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すり替え  作者: 大和香織子
第二章 自白
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石丸順子3

 これから私は、母と二人きりで暮らしていこうと思います。


 贅沢な暮らしどころか、母の世話で大変な事は分かっているつもりです、それでもたった一人の私の血の繋がった家族ですから、共に寄り添って行きたいのです。


 これまで空白だった親子の時間を、これから一瞬たりとも時間を無駄にすることなく、笑顔で大切に過ごそうと思います。


 掃除の仕事をし始めた時にでもいくらでも気が付くチャンスがあったというのに、今頃気が付くとは……。


 もっと早くに知ることが出来ていたらこんな大きなことになってはいなかったでしょうに。


 前に母の家に入った時に飾られてあった赤ちゃんの写真は自分だったなんて、普通そんな事思いませんよね。

 他にも、手の長さと形も私と似ていたりしたのを見ていたというのに、です。


石丸順子 3


 直美ちゃんの旦那さん、自殺されたんですね。でも幸い命に別状はなかったようで安心しました。


 テレビでは色々と言われていますよね、保険金目的など、一億円掛けていた等と。まぁ私は自分事を、画面を通して聞くのは、もう充分ですからこの頃はテレビなんてつけないようにしていますが。


 世間の目はやはり今も気になりますが、だって……一時は殺人犯だったわけですから。

 でも、実際の所、私は無実ですし。


 それに、このマンションの一歩外に出たら、誰も私の事を石丸順子だと気がつかないもんですよ。


 芸能人の方だって、それなりの格好をしていないと気がつれなかったりするとかって聞いたことがありますけれども、芸能界の方ですらそうなんですから、私みたいな一般人は余計に気づかれませんし、そもそも、アイツは殺人犯か等と顔を気にするのは、警察関係の方ばかりでしょうからね。


 母の面倒は、思っていた以上に大変です。私があと10年若かったら、体力的にももう少し頑張れるのでしょうけど。


 ヘルパーさんの手をお借りしながらでないと、母の介護はできません。変な場所で寝てしまった母を布団に持ち運ぶだけでも、相当な体力が要ります。


 子供であれば、なんてことないことなのかもしれませんが、大人ですからね、それは重たいです。


 母は、私を見てたまに「順子」って言ってくれるんですよ。私が娘だと分かっているのかは分かりませんが。


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