クッキング
お昼ご飯はなんにしよう。
艶のある野菜、綺麗な肉、キラキラした魚。
お昼ご飯はなに食べよう。
心置きなく歩けるから、思わず指人形がホップ、ステップ、ジャンプ。
自己ベストの閃きに着地して、勢い余って尻餅ついても気にしない。
気取った瞳に怪訝な瞳、ついでに無関心な瞳。
どんな瞳でも輝き放つ。
まるでミラーボールに照らされて、浮かれてターンをする。
食卓には花が咲き、腹ペコの大合唱とパーカッションが打ち鳴らされる。
グーグー鳴る鳴る、腹の底。
シーシー鳴る鳴る、口の先。
まだ早いよ、落ち着くにはまだ早い。
誰にも見つからないように、汚れた肌着の編み目を縫うように、小賢しい例え話で煙にまくように、しくじりだらけの指先ばれないように。
ヒリヒリ噛む噛む、滲んだ血。
ジリジリ踏む踏む、霞んだ死。
さあ、お昼ご飯は決まりました。
もう、ここから帰して。
貞淑な緞帳が上がる。
ホーホーホー、耳から入って空き箱に響き渡る笑い声。
齧られた食材が空き箱に投げ入れられて、思わず尻餅ついてしまう。
ピーピー鳴る鳴る、警告音。
グーグー鳴る鳴る、空腹音。
急ぎましょう、あなたのために。
作りましょう、あなたのために。
明日も会うために、あなたのために。