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すり替え  作者: 大和香織子
第二章 自白
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石丸順子3

 私は子供の頃母に会いたくて堪らなかったのですが、母の方は結構な頻度で私に会いに来てくれていた様でした。


 先日、アルバムを見つけてみていましたら、私が学校から帰っている姿とか、友達と遊んでいる写真だったりとか、そうそう、その中に直美ちゃんも写っていました。


 刑務所にいる時に届いた母の手紙には、チョコレートを渡したって書いてあるんですけど、その時の事をすごくハッキリと覚えているんです。


 笑顔でこれあげるって言っていたのに、ありがとうってもらったら今にも泣きそうな顔をされて、それで本当はもらってはいけなかったんじゃないかと後からものすごく不安になりましたから。


 でも今のご時世にチョコレートあげようって言う人、まず怪しいし子供だってもらいませんよね。この前も私がヘアーブラシの素材をしらべるのにしゃがみこんで見ていたら子供が自分の髪をブラッシングし始めたので「気持ちいい?」って聞くと、無言で立ち去られました。


 へんな人が増えている所為とは言え、寂しい事ですよね。私の子供の頃なんて、知らない人が困っていたら助けるようになんて言われていましたからね。

 時代は変わっていくんですね、本当に。

 

 それから、実は直美ちゃんのお母さんとお話をしたんです。一時は殺人犯であった私を受け入れてくれるはずはないだろうと思いながら、施設の方にも用事があったので、直美ちゃんの家の近くを歩いていたら「順子ちゃん」と声を掛けられたんです。


 おばちゃん……直美ちゃんのお母さんは余程ショックが大きいようで、痩せて頬もこけていました。


それから「あんたが死ねばよかったのに」と……そうやって言ってきました。


「ごめんなさい」と謝る事しか出来ませんでした。


しかし、その後も話を続けました。


 「あんな男に出会ったせいで、直美は、あんな目にあったのよ。私たちはあの男に騙されたのよ、経歴もアメリカに住んでいたなんて全て嘘、なんであんな人を直美は選んだのかしら」と。


 そうやって言っていたのですが、刑事さん直美の旦那さんは、経歴詐称しているんですか?名前も偽っていたんでしょうか?マナブって言うのが本名なんじゃないでしょうか?何かご存知ですよね?


 誰にも言いませんから教えてください。


 私の夫であった石丸学はある日突然姿を消したんです、もし、それが……直美の旦那が、私の夫だったら、そう思うと夜も眠れなくなって、今日はその事をお聞きしにきたんです。


 もしそうなら、私は夫に会いにいかなければなりません。伝えたいことがありすぎて……。


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