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すり替え  作者: 大和香織子
第一章 証言
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石丸順子

 それから、私はリングも養っていかなければならないので、仕事を探し始めました。

 マンションの掃除です。


 あまり人と関わる事がいらないでいて、服装などにもこだわりがなく、出来れば制服がある様なところで、昼までの所がいいと思っていました、フルで働かなくても、お姑さんが残してくれた貯金がありましたし、フルで働くのもシンドイですし。

 そして、この条件に当てはまったのが、掃除の仕事でした。


 制服は地味ですが、警備員の時と比べたら可愛いものですし、屋根があるので、濡れなくて済みますしね。


 ただ、時期によっては、虫が各階の廊下に、わんさか死んでいますし、私達の掃除の仕方に文句を言ってくる人など、まぁなんの仕事もそうですが、それなりの苦労はあります。


 本当に色々な人がいましたね。お姑さんにそっくりな人が住んでいたりしましたね。

 その方軽い認知症が入っていたみたいで、仕事中に何度も話しかけてきたりとか、同じことを何度も聞いてくる姿とか、これからしようと思っていることを忘れてしまっていて困っていたりとか、そういう所がお姑さんに似ていたので、まるでお姑さんが寂しくて私の所に来てくれているのかとそう思ってしまう程でした。

 だけど、だんだんと認知が進んできたみたいで、家が分からなくなってしまったようで、掃除の合間に家まで送り届けてあげましたよ。

 一人暮らしみたいでしたから、子供さんに連絡して見た方がいいんじゃないですか?なんて、今考えておせっかいな事ですが、そう言ってしまいました。

 でも、飾られている二人の赤ちゃんとの家族写真を見て羨ましい気持ちがつい出てしまったのもありまして。


 まぁ他にも色々な人がいますよ、すぐに怒鳴りこんで、喧嘩を吹きかけてくるような人、そういう人は、有名でしたね。

 でも、そう言う人には、施設で暮らしていたので慣れていましたから、特に何も思いませんけどね。


 マンションを掃除していると「ありがとうございます」なんて言う言葉をかけてくださったり、それは嬉しいですし、困ったさんと言えば、他にも「この果物をあそこの家のあの人に届けたけど留守だったから、後で届けて欲しい」とか無理な事を言うんです、生ものというだけでも困りますし、そもそも、そんな物を預かるわけにはいきませんからね。


 それなので、丁重にお断りしたのですが、どうも気を悪くされたみたいで「それならもういいです」なんて言って怒って帰っていきました。


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