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すり替え  作者: 大和香織子
第二章 自白
33/49

石丸順子

 直美ちゃんが、子供のころから苦手でした。


 直美ちゃんはいつだって、私の欲しい物を全部持っていました。

 優しいご両親、綺麗なお洋服、大きな家、庇ってくれる友達、そして学にそっくりなご主人。


 これまでは、仕方がないと思うようにしていましたが、学そっくりのあの人を見て、心の底から湧き出てくる怒り、憎しみ、恨みなどものが浮かんできて、理性で抑えることがどうしても、どうやって考えてみても出来ませんでした。


 直美ちゃんがいると私は、不快な思いをし続けなければならない。直美ちゃんがこの世界からいなくなれば、これ以上みじめな思いをしなくて済む。


 私が、今こうして事件の事を話をしたのは、この学からの手紙の存在が大きいです。学は、両親と同じようにして私を捨てた。


 それも、両親は何も言い残さず私の前から消えましたが、学は私の傷だらけの心を更にナイフでめちゃめちゃに切りつけました。


 そして、この手紙を見て、私の生きる力という元々弱い火は、完全に消えてしまいました。


 私の身体はこの先、衰えるだけです。貯金も使ってしまいそんなにないし老後を共にすごしてくれる人もいない。


 犬を飼っていましたが、シーズーのリングの事です。

 養うのが大変なので、知り合いにあげました。


 私は、自分がされて悲しかったことを犬にしてしまいまた。

 リングは、私の姿が見えなくなると、クゥーンクゥーンと寂しそうな声をして鳴くというのに……。


 でも、これから私は罪を償わなければいけませんから、ずっと一緒にいることはできません。

 リング一匹を部屋に置いておくことはできませんから。

 せめてリングのことを、私以上に可愛がってくれる人の元にいけれるように……そこだけはしっかりと考えました。


 逮捕された私を見て、学はなんていうでしょうか。驚くでしょうか。そんな私を見て、あの時、私から逃げて正解だった……厄介な女。

 そうやって思うのでしょうか。

 

 私は一体何の為に生まれてきたのでしょうか。時々、そんな風に思います。


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