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エンドロールでくちづけを  作者: セキド ワク
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最終話  フィナーレ



 午前中で大学の予定が終わり、どこに寄ることなく家路に着く。

 相変わらずノブマサは俺を敵だと思って警戒する。


「馬鹿っ。何回説明したら分かるんだノブマサ。俺はお前のお兄ちゃんだぞ。ナンならお前は子供と言っても過言じゃない。いいかノブマサ、もし仮に、お前が人間だとするだろ、そうしたらな、縦社会……って、あら? 待てよ」

 ノブマサが人間だったらいくつだ?


 九歳半だから~五十歳くらいか、いや、もっと上か。

 それに仕事も定年退職してるし、六十五歳くらいってことか?

 そんじゃお爺ちゃんより一つ二つ上ってことか……。ややこしぃ~な。


「こいつは申し訳ない、ノブマサ殿。んじゃ、散歩でもいくか? ってオイ、牙を剥くなっての。うわっ、コラっ、鞄、それ買ったばっかりだぞ。やめ~ぇ、仮にも元警察犬だろ、敬礼しろ」

 毎日ノブマサに絡まれている。


 一連の流れを終えてガレージへと向かう。

 俺はここのところ、中古で購入したマイカーに乗ってドライブした後に、お気に入りの場所で本を読むことにハマっている。

 本当はお弁当があると最高だけど、もちろんない。


 温かな缶ミルクティーを、保温性の高い水筒に移し替えて、ちょびちょびと飲みながら物語にダイブする。それが本当に幸せだ。

 やっぱ、本当は缶コーヒーがイイ。でもいうまでもなく小さ過ぎる。

 五百ミリのホットコーヒーなんて見たことない。それどころか親指と人差し指で挟めるサイズ。


 それに、水筒になみなみに溜めたらどえらい出費になるし、不健康極まりない。つまり缶コーヒーでは、色々と気が散って、本の世界に潜れない。

 すぐ息苦しくなって水面に顔がでちゃう。まして毎日は無理だ。


 本を読むなら落ち着ける空間と椅子、飲み物。これがハマると、寝ているみたいに読める。最高の娯楽だ。


 本が苦手だった俺が言うのは、成金みたいで説得力ないけど、それでも世界中にある暇潰しの中では究極だと思う。

 もちろんスポーツやゲーム、釣りなんかも楽しいとは思うけど、一人ぼっちでもという状況ではそうだ。他のものはつい人恋しくなる。寂しい。


 本を読み終えた俺は、景色を見ながら物思いに(ふけ)る。

 物語の余韻に浸り、そしてまた寂しくなる。本を読んでいる間は、色々なことを忘れられるけど、読み終えてしばらくするともう寂しくなってしまう。

 今までは勉強というものに没頭できたけど、もうあまり勉強することがない。

 ただ詰め込む分にはそりゃ~キリなくあるけど、それではもう俺の心を満たしてはくれない。つまり……、もう打ち止めだ。


 こんな日が来るとは思わなかった。周りではまだまだ勉強に没頭する者達が溢れているのに、俺は勉強中退したようだ。

 渡辺なんて今尚、医者になる為に知識を詰め込み勉強している。

 他だってそうだ。弁護士を目指す仲根もプログラマーを目指す茨牧もそう。

 皆まだまだ勉強の真っ最中。


 それに引き換え俺は、よその国の語学くらいしかない。それだって、色んな国の本が読んでみたいというささやかな幸せの為だ。

 つまらなかったらそれまでの話になってヤバイけど……。


 別に和訳された本でいいのだけど、俺はどうも、皆がイイと思うものとセンスが合わないようで、となると自分で選んで読むしかないという答えになる。

 まぁ、すらすら読めるようになるなんて、まだまだ遥か先の話さ。



 ぼーっとしながら残ったミルクティを飲む。

 そして携帯に届いているメールをチェックした。定期的に見ないと溜まり過ぎてわけが分からなくなる。


 中古で買った車に寄りかかりながら画面を眺める。ちなみに中古で車を購入したのは理由がある。一つは、いきなり新車でおどおどと乗るよりも、ぶっ壊れるまで使いこなしてから徐々にステップアップしていくというプロセスを楽しみたい。

