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調査1


 それじゃあ、二人ずつに分かれて作業に取り掛かろう。


 トモヒロとエイコは本棚の方へ向かっていった。

 若干後ろ髪をひかれる思いだが、俺も期待に応えないとな。というわけで、ナオは過去の新聞がまとめられているコーナーの方へ向かう。


 さて、調べるにしても具体的にはどうしたらいいかな。ナオに意見を聞いてみよう。


「そうだね、あまり最近のことを調べても面白くないし、ある程度後ろの方から見ていこう」


 ナオの提案を受けて、保存されている新聞のうち古いものを取ってみる。


「えーっと……すげ、五年前の新聞だこれ」


「五年か、じゃあそこから新しいのに向かって見ていこうか。……ほら、ここの地域の情報欄のとこだけでいいよ」


「あ、うん。わかった」


 いわれた通りに俺は地域のニュースを追っていく。こうして見てみると大した情報はない。文字数も少ないし一週間分のチェックがもう終わってしまった。


「これといった情報はないなあ」


「まあ、事件や事故が頻発してたら大変だもんね」


 たしかにな……。

 気を取り直して続きを見ていこう。


 一週間分を手に取ってパラパラとめくっていく。

 こうしてみると平和なもんだなあ。一面なんか見ると全国では大変なことが起きているようなのにね。

 この量でもざっと二、三分くらいで読める。だって、ぱっと見でわかるんだもん。

 一ヶ月で十分ちょいだな。一年で二時間、ナオと五年を半分に分けて二年半で……五時間……おいおい、冗談じゃないぞ!


「なあナオ、このペースだと四、五時間かかるんじゃね?」


「んー。そうか? 僕は半年終わったよ」


「えっ?」


 早すぎだろ……ちゃんと見てんのか?


「そうだね、じゃあユウキにはネットで調べてきてもらおうかな。新聞も思ってたより新しい物しかなかったし、もしかしたらこのままやっても得るものがないかもね」


 何だか期待を裏切り、戦力外と言い渡された気がして悔しい。でも無理だ。こんなん気が滅入るよ。

 俺は足早にパソコンが置いてあるコーナーへと向かった。


 ここには二種類、図書館内の本を検索するパソコンと、外部のインターネットの繋がってるパソコンが設置してある。俺は外部インターネットの席に座る。


 検索ワードは何がいいのかな。

 とりあえず市の名前を入れてみよう。……検索っと。


 おお、市のホームページが出てくる。こんなのあったんだな。えっと、中身は……行事や施設情報。お、地域にまつわる話だって、ここ怪しいな。なになに、市の草木……。大した情報がないな~。ってか、こんなサイト誰も見ねーよ。ほら、アクセス数、今日2だよ。一つは俺だろ。昨日は1だし、一昨日も1だ。……誰か毎日見てるのか。


 怪奇! 市のホームページの巡回者!

 ……あほらし、他見てみよう。


 そうだな、怪奇か……それをキーワードに含めてみるか。


 お、なんか出た。心霊スポット……。

 俺は思わず身構えた。さっきは強がったが、正直こういうのは苦手だ。テレビで心霊番組が始まるとそれとなくチャンネルを変えるたちだ。


 でも、まだ何も成果がないし、このまま戻って行って、失望されたくはないしな……。

 覚悟を決めてそのサイトを開いてみる。


 さっきの市のサイトは全体的に白くて直線ばっかでスカスカのサイトだったが、こっちはまず黒い。そんで線がうねうねしてるし、所々動いてて見た目がうるさい。

 やだなあ。俺は少し薄目にしながら読んでいく。


 どうやらここはいろんな地域の心霊スポットをまとめているらしい。今見ているページもトップから見てだいぶ深いところのようだ。

 左の方の最恐スポットランキングの文字が気になるが、まずは目的を果たさねば。


 ……ふ、ふむふむ。どうやらこの地域は有名なのが三箇所もあるらしい。


 一つ目はこの街の北に流れる川の近くのマンション。

 階段ですれ違うらしい。住人がよく目撃しているとか。でもここは住宅だから外部の人間は入りづらいとの事だ。行けなくて非常に残念だ。うん、それに遠いしな。


 二つ目は俺らが通う小学校。

 七不思議とかあるらしいが一度も聞いたことないぞ。旧校舎とかもないし、こんなん嘘だ、残念だ。うん、学校が始まる前に忘れよう。


 最後三つ目だが、俺たちが拠点として使っている神社。

 あれは作り直した新しいものだと言う。実はあの奥に古い神社があるとのことだ。言われてみれば藪の奥にベースを設けてるし、反対側や正面にもそういうスペースがあっても不思議じゃないか……。そこまで奥の方は探索してないし。そしてここのヤバさは星五つ中で四つだと。

