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16話・パペットって何を食べるんでしょう?

 自業自得だけどと、パペットがおーほっほっほと笑う。マダレナはパペットになってから表情豊かになった気がする。腰に片手をあてたパペットは「でも」と言った。



「あのユカって子ね、恐らく私が前世いた世界から来た子だと思うんだ」

「彼女はレナの前世と係わりがあったのですか?」

「ううん。係わりはないけど前世のわたしもね、彼女と同じような黒髪に黒い瞳をしていて顔の凹凸が少ない顔立ちをしていたからなんとなく懐かしく感じてね」



 レナには秘密がある。彼女は俺にしか打ち明けてないので他に知る者はいないが、彼女には前世の記憶がある。本人はその前世の記憶を取り戻したことで神獣さまと心の繋がりが出来て、この世界で最強の聖魔法使いになれたと言っていた。

本人は時々それをチート力がどうのとか言うが、俺にはちんぷんかんぷんな話だ。



「ユカには特別な力があるのでしょうか?」

「さあね。会ったのはあれきりだし、もしもあるとすれば魅了なのかな?」

「魅了ですか? それは魔女なのでは? でも馬鹿っぽい感じでしたよ。レナと同い年と言っていましたが」



 この世界で魅了の力を扱うのは魔女とされ良い意味では使われない。魅了とは他人の意識に介入し、自分の意のままに相手の心を操るものとされているからだ。

 魔女は悪知恵が働くと聞くし、ずる賢いとも聞く。でもあのユカはどうみても賢そうには見えなかった。



「きっとまだお子供さまなのね」

「あなたは同い年でしっかりしていますからね」



 マダレナは相手の精神年齢が低いのだと言いたいようだ。マダレナと比べてはいけないと思うが同意する。あのユカは幼すぎた。本人はパペットを大事にしていたマダレナを馬鹿にしていたが。


「だってわたしの場合は前世の記憶を合わせると三十六才になるもの」


 マダレナは自分の精神年齢が高いからと言う。彼女は前世で二十歳の成人式帰りに交通事故なるものに合い、命を落としたと言っていた。前世の生きていた二十年分の記憶と、今生の十六年間を足して三十六歳となる計算らしい。


「皆前世の記憶がないだけで、レナとそう変わりはないと思いますよ」


 この世界では転生が信じられている。だからといって皆、マダレナのように前世の記憶を持っているわけでも無く、前世の記憶がある彼女のような存在は稀だ。

 でも俺には、前世の記憶を持つマダレナが特別には感じられなかった。自分達は前世の記憶が無いだけで、この世に生まれ変わっていると考えたなら、記憶があるないのだけの差でそんなに変わらないように考えていたのだ。



「そうかもね。あっくんは十八歳にしては大分落ち着いているもの」

「それって褒めているんでしょうか?」

「いやあね、あっくんたら。もちろん、褒めているわ。ねぇ、あっくん。お腹空いた」



 唐突に言われて驚いた。パペットもお腹空くとは思ってもみなかった。でも中身はマダレナだからそれも有りなのか?


「食べれるのですか? パペットって何を食べるんでしょう?」


 疑問に思ったことをそのまま言葉にしたら馬鹿みたいな発言になっていた。


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