 もう一つは、俺が欲しかったデザインの物がちょっと前の型だったという単純な理由だ。


 お父さんやお爺ちゃんは新車推進タイプだが、良治君は、なんと中古でもなく、レンタカー専門で自分の車を持たない。

 理由を訊いたら、常に最新の車に乗りたいようで、しかも同じ車に乗り続けるのが飽きるのだという。

 出来れば毎回違う車種が良いとか。ちなみに邦茂オジちゃんは、会社の車か人の車を借りるタイプだ。


 よく車やバイクへの接し方は、女性関係と似ているというが、そうであるなら、俺は真面目に大切に、丁寧に接していきたいものだ。


 車を撫でながらまた景色を眺める。


 あの悪夢の十日間から早ひと月、相変わらず事件を迷宮入りにすべく、俺は動き続けている。

 刑事達も、うすうすこの事件は未解決のまま幕を閉じるなと読んでいる。


 本吉と会ったあの日、あれが女子達と会った最後だ。

 最後に皆で食事し、しばらくは会わないようにしようとなった。

 佐伯も二日後には海外に戻り、皆も今は自分のすべきことへと戻っていく。


 大学三年の冬と言えば、もうとっくに就職活動。四年に上がってからでは遅いと誰しも分かることだった。



 俺はメールをチェックし終えて、次の本を何しようかなとネット検索して探す。虚しさと寂しさを埋めてくれるような、そんな作品を期待する。


 ふと、皆の笑顔や優しさが胸に過る。子供の頃はこの寂しさに耐えられなくて、何度も壊れそうになった。また本を探す。

 今居るこの場所、その景色が、こんなにも綺麗なのに、自分が一人きりだという事実のせいで、悲しくなる。寂しい。


 そして最後の夜食会を思い出した。楽しかった。




「相楽君は食べれないんだ~」女子達が意地悪そうに笑う。

「そうか、そいつは残念だ~」元志星館連中も美味しそうに食べる。

 俺は温かなお味噌汁をすすりながら、食べても大丈夫そうな食材を探し、つまみ食いしようと試みた。


「ダメ。まだ先生の許し出てないんだからね」あの優しい渡辺も、少し意地悪そうに笑う。ちょっと俺に怒っていて、仕返ししているのかも知れない。


 物凄い人数で食堂を占拠していた。周りには一般客や運送業など仕事中の運転士などが食事を取っていた。


 声のボリュームには気を付けているけど、何となく目立っていてチラチラと誰かしらが見てくる。


「そんでね~、相楽君のベッドの下を見たの――」

「ちょっと佐伯、嘘だろ? 本当にかそれ、なんで勝手に。普通見ないだろ」

 焦る俺を横に、佐伯は笑う。


「だって、里見君と惣汰君が、絶対ベッドの下は見ないようにって。それと、良治さんも章和のベッドの下は見ちゃいけないって言うから~」

 女子達が騒ぐ、そこに何があったのと。

 何々と訊くそれに、佐伯は「本」と答え、笑う。


「どんな本? ねぇ教えてよ」皆が食い入るように訊く。

 男子はそれを「あらら~」と笑う。こりゃ大変だと。


「その本? 知りたい? 『女の子のひみつ』って本」

 俺が止めるのも聞かず、佐伯が言ってしまった。女子達はキャーキャーと騒ぎ、男達はそりゃ随分と凄いタイトルだなと大笑いする。

 皆が俺の顔を何度も見てくる。俺は恥ずかしくて下を向くしかない。


「で、どんなだった?」

「なんかねぇ、女心が分かる心理学の本で~、色んなページに()(せん)がされててね、大切な言葉にも線が引かれてて~」

「なにそれ? 心理学? エッチな本じゃないの?」

「ん~、エッチではない。そういうのを探したけど、なかった。どっかにはあるのかなと思ったけど、なくて、色々と見たけどね」佐伯が残念そうに笑う。


 茨牧と室隅がその女の子のひみつって本見ると、もてるのかと尋ねてきたから、たぶん見る人が見ればと答えた。

 すると女子が一斉に、そういう本は意味がないと笑う。


