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魔王アバドンは 僕の中にいる  作者: モンブラン
1/8

旅立ち

僕は 竹下 真司 (たけしたしんじ)

19歳 高校卒業後職にも就かず 自宅警備任務が

既に1年にも なろうとしていた。


両親は健在で 妹が一人いて 家族からは

やりたい事をやればいいと 言ってくれているが

俺は やりたい事が見つけられずにいた。


そんな僕は……。

毎日 部屋でオンラインゲームにハマっている。

もう朝から 3時間程ダンジョン攻略に 励んでいたが

そのハマってるゲームのバージョンアップ版が昼に

発売されるとの情報があり そろそろ切り上げて

新宿の専門店まで 出掛けるつもりだった。


「あぁ もう11時かぁ では行くとするか。」


新宿はいつも人で溢れている。

今日も 御多分に洩れず 賑わいを見せていた。


暫く歩いてーーーー。

専門店に着き ビルに入ろうとすると 入り口で

何か人集りがあった。 近くに寄ってみると

とんでもない事が 起きていた。


「皆んな 死ねば良いんだよ! こんな世界無くなれ

ば良いんだーーー!」


若い男性が 右手に刃物らしい物を持って 意味不明

な事を言いながら 歩道を歩いている。


周りにいた歩行者達は 驚き喚いて 一目散に逃げて

行きその男の周りには 誰も近寄らないでいた。


それをスマホばかり見ていた僕は無防備にも

ビル入口に近づいてしまい 狂った暴漢者と

突然 鉢合わせになってしまった。


「ふふふっはははぁっ お前は死にたいのか?」


「ふぁ! えっ! なに!」


案の定 最初の被害者は 俺になった……。

腹をを一突きされ 横に割かれた。

僕の臓物が ドロッと流れ出て 押さえるのにやっと

だった。


「ははははっ 死ねーーーー!」


若者は そう叫びながら 跪坐く俺の肩や背中に何度も

刃物を突き刺して血糊がついた刃物の持ち手が滑り

刺さったまま 抜けなくなったが 俺は 意識が朦朧と

しその場に倒れた。


その後緊急出動して来た 警官達に 若者は取り押さえ

られ連行されて行ったようだ。俺の記憶はそこまで

見ていないのでよく分からない……。あれから

どの位の時が流れたのか…。


僕は今 暗い部屋に一人で居るようだ。

何処からか 声が聞こえて来た。


「貴方は 狂った暴漢に 襲われて今 命の火は

風前の灯よ。でも安心して 私が治してあげるから

もう少しで 完璧よ……。」


「あっ 一体誰ですか? お医者様ですか?」

僕は目の前が 真っ暗で 誰かからの声とも分からず

応えていた。


「私の名は アバドンよ 今全ての治療が終わったわ。

もう大丈夫 これで貴方とも一体になれるわ……。」


「うぅぅーーーーーーん 」


「あっ 先生!意識が 戻って来ました!」


「真司君 大丈夫? 分かる?」


「うぅーーーーん 」ゆっくりと瞼を開くと

どうやら俺は 病院の ベッドの上の様だった。


「真司君 気がついて良かった。一時は危篤状況

だったのだが もう奇跡としか 言いようが無いよ

具合は どうかね?」


「ふぁぃ 大丈夫だと思います。 」


「先生! 見て下さい!傷が傷が! 消えてます!」


「何! 消えてる! あっ本当だ! どうして…。」


「はぁぃ どうか したんですか?」


「貴方は 数カ所も刃物で刺されて 出血多量でこの

病院に救急搬送されて来て 確かにその時 背中等

刺し傷があったのですが……。」


「えっ それが 消えたんですか?」


「はい 怖いくらいに 影も形もありません。」


「では 真司君 今日一日様子を見て 何にもでなければ

明日退院手続きを して下さい。」


「はい 分かりました。ありがとうございます。」


医者と看護師は 不思議そうな顔をして 病室を出て

行った。


それにしても 先程のアバドンとか言う声は何処で

していたのだろうと 心の中で考えていた。


「あら 覚えてくれたのねぇ もう体は完璧に治した

から安心して 」


「えっ 何処に居るの?」


「そうねぇ 貴方の心の中かしら 直接お話ししている

のよ 魂と魂でね。」


「心の中?」


「そう 一つの体に 魂が二つ共存している感じかしらねぇ。元々体って 魂の器なのよ。分かる?」


「だから 私の傷を治したと言う事ですか?」


「正解! 貴方が死んじゃうと 私の器も無くなり

この世界では 行動がとれなくなっちゃうの。」


「体が器? 」


「そうよ 肉体は只の器なの。そこに宿る魂が

その肉体を使って 様々な事を経験して更に器を

鍛えて 魂も成長するの。」


「でも どうして 僕の器に貴方が入って来たの?」


「いい質問ねぇ 私はアバドンと言って 魔王の中の

魔王。 あのサタンでさえ 私に跪坐く くらいよ。

だから 貴方の器を借りたの。」


「アレ! 今 説明を飛ばしたでしょ。急に借りた事

になってたよ。だからなんで借りる事になったので

