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すり替え  作者: 大和香織子
第一章 証言
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石丸順子

 こういう事は、たまにありましたね。


 理不尽ですよね、働いているときでなかったら蹴とばしていたかもしれません。

 学が失踪して十年が経った頃、私は学に似た人を偶然にも「新婚さんいらっしゃい」で目撃してしまったのです。


 初めはそのテレビをただ点けていただけでしたが、懐かしい声が聞こえたので、すぐにその声を追うとそこには、少し老けたけど、学の姿があったのです。

私がテレビを点けた時間が遅かったのか、もう終わりかけでしたが、名前を見ると、「加瀬信也」となっていました。


 お相手の女性を見ると、「加瀬 直美」と名前がありました。女性はすっかり変わっていて分かりませんでしたが、よく見ると、確かに直美ちゃんでした。


 小学生の頃、同じクラスで「ねぇ施設って、お家がない人とか、お母さんとかいない人が住むところなんでしょう?お母さんが言ってた。順子ちゃんのお父さんとお母さんは、どうしているの?」毎日の様に聞いてきた、あの直美ちゃんに間違いありませんでした。


 私は、すぐに育った施設がある街に行き、直美ちゃんの実家に連絡しました。

 何か手がかりが欲しかったのです。


 テレビ局にも電話をしましたが、当たり前の様に、相手にしてもらう事は出来なかった為、他に調べる手段としてはそれ以外にありませんでしたから。

 インターホンを鳴らすのにすごく躊躇しましたが、だって、中学を卒業してからはあっていませんから。私はクラス会等も一切出席していませんし。


 中からお母さんが出てきて、「石丸順子と申しますが、直美さんはいらっしゃいますでしょうか」そう言いましたが、覚えてくれていなかったようで、結局その日は連絡先を渡して帰りました。


 その後すぐに直美ちゃんから連絡がありました。私たちは直美ちゃんの実家から歩いて5分の所にある、カレー専門店のお店でまちあわせすることになりました。

 そして、三十数年ぶりに会った直美の姿は、新婚さんいらっしゃいで見たあの容姿そのものでした。


 昔は細かったのですが、今は二重あごになっていて、可愛かった直美ちゃんの面影は何一つありませんが、いえ、それは失礼な言い方かもしれませんが、実際直美ちゃんだって私のことを随分老けたと思っていた事でしょうし、お互い様なのでしょう。


 そして、新婚さんいらっしゃいに出てなかったか?と聞いたら、「そうよ見てくれてたの~もうお恥ずかしいわ~」なんて言っていました。


 その後すぐに、どこで知り合ったのかと聞きました。しかし、私の聞き方が悪かったのか、「詮索されるのは、好きじゃないのよね~」と言われました。


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