「なんでさ。男は女子が何考えているか分からないから、怖くてそういうの見たくなることもあるンだけど……、意味ないの?」里見が質問する。

 他の男子も興味津々だ。もちろん俺も。


「あのね。そんな本に女子の本音があるワケないでしょ。女子が本音語った本は、この世に一冊もないのよ。あったら大変」

「だって本に、アンケート調査や意識調査みたいなこと書いてあったけど」

 俺もふと口走る。

「アンケート? 意識調査? それ完全にアウト本。どうしても、もしどうしても少しの(しん)(ぴょう)性が欲しいなら、まず訊いたらダメ。嘘つくから。絶対バレナイ状況でこっそりモニタリングすることね。それも、そこに他人が居たら、もうダメよね。どれくらいダメかというと、その実験に参加する中に男子がいたら、それだけでも変わるし、好みのタイプか普通かでも変わるし、嫌いなタイプでも変わる。本来のその子がそのどれだか分からないし。出ないから。しかも一緒に参加する女子達のタイプでも変わるよ。嫌な感じの人がいれば、おしとやかになるし、それにどんな状況でも本来の欲望を剥きだすことなんて、人前じゃないから!」


 随分と凄い論理だ。モニタリングっていうのは、そういうことを踏まえてできる実験ではないのかな。


 小堀のセリフに女子達が当然ねと頷く。


「それじゃ、世の中でされてるアンケートとかのパーセンテージのグラフとかって意味ないの?」

「女性に関しては。男子はどうなの? 質問されたら絶対に正直に言うの? 絶対嘘ついたり格好付けないの?」

 ん~、確かに時と場合によるかな……。でも大抵は普通に言うよな、自分の本当の結果が知りたくて。

 特に心理テストとか面白いし。本当の結果が見たいし。違う時もあるけど。


「女子はまず嘘しかつかないわよ。常に良く思われたいし、いい結果が出て欲しいからね。でも、私は結構、サバサバしてるから、ストレートにいっちゃうけどね。分かりやすい子だから。ただ殆どの子は――」椎名が笑う。

 へぇ~と男子が頷くと、他の女子が透かさず「ほら騙されてる」と笑う。

 椎名がサバサバしてるワケないと。女子は口から嘘しか出ないからと。


 それを聞いている男子は、それじゃ一体、何を信じたらいいのと困惑していく。

 今話されている会話が、本当かどうかまで分からなくなってしまった。

 と、当然その質問が。


「そんじゃ今言ってるこれも嘘ってことはないの?」

「だから、これもあれも女子の前では全部戯れ言。この程度の話なら三日後には皆意見が変わっちゃうわよ。ほとんどどうでもいい嘘、これホント!」


 男子はみな撃沈した。さすが女子の思考は読めない。


 ただ分かったことは、もう二度と女性の心理を分かると(うた)った本は信用しない、という事実。例えそれが、どんなアンケートや実験に裏付けされていても、それが女性のことであったなら、まず間違いなく嘘が混じっていると分かった。

 それだけでも進歩した。


 そういえば昔の偉人や天才が、女性のことだけは分からないと言っていた。

 見たこともない宇宙のことでさえ勉強し、謎解こうとできる努力家が(さじ)を投げるほどの奇問。


 女性のことは女性に訊けというくらい、女性にしたら簡単な答えで、宇宙の話しどころか足し算引き算より簡単な顔で「あの子はこうなのよ」と教えてくれる。

 つまり、女性は男性に、そして世の中にまだ一度も本音を語っていない。

 すべて嘘をついているということになる。


 ここに居る女子はきっと、本吉愛がどういった理由や悩みで闇に落ち、そして、どうねじ曲がって俺を刺したのか、一人残らず気付いていることになる。


 俺にもここに居る男子達にも、永遠に分からない謎なのに……。


 気が触れるほど俺を好きになった? 違うな。

 俺が好きと言ったのにどうのと言っていた。でも俺はフラれたはず。違うのか?


