英雄シンジ誕生
その日の朝は ドアを叩く音で起きた。
リナが ベッドから 降りてドアに向かう。
「男爵様は おられますか? 」
リナが 振り返って
「男爵様! お城の方が 来ております!」
僕も ベッドから降り ドアの前に立つと
「男爵様 朝早くから 申し訳ございません。
ですが この国の一大事な事が 起こっております。
是非とも お力をお貸し下さいませ!」
「そんなに慌てて 一体どうしたのですか?」
「本日早朝に 魔物の軍団が 城を占拠しました!
残念ながら 王も捕らえられております。
もう 貴殿しか お頼み申す方がおりません!
どうか 王を助けてくだされ!」
「分かりました! すぐに城に行きましょう!」
僕は用意された馬車で 城に向かった。
「おい アバドン聞こえるか?」
「はあぃ 聞こえているわよぅ。 大変な事になって
いるわねぇ。でもこの魔物達は あちら側の物よぅ
だから 存分にやっちゃってねぇ。」
「そうか では あの赤龍達を 呼べないか?」
「あぁ あの者達は 戦いたくてウズウズしているか
もねぇ。中々良いところに 気がつくわねぇ 流石!
分かったわ すぐに来させる!」
「有り難い 頼む!」
僕を乗せた馬車は 城の数キロ前に止まった。
そこから 城を見ても魔物達がウジャウジャいる
のが分かるくらい 数が多い。
城の上空にも ドラゴンや ワイバーン等が 滑空し
城壁周りには トロールやサイクロプス等が徘徊
している。
「もう これは 戦争だな。」
そう呟くと
「はい 赤龍達が おいでよぅ。」
振り返ると まるで爆撃機の大編隊の様な 雄姿!
赤龍の軍団が すぐ後ろに来ていた。
総勢100体は いるだろう。正に雄姿!
「アバドン様 赤龍参上仕りました!」
「うむ 待ってたぞ! あそこに見えるのが 敵ぞ!
魔物は皆殺しにするのじゃ 但し人間には構うな!
さぁ 赤龍よ その力を我に 見せてみよ!」
「ははぁ! 皆の者 続けーーー!」
「おおおおおぅーーーーーーー!!」
「グアウウウオオオーーーー!!」
100体ものドラゴンは 目の前の城に突撃した!
「さぁ 僕達も行きますかね!」
馬車は城に突進した!
城壁周りの トロールとサイクロプスどもは 既に
ドラゴン軍団によって 全て倒されていた。
何しろ 上空からブレス攻撃三昧だから……。
ノロマなトロールとサイクロプスでは 歯が立つ
筈がない。B29に竹槍で戦うような物だ。
しかし 相手にも ドラゴン軍団と ワイバーンが
いた。こちらは 激しい空中戦になっていた。
だが こちらのドラゴン軍団は 格が違っていた。
ドラゴンの中のドラゴンと言われた赤龍がいる。
指揮も高く 統率力も上だった。
物の30分で 空域も制圧出来た。
僕は 馬車を城前で降り 歩いて城内に入ると
サキュバス・ミノタウルス・オーガ等が残って
いた。僕は両手を上げて
「ハァーーーーーハッ!」
上空の雲の隙間から 稲妻が轟き叫んだ!
ドカッドドドドッバリバリーーーーーー!!
ドカッドドドドッバリバリーーーーーー!!
ドカッドドドドッバリバリーーーーーー!!
サキュバスどもは 一瞬の出来事で体を通った
激しい電撃で 真っ黒に焼けてしまった。
ミノタウルスも 大きな体からは 煙りが立ち
ブスブスと 燻され ボゥッと炎を上げる物もあった
オーガは 何体かは 素早い動きで 難を逃れた者も
いたが その顔は 恐怖で戦意を欠落していた。
オーガに近寄ってみると
「どうか お助けをーー! 我はサターン殿に
騙されて ここに来たのです!」
「騙されたとは?」
「サタン殿が 人間の王を捕らえれば この土地の
全ての物は 私達の食料として良いと言われ…。」
「ほう そうか サタンがのぅ。それで王は無事
なのか?」
「はい あの塔の最上階に おりまする。」
「そうか ありがとう では楽にしてやろう
ハァーーーーーハッ!」
オーガは 青い炎に包まれて 跡形も無くなった。
「さぁ 王を救助するかね」
僕は塔の最上階目指して 上がっていった。
途中にも サキュバスどもが おったが 僕の顔を
見るなり 一目散に 逃げて行った。その顔は
恐怖に強張り 戦意などカケラも無かった。
最上階に着き ドアを吹き飛ばすと 中に王と側近達
が監禁されていた。
「あっ シンジ男爵殿ーー! 助けに来てくれたか!
有り難い!」
ミュラーが僕の手を取って握りしめた。
「王は無事ですか?」
すると 王が奥から
「あぁ シンジ男爵殿 はははっ無事でおる」
「おぅ 王様 良かった。 ご無事ですね では参り
ましょうか。」
僕と 王その側近達は 城の大広間に降りて行った。
「王様 少しココでお待ち下さいませ。加勢して
くれたドラゴン達にお礼を言って来ますので。」
「えっ は、はぁドラゴンが加勢とな?」
城の中は 既に鎮圧されており 逃げた魔物達も
外で 上空からのドラゴン軍団によって全て
殺された。完全なる我が軍団の勝利であった。
「赤龍よ この度の働き誠に 大儀であった!
また その方の軍団達もじゃ この者どもが生息
していた 北の森は全て お前達の領土とする!
自由に使え!」
「アバドン様! 有り難きお言葉!これで仲間も
生き延びる事が出来ます!」
「はははっ これからも何かあったら頼むぞ!」
「ははぁ! アバドン様!」
ドラゴン軍団は 僕に挨拶をして 城を去り 北の森
に向かって行った。
僕は 王が待っている 大広間に戻ると
「シンジ男爵殿 余は分からぬのだ 何故ドラゴン
が我々に加勢してくれたのかが。」
「はい ココを襲った魔物の住処をドラゴンに与え
る約束で 助けて頂きました。まぁ交渉ですね」
「その様な権限が 男爵殿に…まぁ良い 余の命は
男爵殿に救われたのは 変わらない。なぁ皆の者」
「はい 王様 シンジ男爵殿が おらねば我々は既に
この世にはいないでしょう。」
「シンジ男爵殿! 臣下の者がことごとく 魔物に
食われてしまった。暫しの間 我慢してくれまいか
城を立て直した後 またこの城で シンジ男爵殿の
功績を称える会を 開きたい!」
「王様。 その様なお気遣いはご無用です。
魔物を倒す事 王様を守る事は私の使命です!」
「なんと お主は……。英雄シンジよ
お主こそ 真の英雄であること間違い無し!」
その場にいた 20名程の者達は 涙を流しながら
拍手をしていた。ここに英雄シンジは誕生した。
つづく




