43話・あんな奴、萎えちゃえば良いのよ
「あんな男、萎えちゃえば良いのよ。禿げちゃえばいいんだわ」
静かな部屋の中でマダレナの声が上がった。涙にくれていた姉が驚いたように顔を上げる。
「誰?」
「わたし? レナよ」
「おい、レナ」
俺の胸元からひょこっと顔を出したレナが「やあ」と手を上げた。
「まあ、何これ? 可愛い~」
涙を止めた姉さんが白猫熊のパペットとなっているマダレナを抱き上げた。
「パペットなのね? 動くの?」
「きゃあ。くすぐったい」
姉さんがどういう仕組みなのかとお腹や背中を突っつく。マダレナはくすくす笑った。
「姉さん。実はお父さんも知っていることだけど、このパペットは聖女であるマダレナが姿を変えたものなんだ」
「えっ? 聖女さま?」
驚いて手を離した姉さんからマダレナをすくい上げる。
「聖女さまがどうしてそのお姿に?」
「訳あってしばらくこの姿のままなんだ」
「そうだったの。初めましてマダレナさま。私はこの国の皇女ジュアンヌです」
「知っているわ。アフォンの服の中に隠れて聞いていたから」
「まあ、お声も可愛らしい」
「ありがとう。ジュアンヌさまはとても綺麗ね」
二人はすぐに打ち解けて仲良くなっていた。しばらく仲良く話していたが、ジュアンヌが部屋を辞するときには、「カールルに天罰としてあそこが萎えるように祈っておくわ」と、マダレナが黒い笑みを浮かべて手を振っていた。女って怖いと思った瞬間だった。
しかし、その晩餐会で事が起ころうとは思わなかった。初対面である俺でさえ、姉さんとその許婚との会話を聞いて「子猫ちゃん」と、言う存在は危ない存在だと思ったのにカールルはそれに対して何の対策もしていなかったらしく「子猫ちゃん」が独断で事を起こしたのだ。
子猫ちゃんって馬鹿だったらしい。カールルに本気で惚れて周りが見えなかったのかも知れないが。その事でカールルは立場を失った。俺としてはスッキリしたけど。