 違わない。過去は変わらない。

 本吉は久保が好きで、いつも追いかけてて、その裏になにかあるのか?

 いや、ないでしょ?



「それじゃ相楽君、もし仮に~、ここに居る女子達が、本当は凄くイヤラシイ子達だとするでしょ? もちろん仮にだよ。それをどれくらいか想像してみてよ」

 え? なんだいきなり。

「そうね。相楽君はいつまで経っても奥手だから、少しは良い薬になるかも」

 イヤラシイ? キスしたがってるとか? いや、もっとかな。そんじゃやっぱ、エッチがしたいってことか。


「どう? 考えた? たぶんここに居る他の男子も軽く考えたと思うけど、それを女子は小学校の時に考えてるって感じかな。そんで中学ではもっと上。そんで高校ではもっと上。で、今の私達、二十歳ですってこと。どう、女性の心、読めた?」

「読めるかそんなの」茨牧と駒衛が同時に吠える。


「お前等、男子がどれだけエロいか分かってないな。皆が皆、相楽みたいに純粋な奥手じゃ~ねぇの。アホか。なんでそんなエロいこと小学生で考えるんだよ」

「だから男子はいつまで経ってもお子チャマなの。いい? 酸いも甘いも知ってる大人達から、オマセさんって言われる女の子が、どんなかなって考えないでしょ? 男子は中学の途中で思春期になって、いつの間にか自分達の方がエッチだって思い込んで、そのまま思考停止。女子は常に男子よりも三つは先を行くワケ。だから、年上とお付き合いすることが多いの。つまり、男子は年下の女子が丁度いいの」

 鈴原がいう。

「そうね~、分かるぅ」名取もいう。


「ちょっと。何を勝手に年下がイイよアピールしてンのよ。どさくさに紛れて」

 大勢で笑いながら雑談していた。


 俺は皆が話すことを聞きながら、色んなことを思い浮かべていた。でないと俺のお腹の虫が食わせろと暴れ出しそうで。

 味噌汁をおかわりして、気持ちを満たす。

 体的にはそんなに食べることができない状態だけど、皆の食べっぷりを見ているだけでもう堪らない。


「相楽君よだれ。そんなに食べたいの?」

 俺は頷く。横で渡辺が首を横に振る。


「相楽君さ、今一番なにが食べたい? というか、一番好きな食べ物って何?」

 ありきたりの質問だけど、俺も皆の好きな物を知らない。

「俺、笑われるかも知れないけど。納豆卵かけごはんが一番好き。できれば、ふりかけもかけて。次がスパゲッティ。その次はもう接戦で順位はないかな。カレーもお肉もラーメンも他にもどれが上か下か分からないな」


