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ロップ少女と日常   作者: 緒賀奈(おがな)
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1羽「ロップ少女と出会い」

幼いころに両親を亡くした高校二年生の平沢翔は、今年の夏から今までの貯金と実の息子の様に育ててくれた伯父と伯母からの支援により一人暮らしを始めていた。1学期が終わり、夏休みに入った翔は何事もなくバイトに勤しんでいた。夏休み開始から数日が経ったころ、バイト帰りにいつも寄っている公園で出会ったものは...?

 僕は昔、両親がまだ生きていた頃にうさぎを飼っていた。正確には拾った。近所にあった公園で怪我をしていたうさぎを拾って家に連れて帰り、親に気づかれないようにうさぎを保護していた。今考えればなぜあの公園にうさぎが居たのか不思議であったが、なぜか疑問には思わなった。次の日、公園へ帰そうとするとなかなか自分から離れず、仕方なくそのまま家へ持ち帰り両親と小1時間口論の上、なんとか説得に成功した。うさぎの種類は忘れたけど、垂れ耳の小さなライトブラウン色のうさぎだった。名前は「ビスケ」だった。ビスケは頭が良く、コードや机の脚などを嚙まないのでケージに入れずに、基本部屋中を動き回らせていた。ビスケは僕に良く懐き、家の中では僕の後をずっとついてきた。両親には懐かないということでもなく頭を撫でてもらったり、抱っこしてもらったりしていた。

 その半年後に両親は事故で死んだ。父親の姉夫婦に身を引き取られ、実の息子の様に育ててはくれたが心のどこかに穴は空きっぱなしだった。両親に会いたい。そう思うだけで涙が出てきたがその度にビスケが僕の横に座り、泣き止むまで一緒にいてくれた。しかしその時間もずっと続くわけではなく3年後、ビスケも息絶えてしまった。その頃には少し大人に近づき泣きはしなかったが、やはり心に大きな穴が空いた。



 そして現在。僕は伯父と伯母の支援もあって1ヶ月ほど前から一人暮らしを始めることにした。最初はやることすべてが壊滅的だったものもなんとなく慣れてきた。

 夏休みに入り数日が経ったが、特にすることもないのでシフトを多く入れてもらいお金を稼ぐことにした。

 「お疲れ様です。」

 「あぁ、お疲れさま。夜遅いから気をつけてな。」

 今日の仕事を終え、マネージャーの紗樹に挨拶をした。沙樹さんは営業は何をするにもパーフェクトだがなんて言ったって見た目がとにかくすごい。ナイスバディとかボンキュッボンとかそういうものではなく、見た目がどう頑張っても10歳前後にしか見えない。僕の身長が175cmに対し沙樹さんの身長は僕の胸ほどなのでおおよそ130~140cmといえる。どう見てもロリッ娘である。

 「...む?なんだ?私の顔に何かついているか?」

 「あ、いえ、何も...」

 「ははぁ~ん、さては私の美しさに惚れてるな?残念ながら私のタイプは自分より小さい人がタイプでな!お前は論外だ!」

 「マネージャー、それ小学生じゃないと無理なんじゃ...って痛い!足踏まないで!」

 「私はまだ成長途中だ!それに私のことは『沙樹姐さん』と呼びなさい!...おっと、もうこんな時間だ。良い子は帰った帰った!」

 「また子供使いして...」

 「私からみたらあんただってまだまだ子供さ。さぁ、気を付けて帰りな。」

 「はい、お疲れ様でした。」

 沙樹さんは一体いくつなのだろうか。おそらく永遠の謎である疑問を抱きつつファミレスを後にすることにした。

 バイトからの帰り道、いつも通っている公園――――月ノ宮公園に今日も訪れた。ここで特に何かをすることもなく、自販機でジュースを買って星空を見ながらぼーっとするくらいだ。この公園には広さの割に電灯が少なく星空がきれいに見える。公園の中を一周してベンチに座ろうかと思ったその時、僕は時間が止まったような感覚に陥った。

 同じだった。8年前と。あの時、あの瞬間の記憶が鮮明に蘇ってきた。電灯に優しく照らし出されたうさぎは、言葉で表せないほど綺麗で例えるならばそう、地球にはいないような綺麗さだった。いや、実際に地球上にはいるんだけども。それくらい綺麗だった。その光景をいま、再び目にした。このうさぎもまた前足に怪我を負っていた。治してあげなきゃ。そんな使命感に僕は駆られていた。傷が悪化しないように慎重に抱えながら家へ連れて帰ることにした。

 



 「えっと...ガーゼは...」

 家へ着いた僕は早急に、かつ安静に治療を進めていた。うさぎは寝ているようでちょっとやそっとでは動かなかった。処置が終わって、うさぎをカーペットに乗せた。体力がなくなっては大変なので、冷蔵庫にあったニンジンの葉っぱを食べさせた。

 「そういや僕のご飯がまだだったな...」

 しまった。自分の分をすっかり忘れていた。何かいいものはないかと冷蔵庫を物色していると、後ろから人の手が伸びて大事にとっておいたシュークリームを取っていき...ん?人の手?

 冷や汗をかきながら僕はゆっくりと後ろを振り返った。

 彼の後ろには真っ裸の、赤い瞳を持った美少女がシュークリームを食べていた。

 ・・・。

 ・・・。

 ・・・。

 「...は?」


それは、満月の綺麗な夜に起こった出来事だった。

最後まで読んでいただきありがとうございます。皆さんはうさぎの耳をした女の子は好きでしょうか?私は大好物です。またネタが思いつき次第投稿をしたいと思います。

ありがとうございました。また次回。

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