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傷口と、春
傷口は、まだ治らない。
想い人が居なくなった、一人きりの部屋。
セピアに染まった、懐かしい思い出に、今も酔う。
味のしないランチを終えて、少し大きなベッドに寝転がる。
枕元の窓を開けた。
緩やかな風が流れ込む。
まだ、薄着には肌寒い。
桜が見えた気がする。
去年は、あの人と二人で見たんだっけ。
ブランケットをかけ、まぶたを閉じる。
思い浮かぶのは、優しいぬくもり。
ひらり。
まぶたに落ちた、一枚の花びら。
傷口に貼られた、桜の絆創膏。
まだ、私は、覚えているよ。
傷口はまだ、痛いから。
こんにちは。
初めましての方は、初めまして。
罰歌と申します(*´ω`*)
今回、こちらでは初めてになる短編集を書かせていただきました。
操作にもまだ不慣れなので、生温かい目で見てもらえると、嬉しいです。
駄文ばかりですが、また何か書けたのなら、投稿させていただきます。
では、今回はこの辺で。