加瀬信也
証拠写真がこの印刷している中に入っていて、直美はわざと電話なんてして席を外したりなんかして……被害妄想が勝手に膨らんでいきました。
その写真を持って固まっていたら、電話を終えた直美が、その写真をバッと取り上げたんです。
「ごめんなさい」という言葉が咄嗟に口から出ていました。は?という様な顔をして直美はもう、「詰まらせたらきちんと直してよね」そう言って答えました?
ん?言っている意味が分からないと思いましたが、僕はその写真ばかりに気を取られていて、小型プリンターを見ると、用紙が途中で止まっていました。
一瞬、何が起きたか分からなくて、僕は天の神様が味方してくれたと思って感謝しました。
ブツブツいいながも直美はそれを直しながら、「その子が、前に言った順子よ、ブサイクでしょ」そうやって言って来たのです。
僕を誰かと間違えたあの変な女性が、直美がいらつくと言っていた人なのか……そう驚くと同時に、ただの偶然なのだろうかという疑問がわきました。
もしかしたら、向こうも直美が苦手で何らかの恨みがあって晴らそうとしたとか、しかし僕が考えたところで、その疑問を何も知らない直美にぶつけるわけにはいきません。
そういうわけで、順子さんの事を知っているというわけです。
順子さんにもし疑いがかかっているのなら、あの人がそんな事をするわけないとそう思うのですが……。
今にも消え入る程に透明で、とてもじゃないけど殺す事が出来る様な精神力があるとは思いません。




