加瀬信也
加瀬 信也
朝刊で見ましたが、犯人が捕まってしまいましたが、あれはあの人が嘘をついています。
前にも言いましたが、そんな事を出来る程の神経の持ち主ではないと思います。
・・・・・・白状します。真犯人は僕なんです。
今から自首しようと、そうやって思って準備をしている時に、こんな事になってしまい。「生命保険金」が殺害動機です。
しかし、そんな罪を犯してまで平然と生きれる程、僕の神経は強くはなかったようです。
直美を殺したあの日、向山まで二台で行きました。
直美は嬉しそうな顔をしていました。久しぶりのドライブですから、朝からご機嫌でした。僕は夜ところがあるから、行くのは別々になるけど、絶対に来てほしいとお願いしました。
直美は、僕がこうして欲しいと言った事は、絶対にしようと努力をしてくれるような人です。
それで、直美はSクラスのメルセデスベンツを運転して向かい山にきました。
自分は、知り合いに軽自動車を運転して欲しいと―――車に乗らないとバッテリーが上がるから―――言われていましたから、その車で向かいました。
もうその時には、殺害すると決めていました。
見慣れない軽自動車を見て直美は、そんなボロイ車に乗って恥ずかしい、そう言いました。
直美は生まれつきのお嬢様ですからね、仕方ありません。
結局、その車で殺害することは諦めて、直美の車の後部座席に乗りました。
運転席側に乗らないことに不満を言っていましたが、僕にとって直美が言う事を聞くようにするのは容易な事でした。
そして、そのまま背中を包丁で刺しました。
悪いと思っています。
しかし、直美が毎晩夢に出てくるんです。
「痛いよ、悲しいよ~」そうやって目から血の涙を流しながら……ものすごく怖くて、震えながら目が覚めて額には、搾れるほどの汗が出て……。
僕は「ごめん、直美、ごめん」と謝るのですが、それでも毎晩のように出てくるのです。
そのうち、眠る事すら出来なくなりました。
僕は自分でもっとタフな神経の持ち主だと思っていましたが、そうでもないことがよく分かりました。
だから、もう逃げることはせずに罪を償う事に決めました。
・・・・・・、一度犯人が捕まっている以上、覆すのは難しい事なのでしょうか。
いいでしょう、それなら僕のとっておきの秘密を・・・・・・話します。
僕は、十数年前、気が付くとベッドに横たわっていて、起き上がろうとしても、身体中が痛く起き上がる事すら出来ません。どうやら事故に遭った様でした。
目を開けると、看護師が「先生、目が覚めました」と走って医師を呼びに行きました。
「大丈夫ですか」と聞いてきました。