すか?と言ってます僕は。」


「まぁ 細かい事は いいじゃないのぅ。 命を助けた

恩人よ私はぁ。」


「その件に関しては ありがとうございます。本当な

らあの時 僕は 亡くなっていたのだと思います。でも

……。」


「あら あんまりシツコイと 治した事 無かった事

に しちゃおうかしらぁ〜」


「あぁ 分かりました もう結構です。理由はどうで

あれ助けて頂た事実は 事実です。もう聞きません。

でも こらからもずっと一緒って事ですか?」


「えぇ〜と それ何だけどね 貴方の器を借りる訳

だから 一応契約が必要なのね。契約といっても

書類は無くて 言葉で [承諾]と言ってくれれば良いの

それで私は 10年間貴方の器に 共存出来るの。

その代わり 貴方は 絶対に10年間は あらゆる事故や

病気などのリスクは 全て回避出来る特典が与えら

れるわ。 それにプラス 私の力を 使って行動する

事も 出来るから まぁこの世界では 最強と言っていい

と思うわ。」


最後の最強って 言葉がやたら耳に残ったが 僕は

この契約をアッサリと承諾したのだ。

その理由は 病気のせいだ……。

僕は 末期の癌を患っていて 余命が半年から一年と

医者からは 告げられていたからで

もし 契約してそれが 10年間は保証されるのであれば

その方が 僕にとっても良いと思ったからだ。


「嬉しいわ すぐに承諾してくれて。 この世界を

二人で楽しみましょう! あっ 後 貴方の病気の事

だけどね アレ全部取っておいたから もう大丈夫よ

10年以降も 無理しなければ 生きられると思うし

もう 気落ちしなくて良いわよ。」


「えっ 取った?」


「ええ 癌細胞丸ごと 削除したから もう大丈夫。

それから普段は私は 貴方の心の片隅で 大人しくして

いるわね。何かアレば呼んで頂戴。呼び名はアバで

良いわよ。 じゃあねぇ……。」


俺は少し 気分が軽くなった。

病気の事で 何もする気も無く 只家でゲーム三昧の

日々だったが 虚しさからは 到底出られなかったのに

もう心配する理由は 無くなった。

心の重い蓋が外されて 中から 羽ばたく鳥が

飛び立つが如く 晴れやかな気分だ。



事件を警察から聞いて 夕方に両親が慌てて来た。

しかし 体が何とも無いので不思議がっていたが

とにかく明日の退院手続きだけしてもらい

今晩は 病院でゆっくり休む事にした。



僕は 病院のベッドで 既に深い眠りの中にいた。

しかし 心の中で何かが叫んでいる。


「起きてーー!」


ふと 目が覚めた。

薄暗い 部屋には 僕一人だけだった。

すると 外の廊下から 何かを引きずる音がした。


ズーゴ ズーゴ ズーゴ ズーゴ


その音は 丁度 この病室のドア前で 止まった。

僕はベッドから降り 部屋の隅に移動した。


「戦いなさい!」


次の瞬間 ドアが ドーーン! と吹き飛んだ!

そのまま ベッドに 何かの触手の様な物が伸びて

ベッドを破壊した!


僕は そんな事が起こっているのに 全く動じなかった

むしろ 冷静にその破壊された ベッドの破片も 一つ

一つよく見えていて 触手が戻っていくのも 見えてい

た。僕は 戻る触手を片手で握り 本体を引きづり出し

た。 本体はまるで タコとスライムの合体した様な

化け物で 数本の 触手を持っていた。


「お前が あのーー!!」


と言うか 言わないかの速さで 僕はその化け物の

近くに瞬間移動し 化け物に触れたと思うと それは

パッと 色が変化し 透明から真っ赤になり そのまま

風船の様に 急激に膨らみ続け 臨界点を超えて

ドゥバァーーーーーン! と破裂して

化け物の破片が 部屋中に飛び散った。


「うっ コレは 僕がやったの?」


「いや 私が緊急に手を出してしまった。説明もせず

に済まん事をした。」


「では 説明してくれるかな?」


「うむ あの化け物は サタンが送った手下の魔物だ

千年以上前に 私がサタンを奈落に落としたのを 未だ

に根に思って 異世界より魔物を送り込んだのだ。

全く済まんが この世界にこれ以上被害が出ない内に

私と一緒に 異世界に 来てもらえんだろうか?」


「えっ 異世界に? それって怖い所ですよね…。」


「あぁ 確かに人間には 恐ろしい所だろう。しかし

貴方には 魔王中の魔王の私がついている! どうか

私と共に戦ってくれんか! 」


「・・・・分かりました。どうせ半年と言われた命

を貴方に救われましたし 傷も治してくれた。この

恩義は返さなくては 男が廃ります。僕も一緒に

異世界ても 何処でも 戦いましょう!」


「おぉ 流石だぞ! 人間よ! 後悔はさせんぞ!」


これから アバドンと僕の 戦いが始まろうとしていた


つづく
















































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