参加しているわけではない。
海軍力は最強であるが、あくまでも関心は海中にある。海上の支配権についてはあまり関心がなく、放置している。
“家族”が“職能集団”ていどの意味しかなく、“血統”に意味のないマーフォークの国家なので王制を採らない。
指導者が選帝候の会議で選ばれる。
議会の承認を得ることなく政策を決定できる指導者であるが、“帝王”ではないし、“帝室”も存在しない。任期があり、それを過ぎると選帝候の会議で次の指導者が選ばれる形式だ。
<<ノアシューヴェルディ海上王国:滅亡>>
獣人海賊の集団が国家を営むようになった。後にピッシュムスクワマエ海中連合の上陸派と組んでスエビクム海を支配するようになる。
その勢力は大いに伸びてエレーウォン大陸の西部沿岸を襲いまくる。ついには碧中海にまで手を伸ばし、沿岸諸国を恐れさせたが……
獣人戦争を引き起こしたものの、デティヨン海の悲劇で滅亡。
わずかな生き残りがスエビクム海へ帰還した。
<<オニザク連盟>>
高山の山脈のふもとに点在する小国の集合体で、銀龍アージェンタと金龍の庇護下にある。おかげで、小国ながら千年以上の歴史があり、古来より独立を保っている。
軍隊を持たず、国王が血統で継がれない、人身売買が禁止されている、老若男女の権利が平等であるなど、独特の文化を多く持つ。
金龍の威光が強く、争いごとの多くがギャンブルの勝敗で決着されるため、このような文化が発達した。
盟主は血統で継がれない。驚くべきことに23年に一度の盟主選定ギャンブル大会で決定される。
対外戦争、侵略戦争ですら、勝敗は将軍同士の博打で決まるので軍隊が存在しない。
勝負が博打で決まるため、古来より体力も武芸も意味を持たず、博打の度胸と運が尊ばれてきた。老若男女の平等もこの風習による。
人身売買の禁止はギャンブラーが生命や肉体を賭けることを止めさせたことから。これは死んだり、他人に隷属したりして博打ができなくなることを金龍が嫌ったことに由来する。
大きな勝負には金龍が現われて見届けることもある。その場合、イカサマや暴力の介入には厳しい罰が下され、詐欺師や乱暴者は金龍の金気ブレスで黄金像に変えられて国庫に納められる。
奇妙な風習や独特の文化が国際的な批判を受けるも、平和であり、腐敗していながらそれなりに政治がきちんと執り行われていることで国情が安定している。そのため、貿易の中継地としても、学術都市としても栄えている。
孤高の八龍の2頭が庇護下に置いているので、周辺諸国にとってオニザク連盟そのものが戦争の抑止力にもなっている。
もっとも、そのせいでそれらの反政府勢力が根城にすることも多く、国際的な非難を浴びている。
<<暁の秘密教団>>
孤高の八龍を崇め奉る宗教団体の1つで、とりわけ、暁光帝を“破壊神”と称して崇め奉っている。
もちろん、天龍アストライアーは知らないし、そんな呼称を付けていると知れば「破壊‘神’だと?」と激怒するだろう。
狂えるオルジア人が記した稀覯本“真龍秘法”を秘匿している。
ここまで読んでいただきありがとうございます♪
小説を描く時、小生は先ずキャラの特殊能力を決めます。その後、特殊能力に合わせて性格や容姿を考えるわけですね。
その後はやはり世界観でしょうか。
また、敵や味方の組織も考えておかねばなりません。
途中で面倒くさくなりますが、だいたいのプロット、あらすじも考えておかねば……
でも、町の歴史や周辺諸国の力関係なども考えておかないとあとから矛盾が生じて真夜中の校正作業で冷めてしまうかもしれません。ガクガクブルブル……
…ってなわけで惑星ヴォイデの歴史も考えてみました。そのファイルが巨大化して分割してみたり、アホなことやっていたらめっちゃ時間が食われてしまい〜
今回、“あらすじ”ファイルがえらいことに(^_^;)
前回の“世界観”ではご紹介できなかった歴史上の国々もなるべく矛盾が起きないように仕上げてみました。
えっ、ここまで要らない? やらなくてもいい?
う〜ん、小生の場合、キャラを脳内で遊ばせた結果が小説になるんで(^_^;)
想像の中でとにかく遊ばせまくる。
世界も歴史もないとキャラクター達の遊び場がなくなっちゃうんですよ(汗)
そうなるとまともに動いてくれませんからね。
この辺は『ドック・サヴェジ』や『ドリトル先生』と遊んでいた子供時代から変わりませんわ\(^o^)/
『カッレくんの冒険』や『ツバメ号とアマゾン号』、『エルマーとりゅう』…いやはや、ずいぶんな付き合いですね。
…なので、小生は冒険小説が大好きです☆
SF、学園モノ、現代の国際社会を舞台にしたスパイアクション、何でもござれ。
でも、逆に言うと…スパイも宇宙人も世界征服を企む秘密結社も名探偵も怪盗紳士も出てこない作品は読めないんですよね。
例外はラリー・ニーブン&J・パーネル共著の『インフェルノ〜SF地獄変〜』くらいでしょうか。『世界の中心で愛を叫んだ獣』とかも読みましたが…う〜ん、一回読んで終わりですね。他は『惑星ソラリスの陽の下で』くらい?
あ、ぜんぶSFですね\(^o^)/
そういうわけでいわゆる“文学作品”が嫌いでほとんど読んでいません。
いや、中年男と中年女の不倫とかテーマにされても(>_<)
食指がピクリとも動かない。
まともに読んだのはカフカの『変身』くらいでしょうか。いや、「目を覚ましたら一匹の毒虫になっていた」とか言われたらセンス・オヴ・ワンダー』を感じちゃうじゃありませんか。あ、やっぱりあれもSFだったんですかね。
まぁ、そういうわけで好みの世界で好みのキャラが活躍する話を夢想していたら世界観が膨らみまくってしまいました(汗)
おかげで本編の執筆が遅れる、遅れる。
さて、そういうわけで次回は『地理』です。
たぶん、これはあっさり片付くでしょう。たぶん……
請う、ご期待!
ーー2021年12月18日ーー
“フキャーエ竜帝国”について加筆しました。
何か、記したつもりになっていて忘れてしまっていました(汗)