 マンションも星四つ、学校は星三つ。まさか、よりにもよって馴染み深い神社が心霊スポットだったとはな……。興味深い。


 その後も怖いもの見たさでこのサイトを少し徘徊してみる。

 最恐スポットランキングをクリックしようとした瞬間、いきなりマウスカーソルが動いて別のところを叩いてしまった。すると変な動画が再生され始めたので、慌ててブラウザを消して立ち去り、ナオの様子を見に行くことにした。

 ナオは依然、新聞と格闘しているようだった。


「どうだ、何かあったか?」


「ん、大した情報はないけどね、ほら」


 そういってナオは新聞を一つ手渡してくる。


 そこには少女失踪事件の記事が書かれていた。約五年前、当時小学四年生の少女一人が行方不明になり、五日経った今も見つかっていない、との記事だ。


「結構最近なんだな」


「覚えはあるか?」


「小学校入る前だもん。覚えてないなあ」


「まあ、そうだよね。最後まで読んだ?」


 ん? どれどれ。過去の事件との関連性を視野に調査を進めている、だと。


「過去にも似たようなことがあったのか……」


「そういうことだね。神隠し的な何かがあるんじゃないかと睨んでる」


 ほほう、確かに何度も繰り返し発生してるなら不思議な話だ。でもこんなのに首突っ込んで大丈夫なのか。


「ユウキの方はどうだった?」


「え、ああ。この街の心霊スポットを調べた」


 ナオは新聞をめくる手を止め視線を上げる。


「気になる場所があったのか?」


「そうだな、俺たちが最初に出会った神社あったろ。ベースがあるとこ。あの奥に実はもう使われてない廃神社があるらしい。おれたちですら知らなかったんだけどな」


「……奥か。いや、そんなところがあったのか」


 ナオは考え込むような仕草で言った。


「県外からも人が来るくらいすごいところらしい」


「君たちが知らないのに県外の人は知ってるんだな」


 あれ? たしかに。


「まあ、灯台下暗しか。有名って言ってもそういうのを求める人たちの中でだろう。興味なければ知らないだろうね」


「ああ、そうだな」


「他にはなんかあったか?」


 下手に話すとそこも行こうと言われかねないのでごまかすことにした。


「いや、そんなもんだな」


「そうか。この二つは候補だな。まだ時間もあるしもう少し調べよう」


 ナオはそう言うと、再び新聞に目を落とした。

 調査続行の意志を受けたので再度調べるほかあるまい。俺はパソコンのところに戻り、さっきとは違う席に座った。ブラウザを立ち上げ検索エンジンを開く。


 もう心霊はいいだろう。さっきの失踪事件の関連事例とやらを調べてみよう。

 表示された検索結果を眺めるが求める情報はぱっと見では見当たらないな。上から見ていくか。


 自治体や警察とかの公式っぽいページには何も載っていない。その下にはあまり関係の無さそうなサイトが表示される。幾つかのページを飛ばして行って、一つの個人サイトが目に止まった。


 なんだこれ、十二年前にうちの街で発生した失踪事件の詳しい背景情報が書かれてる? 俺らが生まれる前の話だ。

 サイトを書いてる人は……関係者? この街の人なのか? 記事を読んでみよう。



 ・失踪事件前日、彼らはあの山で遊ぶことを友人たちと約束していた。

 ・前日の夜から朝にかけて、彼らに目立った変化は見られなかったそうだ。

 ・事件当日、朝十時ごろ家を出た。

 ・その後、商店街で二人が連れ立って歩いているところを目撃される。

 ・友人たちはあの山のふもとで二人が来るのを待っていたが十一時になっても姿を現さないため、先に山へ入ったと思い、捜索を開始する。

 ・昼になっても見つからない為、一旦解散とし友人たちは帰宅する。

 ・友人たちが自分の親に状況を伝え、事件が明るみに出る。

 ・警察や有志たちによる捜索隊が結成され、広範囲を調べるも、見つかることはなかった。


 ……一応は時系列になってるけど箇条書きだし、情報としては雑で読みづらい。でも、状況はえらい詳しいな。それに「あの山」といっているあたり、間違いなくここらの人間が書いたんだろう。


 彼らはどこに行ったのか。

 誘拐されたのか。

 あの山に行ったのか。

 廃神社の例もあるし、あの山にも俺らの知らないスポットがあってそこで何かが……。


 俺は考察を重ねていると、ポンと肩を叩かれる。びっくりして跳ねるように振り返るとそこにはナオがいた。


「どうだ? なんかあった?」


「んだよ~! めっちゃびびった~!」


「お、おい。声を落とせ」


 あ。


 周りを見渡すと係員がすごい睨んでいるのが視界に入る。

 係員がこちらを見据えたまま立ち上がるのを見て、俺は慌てて検索してたサイトを閉じて逃げるように席を離れることにした。



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