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ささくれの指
ささくれた。
私の、よわっちい心が。
君と「約束だよ」ってきった小指の先が。
「どうせ、こんな関係だったんだよ」
なんて呟いて、自分の中で区切りをつけた筈なのに。
それなのに、なんでささくれちゃうの。
「あぁ、嫌だ。こんな弱虫。」
ささくれが痛む。
君が目の前を過ぎ、遠ざかるたびに、じくじくとずきずきと、痛みが強くなっていく。
「もう、君なんて大嫌いだ!」
そう言えたら、こんなささくれも出来なかったのかな。
それでも私には言えなかった。
まだ、小指の先のささくれは痛む。
もちろん、私の心も。
きっと、ささくれが治るのは先の事。
君の事から立ち直るには、まだ、時間が必要なんだ。
だから、少しでもささくれが痛まないよう、絆創膏を貼った。