 皆が「へぇ~」と頷く。皆もそれぞれ自分の好きな物を言っていく。


 納豆卵かけごはんは俺だけだった。

 お寿司の方がいいとか、ハンバーグに勝てる物はないとか、パン系でしょとか、なんで餃子じゃないのと笑う。


 人それぞれで凄くいい。こんなにも意見の違う者同士が友達になれたことが凄く嬉しくて堪らない。


 これからも似たような質問は何度もされるだろう。

 初めて会う人にはきっと訊かれるし俺も聞き返す。そして、それがもっともっと深く話されていく。そうやって相手のことを深く分かっていくんだ。


 俺もいつか、お爺ちゃんと邦茂オジちゃんが重機のラジコンで対決しながら湯呑に入ったお茶をすする音が好きだって、そう話す日が来るかも知れない。

 他にもまだまだ話したいことや聞きたいことがある。



「一夫多妻制の国って近くにないのかな~。そこに相楽君を連れてって、そしたら私もお嫁さんになれるんだわ」本吉が突然ワケの分からないことを言い出した。

「ダメそんなの。相楽君は譲れない」

「嫌よ。誰にもあげたくない。一夫多妻制ムリ~」

 とんでもない会話が飛び交う。冗談だとは思うけど、女性の発想は無限だ。

 時間が許せば永遠にしゃべり続けるような。


 そして笑顔も困り顔も仕草も、全てが可愛くて愛おしい。

 やはり俺は、とっくに落とされている。高校二年の二学期が終わるまでに落とすと宣言され、たぶん落とされたンだ。


 こんなにも可愛い子達に誘惑されて落ちないわけがない。


 楽しそうにはしゃぐ女子達の顔を見ながら、未だにフリーな自分の状況に、女子の可愛さと恐ろしさ思い知った。




 断片的に思い出した記憶を胸に、俺は水筒のフタをしめて車に乗り込んだ。

 しばらくは友達と会えないけど、それまでは本を読んで、静かに生きて行こうと思った。


 とりあえず皆とは、メールのやり取りだけだ。


 軽くドライブして家路に着こうと運転していると、走る車に一本の電話が入る。相手は良治君だ。


「章和。例の騒動がまた動き出した。統括本部長から連絡が入ったから、至急本社の方へ来てくれ、待ってるからな」

 またいざこざか。


 話しは、お爺ちゃんの会社での派閥闘争。けしてお爺ちゃんを裏切るというものではないけど、お爺ちゃんのすぐ下を奪い合っているとでもいえばいいだろうか。

 五つある大きな勢力、その派閥が、ここのとこ激突しているのだ。


 きっかけはお爺ちゃんが孫である俺に会社を譲り、自分は名誉会長として現役を退こうかと幹部会で話したことをきっかけに起きた。

 元々派閥はありそれぞれ静かに分かれて活動していたが、会議をきっかけに動き出してしまったようだ。


 俺としては皆優しいオジサン達で大好きだが、俺と会社を巡り、奪い合いの日々に突入している。

 頼みであるお爺ちゃんも邦茂オジちゃんも、ダブル隠居となっては――。


 残る良治君が「飛ぶ鳥跡を濁さず」って知らないのかというが、会社を裏切る訳でもなく、誰が仕切って会社を良くするかだから、問題はないと述べて、火に油、いやハイオクガソリンを注いだような状態になってしまった。


 会社を裏切り、俺を失脚させて乗っ取るというなら話は早いけど、そうではなく俺には優しく、更に一緒に会社を盛り立てましょうというのだから手におえない。


 問題は派閥が五つあって、それらがバチバチとぶつかり合うことだ。


 派閥は主に、大学出の本社勤務者が二つ。そして現場勤務者二つ。

 そしてもう一つは、既に引退したOB会的な繋がりのグループらしい。

 そのどれも、飲みや遊び、仕事などで集まりのあるグループだという。


 派閥同士で裏切り騙し仕事を奪い合う。


 会社に迷惑の掛からないギリギリでぶつかり合う。いわば、仕事に繋がる人脈の取り合いでもある。


 勢力図が変わる度、会社内の社員は右往左往して可哀そうだ。

 お爺ちゃんの会社は、元々ザ・男といった者が集まる会社。

 もちろん、ザ・エリートも沢山いるけど。

 それらが本気でぶつかり合うと、俺みたいなひよっこでは手におえない。


 そして一番の問題は、派閥の長である者が、自分の娘と俺を結婚させようと本気で目論み、その計画を実行に移し始めたことも重大だ。

 五つある派閥の内、四つが共に娘絡み。


 いわゆる政略結婚騒動とでも言うべきか……。


 社内での恋愛関係、そして学生時代からの恋愛関係。目まぐるしい駆け引き。

 二十歳を越え、大人になった恋愛事情がどれ程ヤバイかなんて、これっぽっちも分からない俺は、子供の様な恋愛ごっことは次元の違う世界へと迷い込むことに。


 第二次恋愛ゲームに巻き込まれていくのだった。


 こうして俺の新たな苦難が始まってしまった。ようやく悪夢から目覚めたのに。





 これが、志星館日体。専舞女学園。錦戸美織の事件簿。派閥の歯車。という作品に脇役で出演していた相楽章和の物語。

 主役として無事に幕を下せたかは分からないけど、そういうすべてをひっくるめてぇ~、これが『相楽章和』でした。



                おわり



最後まで……お読み頂き、有難う御座います。

あなたの暇潰しになれたなら、嬉しい、です。


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