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すり替え  作者: 大和香織子
第一章 証言
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加瀬信也

 えーっと、その……実は、僕その人に会った事があるんです。変に誤解をされてはいけないと思って言わないつもりでしたが……。


 その、女の人、順子さんでしたか?


 いつだったか忘れましたが、直美に頼まれてスーパーに買い物に行ったのですが、お肉コーナーの方へ向かっていると、話掛けられたんです。

 誰かと僕の事を間違えた様で……。


 左手を物凄い勢いで掴まれて、その後公園へと連れて行かれました。


……あの、浮気なんてしていませんので、誤解されないように聞いてくださいね。


 それで、僕に色々聞いてきました、私を覚えているでしょうとか、とぼけたふりをしているだけでしょう、とか。


 お願い、いなくなった事を怒って責め立てる様な事はしないから私の所に帰って来て?そう言いながら、ポロポロと涙を流して声を上げながら泣き初めまして___。


 すぐ近くの公園ですし、もし知っている人が僕だという事に気が付いて、直美にちくったりしたら……。

 そう思うと、余計にその場から立ち去りたくなりまして「すみませんが、人違いです」とだけ言って、その人を置いて早々に立ち去ってしまいました。


 家に帰ってからは随分と悩みました。


 女性が外で声を上げて泣いているのに、僕はそんなの放っておいて帰ってしまった、大丈夫だろうか、自分の立場だけを考えるんじゃなくて、あの時、もう少し話を聞いてあげればよかったのだろうか等と、自分をかなり責めました。


 誰に間違えたのか知りませんが……名前は呼んでいたと思いますが、僕は社員の名前を覚えるのが苦手な位ですから、見ず知らずの人が僕と間違って呼んだ名前なんか尚の事憶えてはいません。


 泣き方が尋常ではなかったので、病気かなにかの方かと思いましたが、さすがに自殺なんてされていたらマズイと思いましたから、僕は数時間後走って公園に向かいました。


 しかし、時間が経っていた事もあって、そこには子供たちが遊んでいるだけで大人の姿は見当たりませんでした。


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