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すり替え  作者: 大和香織子
第二章 自白
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石丸順子

石丸 順子


 驚きましたよ。


 ドアを開けたら、学が立っていましたから。インターホン越しに「学です」って言ったから、慌てて出ましたよ。


 やっぱり、学だった、生きていて良かった。


 そんな風に思いました。


 中に入ってもらって、学が事故にあってしまってその後、記憶が無くなってしまって、私の事を忘れてしまっていた間に、直美ちゃんと出会ってしまった事、全て聞きました。


 でも、もうそんな事どうだっていいんです。


 こうやって私の元にみんな大切な家族達が、きちんと帰って来てくれたのですから。


 過去なんていくら悔やんでみたところで、何も解決しないですからね、それなら未来に向かって幸せを築いた方がいい。


 母はね、この頃私のことを順子ちゃんと言って、私の頭を撫でてくれることがあるんです。


 それは子供のころから憧れていた事でもあるので、凄く嬉しくて。


 認知症がこれ以上進行しないように、お薬もしっかりと頂いて飲ませていますよ。


 それから、前は母をお風呂にいれることが大変でしたが、今ではすっかりコツを覚えて介護士の方にお手伝いして頂かなくても出来るようになりました。


 母が気持ちよさそうにしている顔を見ると、本当に嬉しくて。


 母の事が母だと分かるまでに時間がかかりましたが、あの時放っておくことが出来なかったのは何度考えても、血が繋がっていたからだと思います。


 それから、直美ちゃんのお父さんから連絡がありました。


 私のいた施設に、高額な寄付をされるらしく、私に非常勤講師として働かないかってお誘いを頂きました。


 直美ちゃんは、学が私の夫だって知っていて、近づいたと週刊誌で見ましたが、それで申し訳なく感じたのでしょうね。


 お断りさせて頂きましたけど、施設にいる子供たちから感謝の手紙が私の方にも送られてきました。


 「順子さん、綺麗な部屋に生まれ変わりました。ありがとうございます」そんな風に色紙に子供たちの寄せ書きが色紙にしてありました。


 これです。

 この女の人の絵、私の似顔絵だそうです。

 目なんてこんなに大きくないのに、こんなにキラキラした目を書いてくれたりして。


 今は、母がいるので働けませんが、学が正式にうちで暮らし始めてくれるようになったら、施設の方にお手伝いさせて頂いてもいいかな、そんな風に考えているんです。


 あの時、施設にいた頃には気が付きませでしたが、それなりに良い部分があったんだと言う事がやっと見えて来たんです。


 血が繋がっている兄弟じゃないから、喧嘩はひどいけれど、ご飯を食べる時もいつも賑やかだった。


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