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すり替え  作者: 大和香織子
第二章 自白
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加瀬信也

加瀬 信也


 それじゃあ直美の元交際相手が直美の事を殺害したって言うんですね・・・・・・。

 それは本当ですか?


___花川公園から凶器が出て来たんですね。


 ということは、順子は直美を殺してはいなかったということですね。良かった。


 彼女は今頃ずっと気にして心を痛めているのではないかと思って、生きた心地がしませんでしたから。

 本当に安心しました。


 刑事さん、改めてお礼を申し上げます。最後まで諦めずに犯人を見つけて下さった事に感謝します。


 僕は、今までずっと順子が直美を殺害したとそう思い込んでいました。


 事故で失った記憶が戻った時、せっかく僕を見つけて会いに来てくれたのに、それも涙を流しながら、それなのに、僕は順子を思い出せずにいて・・・・・・直美に勘違いされないかそればかり気にしていた。


 直美が殺害されたときに、僕は順子が殺したとそう思いました。動機なら沢山思いつく気がしたましたし。


 だけど、もしそうなら順子は悪くない、悪いのは記憶を忘れて順子の事まで忘れてしまった僕に全て責任がある。


 直美を殺害するまで憎まないように、僕には他にできるやり方があったのじゃないだろうか、そう思いました。


 そして、僕は直美の夫として、順子の罪を被ることに決めました。


 そう決めてからは、順子にすぐに僕の事を嫌いになってくれるようにと考えて出したのが、あの手紙です。


 順子が自分が殺したんじゃないと、本物の母親が見つかったから白状してくれた時には嬉しかった。


 順子は、僕が掴まったと思って、自分がやったと言い張ったんだろうことは分かっていたから。薄々気が付いていた様でしたし。


 順子はまた生きる希望を取り戻してくれたことだし、後は僕が罪を代わりに償っていこう、と。


 しかし、それは全て僕の勝手な思い込みだったのですね。


 なんてお恥ずかしいと言いますか・・・・・・。


 「代表に言うな…・・・一億円?」と言ったのは、私が加瀬信也ではなく「石丸学」だということを直美のお義父さんにばらすと、誰からか分かりませんが脅迫されたからです。


 「死んでいた」と言ったのは、自分の母親が自分が加瀬信也と生きているうちに亡くなってしまっていたことを、その脅迫犯が言ってきたからです。


 その時には母の事まで調べることが出来ていませんでしたから、他人の口から訃報を聞かされた時には、心の中で大きな何かがガラガラと音を立てて崩れて行くのを感じました。


 すぐに調べてみましたが、母は僕の顔をみないまま他界していました。


 本当に、事件を変な風に混乱させてしまい、すみませんでした。


 これから、まず僕は直美のご両親の所へ謝りに行こうと思います。


 きっと許してはくれないでしょうけど、それが筋ですから。その後で、順子の所に会いにいこうと思います。


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